猫になったゼンさんの、処遇について
午後3時過ぎ、猫になったゼン先輩は目を覚ました。顔を洗う仕草をした後、目をパチリと、開けた。
「ユウさん、すまない、昼寝していたようだ」
焦りながら答えたゼンさんに、優しく言葉を返した
「ゼンさん、午前中は、慣れない姿で、緊張していたんですよ。それに、体質が変わると、生活リズムも変わりますからね。今は、生活のリズムを把握すして、慣れることが大事ですよ。周りのみんなもわかってくれていますよ。」
周りのみんなも、うんうんと、首を縦に動かした。
ゼンさんは、少しホッとした表情を浮かべて、いた。
寝起きのおっきい猫のゼンさんは、一度大きく伸びをした後、パソコンに向かい、データの処理をはじめた。
しばらくすると、出かけていた上司が帰ってきた。ナカムラ課長は上司で、ヒゲと鋭い眼光がある人物だ。
少し戻るのが遅いと思っていたのだが、ゼンさんの件で緊急会議が開かれていたそうだ。
会社始まって以来の、珍事件、いや、世界でも例がないであろう、ゼンさんの猫化である。この姿で果たして働いてよいものか、会社としての判断が、出たようだ。
「ゼンさん、ちょっとこちらに来て」
ナカムラ課長が手招きした。すると、ゼンさんはゆっくりと立ち上がり、二足歩行で上司のデスクに向かった。皆が固唾を飲んで見守った。
「ゼンさん、君のこれからのことだが、、、」
ゼンさんのしっぽが、小刻みに震えている。緊張しているようだ。下手をしたら、解雇かもしれない。不安になりながら、言葉を待った。
「会社の人事部と相談したのだが、
まずは、そのまま、今までと変わらず、働いてください。」
「え、いいんですか?」
ゼンさんは、目を丸くした。
「猫になったとはいえ、仕事もこなせるようだからね。まあ、公務員でゆるいキャラクターとして、職場で一緒に働いている方もいるご時世だからね。電車で今日通勤できているからね。なんとかなるだろう。通勤は、極力、混む時間は気をつけるようにね。みんなびっくりするだろうから。あとで、今の姿の職員証をつくって、猫の姿である証明書も準備しよう。」
「会社、グッジョブ!」
ユウは心の中で叫んだ。これから、会社でモフモフを毎日愛でる、モフモフ生活が始まると思うと、にやけてしまった。
「それに、、、なごむし、かわいいしね。」
少し笑顔で話すナカムラ課長も、猫好きのようだ。
「課長、ありがとうございます!」
ゼンさんは、涙を浮かべて喜んだ。しっぽが、床で大きく左右に揺れていた。
ユウは、ゼンさんとこれからも働ける喜びと、新たなしっぽの魅力に興味津々だった。
あーかわいい、おっきいモフモフしっぽ、マフラーになるかも。あれ、触りたいなぁ。あ、そういえばだめだ、私、猫アレルギーだ、、
ユウは妄想しながら我慢しなくてはならないことに、デスクで身悶えしていた。
ゼンさんは、みんなの方に振り返り、
「こんなことになりましたが、よろしくお願いします!」
と言って頭を下げた。
その時も、尻尾はパタパタと嬉しそうに揺れていて、みんな、笑顔になりながら、しっぽを見つめていた。