その1
(意外と繁盛している街だな)
それが、この街に対するレクサールの第一印象であった。
今日日、学園城下町が繁盛しているのは当然だったが、新設校の城下町がこれほどまでに賑わい、活気溢れているとは想像の埒外であった。
荷物は先に学園の寮へと送っていたので、殆ど身一つでやって来ていたため、通学用のスクールバスに乗らず、地図を頼りに歩いて目的地まで行く事に決めたのは、これから世話になるだろう街を眺めておきたいという心積もりであった。
そして、十分足らずで後悔しか心の内にない状態になったのもある意味で当然の帰結であった。
(……田舎道、遠くて近い、田舎道……)
今まで通っていた学院は名門校であり、様々な理由から中心街にあったのだが、ここの学園は伊達にスクールバスを駅前から出していないと悟りを開いた。
それでも、まだ一本道で街を突っ切れば敷地に辿り着けそうなのは迷子にならないという点で有り難かったが、初心者向けに初めて来たときはスクールバスを使う様にと言う注意書きは欲しいと心の奥底から思っていた。
(……アンヌに素直に助言を聞いておくべきだった……)
本屋横の自販機でスポーツドリンクを買い、あっと言う間に飲み干す。
空を見上げてみれば、気持ちの良いそろそろ初夏に移ろうかという五月晴れ。足元に置いたスポーツバッグを眺め、大半の荷物を配送した過去の自分の判断に対し思わず感謝した。
「おやおや、まあまあ」
本屋から出てきた同じ年代の若者が、レクサールを見てにこりと笑う。「転入初日から随分な冒険だな」
その台詞を聞き、レクサールは驚きの表情を隠せなかった。




