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197 主義、あるいは思想


 熱意をもってそっと言い放った先生。しかし、皆はまったくピンと来ていないようだ。

 ヒント。ヒントねぇ。……言われたワードを整理してみる。

人、獣人、魔獣、精霊。そして使役。使役……上下関係? あるいは、序列?

 予想できることがあるとしたら、前世の中世に存在した〝とある思想〟なんかは関係ありそうだが。

 そんなことを考えつつ、先生の話の続きを聞く。

 

「通常、魔獣商をするのは獣人であることは知っていますか?」

「はい、僕の一族にも商いをしている者がいます」

 

 フレッジ様がそう答えると、ガルシア先生は嬉しそうに頷いた。

 

「ええ、特に金狼族と黒猫族には多いですね。素晴らしい事です。……さて、その理由を考えたことはありますか?」

 

 そうガルシア先生が言うと、ダブルリーダーはしゅんとした。その様子の理由に思い当たって胸が痛む。

 つまりこうだ。「汚いケモノを取り扱うのは、それに近しいケモノでいい」……残念ながらこういった考えは実在する。

 しかしガルシア先生は、そんな私たちの様子を見て大きく首を振った。

 

「今皆さんが考えていることは、現状と言う意味では残念ながら真実でしょう。しかし私は、それは本質とはまったく違うと考えているのですよ」

「本質……?」

 

 力強い否定に、首を傾げる。本質とは、つまり?

 片づけ作業は完全に止まり、もはや教室と化した空間に、先生の自信満々の声が響いた。

 

「獣人に任せているのではなく、獣人にしか任せられないのです。恐らくは」

「!」

思いがけない言葉に、全員驚いた顔をした。

 

そして確信する。先生は恐らく、リアル中世に存在したあの〝主義〟に近い考え方を持っているのだ。

 

 それは、「西洋神秘主義」という。

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