五章
遅くなってすみません!
「ねえ、パーティー募集している盗賊ってキミ?」
そう俺に言ったのは、黒髪の女だった。
この世界にはいなかったはずの黒髪黒目。
転生者の特徴であるこの特徴。
この人も日本出身者なんだろうか。
「は、はい! そそそそうですが…」
俺がこんなにも動揺しているのには訳がある。
「私は四月一日聖。職業は魔導士よ。」
それは……て、え?
「え? 今四月一日聖って言った?」
「あれ?……キミどっかであったような……ってあ!!ヒキニートの木村くん!」
おい。
「なんだヒキニートって。俺は学生だったぞ。引き篭ってねーし。つうか引き篭もりとニートを一緒にすんな」
この少女は、俺の同級生だった、何故か席が必ず隣になるヤツである、四月一日 聖。
うちのクラスは頻繁に席替えをしたのだが、何故か必ず隣になった。
特に仲が良いわけでもなく、そこそこ話すぐらいで、一年間ずっと隣だったが全くその関係が変わっていない。
「なんで四月一日さんがここに?」
「何度も言っているけどアキラでいいよ」
「じゃあなんでアキラがここに?あっ、木村じゃなくてカズトでいいぞ」
「………………!!??」
何故かアキラが驚いている。
「何度言ってもアキラって呼ばなかったカズトがアキラって呼んだ……!」
そこか!
「フッ、俺も変わったんだよ。この世界に来て」
そう俺は変わったのだ。
「そういえば、カズトはどうして死んだの?」
アキラが、一番聞かれたくないことを聞いてきた。
ここにいるということは地球で死んだという事。
その理由が気になるのは当たり前だろう。
…………。
俺はアキラに俺の死因を説明した。
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「ふ、ふふっ! 椅子を引かれて転んで死んだって!ふ、ふふふふふっ!」
「るっせーよ! いつまで笑ってんだコラッ! 早く受けられそうなの探すぞ!」
俺が死因を説明してからこいつはずっとこの調子だ。
あの後俺たちはパーティーを組み、今からお互いの実力を知ろうと、クエストを受けようとしているのだが……
「ふふっふふふふっ!」
「そろそろ温厚な俺でもキレるぞ。じゃあそういうお前の死因はなんなんだよ!!」
俺はそう言い返した。
アキラはそっと目を逸らして。
「わっ、私? なんで言わないといけな……痛い痛い!痛たた!いっ言うから髪引っ張んないで!」
髪を引っ張られて涙目になったアキラのアホ毛を離した。
「えっとねー、私は救急車に……」
「まて、救急車? それは何時だ」
変な汗が出てきた。
「確か○時◇分だっだと思う」
俺は頭を抱えて膝をついた。
俺のせいじゃないか……
「いや、救急車に轢かれたんじゃないよ?」
なんだ。
俺のせいじゃないのか。
「轢かれていない?」
「うん、轢かれたんじゃなくって、轢かれそうになったところを三十歳ぐらいの男に突き飛ばされて、」
「助かったのか?」
「いや、それで電柱に頭をぶつけて脳震盪を起こして……、女神様が、その私を突き飛ばした男は救急車が止まったから無事だったみたい……」
何だよその男。
英雄気取りで余計な事したのか。
こいつもアレだな……。
可哀想に。
ただ、俺に言える言葉は一つ。
「お前もあっけな…災難だったな」
「おい、今なんて言いかけた」
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「ウッドゴーレム討伐?」
「そうです。あのウッドゴーレムです」
俺達は討伐系のクエストがないかギルドの人に訪ねていた。
どうやらまた強い個体が出てきたようだ。
「珍しい事に、平原に出現したゴーレムクリスタルが、木と、あのスカーレットを取り込んで、素速い動きと強い物理攻撃に、硬い身体を持つ非常に厄介なモンスターになったようで……」
マジかよ。
スカーレットだったらいけるがこれは……
「うーん、まあ、大丈夫だろ!」
「えっ!? これいくの? てゆうかスカーレットって? カズト知ってるの?」
「まあ、この前倒してきたし」
「へえーってこれB級スライムじゃん! カズトって二週間まえぐらいに来たんじゃないの?!」
五月蝿いヤツだ。
「ほら、いくぞ!」
「あっ、まって!」
俺はアキラをおいて外に出た。
ローブを着ずに。
「あっづああああッッ!!」
「か、カズト?!」
木村和人、炎上




