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ぎゅっ。

あけましておめでとうございます。お久しぶりです。

他シリーズもちょこっと更新し、一つにいたっては……。何度か書き直したけど、ちょっと気に入らずに更新してませんが、とっくに年明けしたし、こっちも更新しなきゃ、ものすごく短いですが更新です。

またこまめに更新出来る様にしたいなぁ。


「ただいまだよ!」

「ただいまよ!」

「ただいま~」


 可愛らしい声が、扉を開くと同時にエントランスに響き渡る。

 俺達よりも遅れて帰ってきたというか、今日はきちんと授業があったために定時で娘達が帰ってきた。


「お帰り」


 娘達が帰ってくるのを今か今かと待ちわびていたゴドーはそう出迎えた。

 ニアは普通に、ただいま、ともう一度声をかけたが、サクラとローズはポカンとした様子でゴドーを見上げていた。

 はて、どうしたのだろう。とゴドーの後ろから様子を眺めていた俺。

 顔は見えないが、ゴドーも戸惑っているのだろう。目線を合わせるためにしゃがみ、二人に向けて首を傾げる。


「どうした?」


 問いかけると、二人の目からは、マンガのように、ぶわっと涙が出て溢れ流れた。

 驚いたのはもちろん俺だけじゃ無い。ゴドーだって驚いただろう。しかし俺達が何かするまえに、娘達の方が早かった。ゴドーに抱きつき、わぁんわぁん泣いている。


「…………ごめんな」


 二人を撫でながらゴドーはいう。二人は頭を横に振って、小さい手で、せいいっぱいゴドーを抱きしめていた。

まさか、こんなに泣くとは思わなかった。

『二人はマスター達と違い、あの世界に一度も戻っていません。ここに来てから不安定な母親しか見ていないので、自分たちでも分からない不安を抱えていたのかも知れません』

 なるほど。それはあり得るかもなぁ。

 イヤでも待て。あの二人。俺をからかうくらいは普通にしてたぞ?

『だからこそかもしれませんよ。己の中の不安を誤魔化すために、父親を怒らせようとしたのかもしれません。そうする事で自分の中にあるもやもやは父親に怒られたせいだ、と』

 うーん……。それは、どうだろうっていう気もするが……。でも、二人がどんな形でどんな風に相手の想いを感じ取るか実はよく分かっていないしな。

 口に入れたら確実なんだけど、そうじゃない場合もある。俺だって口にしなくても目に見える場合がある。だからもしかしたら、必死にシエノラ・ノ・ゴドーが隠していた感情を感じ取っていた可能性は大いにある。

 子供ってそういうの大人以上に敏感だから。特にゴドーは母親だしなぁ……。

 だから俺達が考えているよりももっとずっと、気づいていたのかも知れない。

 自分に向けられる嫉妬に。

 それは二人にどんな影を落としていたか、は、今の大号泣が答えだと思うけど……。

 

「ママ……」

「ママァ」


 ゴドーに顔を押しつけて泣く二人。ゴドーは謝る。その謝罪に対して二人は頭を振る。謝らなくて良いと否定するわりには、泣き止まないし離れようともしない。


「「ママ、大好き」」


 泣き笑いながらも、ゴドーの頬に両方からキスして、ぴったりとゴドーにくっついてる。

 すっごいイチャイチャしてる。


 ……そろそろ。そろそろ……、乱入してもいいかな?

『大人げないですね、マスター』

 だって、羨ましいんだよ! 俺だってハグしたい! キスしたい!! ぎゅーっとしたいのに、お預け食らってるんだぞぉ!?


 反論したがシムはどこ吹く風と言った様子だ。


『今日はもう家の方で休んだ方が良いのでは?』

 そうだな。その方がいいのかもしれない。そしたら俺も家でゴドーとイチャイチャ出来る!!


「今日はもう、家に帰ってお家でゆっくりするか?」

「……そうだな」


 提案するとゴドーは頷いて、双子の頭を撫でて立ち上がる。双子はすぐさま、ゴドーの腕ではなく胴体の方に抱きついてくる。

 コバンザメのようだな。なんて羨ましい。俺なんてさせてもらえないのに!!


 そんな嫉妬を浮かべて、ふと、こういう嫉妬も双子には悪影響というか傷つけてたりするのだろうかと考えた。

『悪影響はあるかもしれませんが、傷つくという事はないかと』

 え!? 悪影響はあるのにか!? っていうか悪影響ってなんだ!?

『他者より優位に立つことに愉悦を感じるという悪影響はあるかもしれませんが、傷つくことは無いかと』

 えー。なんでだよ。同じ嫉妬だろ?

『マスターの嫉妬とゴドーさまの嫉妬の質は違うと推測します』

 まぁ、そうだろうけどな。

 

 ふと、戸惑った様子のニアに気づき、その頭を撫でる。


「実はちょっとゴドー、こっちに来てて調子が悪かったんだ」

「病気?」

「……似たようなものかな? それが治って安心しちゃったんだよ」

「じゃあ……、悲しくない涙?」

「ああ。安心した涙だよ。ゴドー、俺はみんなにもう家に帰るって声かけてから戻るから」


 最後はゴドーに言うとゴドーは頷いて歩き出した。双子はその足に絡みつく。って、あ、危険だからってゴドー、抱っこし始めた。双子はゴドーにピトーってひっついてる!

 なんてうらや……。

 ……ゴドーにはひっつきたいけど、ゴドーに抱っこはされたくないな。うん。

 ゴドーにお姫様抱っこされるのを想像しかけたぞ。危険な事をしかけた頭を横に振って俺はニアを連れてみんながいる場所へと向かった。


 







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