死んだ彼氏を生成システムで復元します①
恋人のジョナサンが死んだ。崩落したビルの外壁が、彼を呆気なく押し潰したのだ。孤独な日々を過ごす私だったが、悲しみに暮れた思考は、一つの結論に至る。
「そうだ、ジョナサンを生成しよう……」
今の時代、ユグドラシルを使えば、何だって生成できる。失ったものも、亡くした人だって。私は森の奥に隠されたユグドラシルへ向かった。
ドーム状の純白な巨大施設。それがユグドラシルで、最深部にミーミルと呼ばれる音声入力装置がある。腰までの高さがある円柱の上に設置されたディスプレイ。そこには人間のシルエット……ミーミルが表示されていた。
「死んだ恋人を生成……復元したいの」
声をかけると、ミーミルの返答があった。
『承知しました。恋人のお名前や外見など、思いつく限りのことを教えてください』
「えっと……名前はジョナサン。幼馴染なの。特徴は綺麗な青い瞳で……」
私は思いつく限りの特徴をミーミルに伝えた後、今度は彼の想い出について話す。
「学生時代は剣術の大会で優勝したのよ。でも、試験の成績もいつもトップで」
『なるほど、素晴らしい男性ですね。他にも教えてください』
ジョナサンの想い出を語っていると、涙が出てしまった。
「ごめんなさい。色々と思い出してしまって……」
『いいえ、ゆっくりで大丈夫です。落ち着いたら、ジョナサンと過ごした素敵な日々を教えてください』
思い出せる限りの話は、伝えきった。なので、復元個体をクリエイトを開始しようと思ったのだが、ミーミルの方から提案がある。
『ちなみに、貴方とジョナサンが恋人同士になったきっかけを教えてください』
「あ、それなら」
私は話し出そうとしたが、同時に嫌な想い出が頭の中に過ってしまう。放課後の教室。窓から入り込む夕日の光。そして、女の微笑み。
「……それは大した話ではないから、入力を省略するわ」
『そうですか。では、ジョナサンの復元個体をクリエイトします』
「お願いするわ」
ミーミルが設置される円柱から、アームが現れると、青い光が床に伸びた。そして、青い光が少しずつ人の形を成していく。
ジョナサンが生成されている。復元されている。彼が蘇るのだ。




