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彩旅のエリセツア  作者: 泥竹チャハン
第4章 ポリスイナ水上国編
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49話「機械都市フーラ」

 ポリスイナ水上国の首都であるフーラは他の国とは少し違うところがある。それは科学が発展していることだ。何故ならポリスイナという国は昔から原因不明で魔力が薄い。だから魔力をエネルギーとして使えないのだ。

 その代わりに魔法を使わずに効率よく水や炎、電気を利用出来るように色々発明品がある。


「程よく涼しい風!雲一つない空!それに他の国と比べものにならないほどのインフラ!!」


「エリセツア、これからどうするんだ?まず泊まる場所とか探すか?」


「あぁそれならもちろん!下調べの段階で泊まれそうなホテルがあったから、まずそこに行こう。ちなみにレットってどのくらい持ってる?」


「ふん、一万レットだ。どうだ?凄いだろ?」


 一万レットか、、正直これから傭兵という仕事は出来ないから冒険者になってもらうつもりだったが、登録には二万レットが必要。


「ねぇウミオチ。傭兵以外になんか得意そうな職とかない?」


「うーん、俺は接客はまず無理だ。苦手なやつが来た時にはイライラして殴っちまう。だから剣を使う職業が良いな」


「やっぱりそうなんだよな、、よしここは仕方ない。ウミオチ、冒険者になるぞ」


「おう!」


 こいつ、登録に二万レット使うとも知らずに、、あくまで投資と考えれば良いんだ、あとから金は返ってくる。うん問題ない。

 それから私たちはホテルを予約した後、ポリスイナのギルドに向かった。


「ここは他の国と違って血生臭くない。ウミオチ、ここは本当にギルド?」


「まあ見た感じ聞いてたギルドとは違うな。それに任務は荷物配達とか建築工事ばっかだし」


 これは想定外だ。確かにポリスイナは魔力が薄いから魔物が出現しにくいんだった、、

 そしたらウミオチに荷物配達とか建築手伝いの三級任務をさせるしかないか。報酬は一級や二級と比べると劣るが仕方ない。


「二人目の特別冒険者が現れたらしいぞ!あのミロス学園の校長らしい」


「モナレンのルグニカに続いて大陸一の魔法学園の校長か。まあ納得だな」


 おや?どうやら新聞には父さんが特別冒険者だと言うことを公にしたことが載っているらしいな。というかモナレンのギルド長ってルグニカって名前だったんだな


「どうかしたのか?エリセツアも特別冒険者ってやつに興味あるのか」


「いや、たまたま知り合いに似た名前が聞こえただけさ」


 そう、旅の思い出を振り返るのは野暮だ。今は今の自分の生活を楽しまなきゃ。


「まあとりあえずウミオチも今日から冒険者だ」


「三級冒険者か、そういえばエリセツアは何級なんだ?」


「私は一級冒険者だ。ちなみにこの年齢で一級はとても凄いんだぞ?」


「おや?君はそんなに小さいのに一級冒険者なのかい?中々やるじゃないか」


 急に話しかけて来たのは金髪の青年だった。この口ぶりからしてこの青年も一級冒険者なのか?私が言うのも何だが若すぎないか?


「ああ私は間違いなく一級冒険者だ。しかし君は誰?」


「僕はこのフーラでトップの冒険者であるトーラスだ。君もこの都市にいる間はよく覚えておくといい」


「エリセツア、こいつ弱そうじゃないか?ほんとにこの都市一番なのか?」


 私も正直そう思った。他の国のせいぜい二級冒険者レベルだろう。実践経験も薄そうだし、身なりが余りにも綺麗すぎる。


「はっはっは、君たちはこの国の冒険者というのを詳しく知らないだろう?ニ級冒険者である僕が教えてあげるよ。ずばり!この国には魔物が滅多にいないから強くある必要はないんだ」


「確かに周り見た限り戦えそうなやつはいないな」


「でも任務欄にはいくつか討伐依頼があるじゃないか」


「おいおい、見てわからないのかい?一級レベルのワイバーンに三級レベルの狼の群れ。昔から討伐されてこなかった強い精鋭たちだ。それに超一級のやつまでいる」


 なるほどそう言うことか。ポリスイナは魔力が薄く魔法使いは戦いづらい。剣や弓を扱う人間はこの国では時代遅れとされていてそもそもやって来ようとしない。

 ほとんどの人間が一般人ばかりだ。つまりこの国では今までの私の常識は通用しないのだ。


「分かった。私たちは見ての通り他国からやって来た冒険者だから戦闘に特化している。だからこの討伐依頼をすることにするよ」


「本当に二人でやる気かい?こいつらは伊達に昔からあるわけじゃない。今までも他国から来た冒険者が挑んだが返り討ちに遭ったとされているよ」


「トーラスさんは意外と良いやつなんですね。でも心配しないでください。このエリセツアは魔法使いだからあまり役に立たないかもしれないけど俺はこんな魔物なら一人で倒せるぐらい強いんです」


 ウミオチはどうやら私が魔法しか使えないと思っているようだ。確かに普通は魔法使いが他の力を使うことは少ない、でも私は例外だ。


「自惚れるなよ?私は最強だ」


「なんだよそんな拗ねなくてもいいじゃねえか。ただの冗談だろ?」


「まあ頑張りなよ。君たちは相性が良さそうだ。帰って来たら何か奢ってあげるよ」


 なんだかニヤけているトーラスは良い気がしなかったが悪い人ではなかったし、感謝をして任務を見た。そうして私たちはまず一級任務のワイバーンを討伐することにした。

 それにしても魔力が少ないこの地に魔物が生息していると言うことは他国からやって来たのだろうか、それとも何か秘密があるのか。


「よし、エリセツア!俺の実力をしっかり見ておけよ。ワイバーンくらい俺一人で十分ってこと分からせてやる」


「でもそれより任務の場所に行くまで相当時間が掛かりそうじゃないか?今まで私は箒を使って移動時間を短縮していたが魔力が薄いせいで飛ぶのが安定しない、だから歩いて行くしかないぞ」


「走れば良いだろ?あ、でも流石にエリセツアは運動は苦手そうだもんな」


「別に本気を出せば移動時間は短縮できるが、それをしたらいざ戦うときに調子が出ないかもしれない。これは一級冒険者としての作戦だ」


 ウミオチは信じていなかったが一応本当だ。魔力は母さんの時計があればどうにか出来るがいざって時にしか使いたくない。

 そうして私たちはフーラで何日か過ごしてここに来るまでの疲れを癒し、観光もした。ウミオチがどう言う人間なのか理解したがやはり世間知らずだった。

 まさか日光を防ぐための日傘を知らずに、淑女に向かって雨は降っていないと教えるだなんて、、


「ウミオチ、君も気づいたかもしれないが交通手段は足だけではなかったね。まさか国全体を列車が周っていたなんて思わなかった」


「あれって俺たちでも乗れるのか?偉い人たち専用とかじゃないよな?」


「列車をなんだと思ってたんだ、」


 列車自体は大陸の様々な所を走っていて珍しいことではない。しかし、他の国の列車の動力源は魔力であり、この国で走るのは不可能だと思っていた。しかし科学の力は偉大で、風や熱を利用して魔力の代わりとなるエネルギーを生成していた。

 そうして私たちは列車に乗り、あっという間にワイバーンのいるとされる場所へとやってきた。


「おかしいな。ワイバーンがいるぐらいだから魔力が他と比べて濃いのかと思ったらそうでもない。しかも一般人の立ち入り禁止にはなっているが、見た感じとても平和だぞ?ウミオチはどう思う」


「いや、ワイバーンは間違いなくこの森の先にいるぞ。俺は感覚が鋭いんだ、だからこの先から漂う殺意を感じる」


 ウミオチの感覚というのが頼りになるかは分からなかったが、彼は本気だった。それを信じて私たちは森の奥へと足を踏み入れた。

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