その10
「……リサが然ういう事に詳しいタイプだと思っているの? 絶対、裏があると思われて、その裏が私たちってすぐにバレるわよ?」
イシュタルはリオンの考えなしの発言に溜息を付いた。
「そこら辺を何とかするのが僕たちの腕の見せ所でしょう? 実際、ネイさん、最近挙動不審だからそこら辺から相談に乗れば怪しまれないと思いますけど?」
心外だとばかりにリオンは反論し、攻め所を提案した。
「ああ、そういえば、上の空でいる時が多いわねえ、アンヌちゃん。それが理由だったのか。恋煩いかと思っていたわ」
それで納得したのか、イシュタルは深々と頷いた。
「いや、恋煩いも間違いないんじゃないですかね。割と仲の良い幼馴染みだったみたいですし、うちの学園に入る前に何らかの約束の一つや二つあってもおかしくはないと思いますけどねえ」
「……それ、貴方のただの推測でしょうね? 何か裏に手を回して調べたとか無いわよね?」
疑いの目を隠そうともせずにイシュタルは弟を問い糾した。
「いやだなあ。まるで俺が然ういう事を根掘り葉掘り調べる男みたいじゃないですか~」
姉の糾弾に軽い調子でリオンは戯けた。
「リオンちゃんは根掘り葉掘りどころか、魂を因数分解するレベルまで調べるものね。イシュタルちゃんはちょっと過小評価が過ぎると思うわよ」
そんなリオンをあっさりと無視し、リサはきっぱりと言い放つ。
「……おおぅ、この場に敵しかいない件」
天を仰いで、リオンは芝居がかったポーズを取る。
「ま、本気十割の冗談は兎も角、リオンの調査が正しければこの機会を逃す真似はできないわね。もし違ったとしても、他のレアスキル持ちなんでしょう? 我が校の箔の為にもどんな手段を用いても獲得するべきか。……悪評だけがまた増えそうな気もするんだけどねえ」
溜息交じりにイシュタルは話を戻した。




