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神と魔王と人類と  作者: 高橋太郎
第六章 試合
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その14

「だから、今回は賭けない?」

 中継が始まる前の会話を思い出したのか、意味深な笑みを浮かべてアールマティは切り込んだ。

「あ、私ですか? いえ、それが理由じゃありませんよ?」

 クーロンはあっさりと否定した。

 先程から、賭け事好きというクーロンが手を出さないという話に興味を持っていたレクサールがそれが如何なる理由かを聞こうとした時、申し合わせたかのように得物を虚空から取りだし構えた二柱(ふたり)が同時に仕掛けた。

「おっと、いきなり近距離戦で試合が動きました」

 間髪入れず、クーロンは実況を開始する。「手元の資料に寄りますと、明神先輩の身の丈以上にあるごっつい斬馬刀の銘は【鬼哭】、ヴァシュタール先輩の各々の手に握られている柄しかない武器の銘は【虚飾】と【憂鬱】だそうです」

「明神君はあの【鬼哭】を自由自在に扱えるだけの膂力と技量を有する本格派の剣客。剣聖竜皇紅葉から直接手解きを受けたとも云われているね。一方のリオン君は“八つ”の大罪だった頃その罪にカウントされていた【虚飾】と【憂鬱】の名を冠した柄しかない武器から“闇”を刃にして近距離では二刀流と手数で闘うタイプだね。得物に固有の間合いがない分変幻自在な動きをしてくるから要注意だよ」

 クーロンの実況を補佐するかのように、滔々と手短に二柱の戦闘スタイルを解説した。

「実際、明神先輩が一振りする合間に数え切れないほどの斬撃を繰り出し、反撃である豪快な一撃を無駄ない動きで受け流しているようですね。私としてはそれを何とか追っていくので精一杯です、はい」

 目の前の勝負を見たままに実況しながら、クーロンは素直に自分がいっぱいいっぱいな事を告白する。

 レクサールはその実況と解説を聞きながら、手に汗を握り、左目の奥が熱くなるほどじっと凝視していた。

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