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その日、僕が家に帰ると、
弟が来ていて、台所で一人、夕飯を食べていた。
僕は、食卓を挟み、弟の前に座り、僕も夕飯を食べ始めたが目の前にいる弟から、何かピリピリしたものを感じたのだ。
僕には、思い当たることがあった。
僕の母は一人暮らしをしている弟に、時たま連絡を取っていた。
弟は、勤めている会社において何かと最近、色々あり大変らしいということを母から聞いていた。
具体的に、どのように大変なのかは、僕は、知らなかった。
母に、そこを聞こうともせず、
仮に、その時、母に聞いたとしても、母が、それを知っていたのかも今となっては分からない。
ともかく、
僕は、その食卓において、
サッサと食べ終え、自室に行くのが賢明だと思い、実際、いつもより食べるペースを上げて黙々と夕飯を食べていた。
すると、
弟が、やや、ぶっきらぼうに、
「…最近、上のアニキ、調子どう?」と聞いてきた。
僕は、自分の食べるペースを、やや落として、近頃の、僕から見た兄の様子を、僕の思うがままに弟に述べた。
ただ、思いつくがままに、それを述べたと思うが、
トータルして、まとめると、
僕は、
『兄ちゃん、最近、調子良さそうだし、仕事も頑張っているよ♪』みたいなことを言っていた。




