その13
「するだろうね。明神君は典型的な後の先型。一方のリオン君は枷を解いたとは云え、まだ地力で劣るから相手にイニシアティブを取られるような戦術は取れない。となれば、短期決戦の組み立てで如何に明神君の鉄壁を破るかに焦点が絞れるんじゃないかな? 一方の明神君はどっしりと構え、様々な動きで翻弄してくるリオン君の隙を一撃で突くしかないんだけど、それはそれで至難だよね。どちらにしろ、二柱とも、間違いなく相手の土俵に乗っかるまいとするからその駆け引きをどこまで読み切れるか、じゃないのかな?」
二柱の勝負を見逃すまいとぎらぎらと見詰める態度とは裏腹に、アールマティは冷静に二人の手の内を分析してみせた。
「成程。この時間制限はどちらが有利になる、という事でも無いのですね?」
「強いて云えば、明神君有利だよ。ペース配分さえ間違えなければ、よっぽどの事でも無い限りあの鉄壁を破る方法はないだろうし。リオン君の枷が解かれているからって、明神君から見たら劇的に何かが変わるわけでもないからね。それに、今日は良い天気で、屋外だもの。リオン君に有利な条件が何一つ無いから、普通に考えれば、リオン君がどこまで善戦するか、だよね」
心情的にはリオンに肩入れしている節があるアールマティが事勝負においては冷静に戦力判断しているのを見て、レクサールは心中で大いに感心していた。
神であれ、人であれ、自分が見たいように見てしまう性を持っているはずなのに、戦神の血統でもないアールマティがこうも勝負事を冷静に判断出来る、そのこと自体が破格なのだ。
(それだけ、武に対する思いは本気だと云うことか。……好きこそ物の上手なれ、だな)
そんなレクサールの感慨を余所に、
「確かに。ヴァシュタール先輩は闇や影が多ければ多いほど有利になる資質を継いでいますからね。こうも良い天気ですとその点でも不利でしょう。配当も明神会長の鉄板倍率ですからね。美味しくないたら仕方が無い」
と、淡々とクーロンは実況を続けていた。




