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普通のラインナップはない。

今回も短いです。ごめんなさい。

いつもありがとうございます。



 お茶会はその後、どこの紫霧の森に行ってどんな魔物を倒すかなんていう、華やかな話から物騒な話へとシフトした。


「うーん、俺、しばらくは週末とか放課後忙しいと思うんだよな。実家戻るし、あと、店を開ける準備をしなきゃならんし」

「店って、神の貴石を売るのか?」

「いや、どちらかというと飲食店だよ。売り子するのならバイト代出すぞ」

「やる!」


 からかうように言ったらなんでかルットが目を輝かせて参加表明をしてきた。


「え? マジで?」


 驚いたのは俺だけではない。周りの多くは驚いていた。

 なんで王子が? と。


「ああ、やれるのならやってみたい!」

「まぁ、……いいけど」

「そんなに意外か? でもこういう場合じゃないと民の暮らしなど分からないし。生の声を聞けるのは良いことだと思うんだ」


 うん! 勘違いしてるな!!

 俺とセリアが考える店舗って、ファーストフードタイプだから、客と会話なんてまずないだろうし、スタッフもアルフ族ばっかりだから、民の声なんて思うほど聞けないはずだ。が。

 人員確保はしたいので、気づかなかった事にする。


「じゃあその時はよろしく頼むよ。他にやりたい人いる?」


 尋ねると、王子の護衛が二名とも手を挙げた。ただし、どちらかはスタッフとして動きどちらから、仕事をせずに控えていたいとの事。有事の際に、どちらがより安全に王子の傍にいけるか、とかきっとそんな感じなのだろう。

 まぁ、有事なんて事、店の中で起こさせるつもり、これっぽっちもありませんが。

 あと、リームも手を挙げた。

 思わずジト目で見てしまうのは仕方がない。


「給金は要らない。その代わり一晩」

「大人しく金を受け取るか、今すぐ目の前から消えるか好きに選べ」


 全てを口にはさせず、こちらの条件を告げる。

 彼はしょんぼりとした様子で肩を落としたが、金は受け取らないという。


「神の貴石の代金分、こき使ってくれ」

「……じゃあ、それで」


 そんな感じの話を何故に貴族のお茶会でしているのだろう。と思わなくもないが、金が必要なのは貴族も一緒って事で。

 いや、でも実際……。この世界の貴族ってさ、俺が想像してた『貴族』よりシビアだよな……。



 お茶会の片付けの手際の良さに対しての点数を付けて俺達の午後の授業は終わりとなった。





 


「人手増えるの?」

「おう。王子と護衛と変態が一人な」

「……普通のラインナップはないの?」


 俺の言葉にセリアが思いっきり顔をしかめて聞き返す。

 場所は厨房。本日の夕飯当番はセリアである。

 俺は明日の分の弁当の準備をしていた。

 俺と違って子供達は食べないといけないからね。


「残念ながらないなぁ。そもそも俺が通ってるとこ、貴族サマが通う学校だしなぁ」

「ああ、そうだった」


 納得するセリアに俺も頷いてやる。


「店舗の方はどうなんだ?」

「週末までには終わるよ。むしろ青空店舗でも大丈夫なぐらいだし」

「まあな」

「接客の方もたぶんなんとかなるんじゃないかな。多少つたないところがあっても、この世界じゃかなり丁寧な部類に入るし」

「お前が教えてるの?」

「おおまかな流れは。でも、細かい所はミカが指導してた」

「…………そう、か」

「うん。これでいいのか神官って思ったけど。でも、お布施とか言って暴利をむさぼるよりも、生粋の商人ですっていう感じで接してる分ましかなって」

「あいつ、営業スマイル完璧だもんな」

「本人の地と違いすぎるよね」

「……ちょっと、人が居ない所で蔑むのは止めてくれる?」

「いや、褒めてるよ?」

「俺も褒めてるぞ」


 帰ってきたらしいミカが俺達の会話を聞いて一言もの申したが、俺とセリアは慌てる事無く、そう普通に返した。実際、言葉は悪いかもしれないが俺とセリアの内心としては凄いなっていうので一致してるのだ。


「どうだか」


 とか言いながらミカは冷蔵庫からレモン水もどきを取り出しコップに入れていく。


「ミカ、山でのシエノラはどんな感じ?」

「どうって?」

「んー……嫌がらせとかされてない?」


 そう聞くとミカの顔は「何言ってんだコイツ」って顔になってそれから、それからなにかに気づいたように眉を寄せた。


「聞く相手、間違えてない?」

「なんでだよ」

「女神シエノラ様を嫌がらせする相手をボクは一柱(一人)しか知らない」

「……お前から様付けされた名前を聞くと違和感感じるな……」


 そう零した後、俺は笑う。


「確かに、聞く相手を間違えたかもな。でも、お前の様子を見て、大丈夫なんだなって思ったよ」

「それはどうも」

「で、店の接客の方は?」

「問題ないよ。そもそも、相手はアルフ族なんだから、ニコって笑ってやれば喜んで財布の中身を空にするよ」


 紐を緩めるだけじゃなくて空にまでしちゃうかぁ……。


「セクハラが出ないように気をつけないとな」


 すべき対策はそっちかもしれん。


「妊婦さん二人の方は?」

「そっちは表に出すつもりは今の所無いよ」

「裏方で座って出来る仕事を回すらしいよ」


 俺の質問にセリアとミカが答える。

 妊婦だからって仕事なしとはならない。彼女自身達のために、子供のためにお金は稼ぐべきだろう、と。でも負担がないように配慮はしているのだろう。

 まぁ、あの二人はシエノラが見守ってる分、絶対に大丈夫だとは思うけど……。

 

「……ミカ、シエノラは?」


 山から愛しの奥様がまだ帰ってきません。

 早く逢いたいのになぁ。

 昼間ゴドーに会ったからか、なんか禁断症状っぽい感覚が自分の中でする。

 そんなわけなので、明日の子供達の弁当を今作ってるわけだ。

 収納しちゃえば時間経過しないし。

 思う存分イチャラブしてやるんだ!


 夜、気が向いたら、ゴドーになってくれるって言ってたし!

 可能性は薄いけど、薄そうだけど、でも、希望は持つ!!


 で、シエノラが帰ってきたのは、明日の弁当と、朝食まで出来た頃だった。


「ほら、エド」


 帰ってくるなり投げ渡されたのは、思わず、ドッグタグ? と思ってしまうものだった。


「免罪符だっけ? こっちの世界の神の許可も取ってあるから」

「あ、ありがとう。用意してくれたんだ」


 あとで自分で作るつもりだったのだけど、こっちの神の許可も必要だろうって事でどうやらシエノラが先に取ってくれたようだ。


 嫁さん気が利く~。


 まぁ、気が利くのはむしろそれをシエノラに伝えたシムの方なんだろうけど、シムを褒めるのはなんだか自分を褒めているような気もちょっとするかなぁ。なんて。


『素直に褒めてくれる方が嬉しいです』

 ありがとう、助かったよ。


 本人が言うので素直に礼を言う。

 もちろんシエノラにも。


「これ、ありがとう」

「お礼は私にではなく、シムに」

「もう言った」

「そう」


 ふわりとどこか嬉しそうに笑う嫁さん可愛い!

 でも、待ってくれ。なんでシムにお礼言ったらシエノラが嬉しそうにすんの!?


 シム!? どこまでシエノラと仲を深めたんだ!?

『誤解のある言い方をしないでください。そして私に嫉妬するのも止めてください』

 そんなの無理だって分かってるだろ!?

『分かってます。だから私は体を持つのを拒否したのですから』

 ……でしたね。はい。ごめんなさい。

 シムに謝り、俺は少し遠い目をした。


 改めて思うけど、俺ってほんと、面倒な性格してるよな。


 




そろそろシエノラさんの名前を由来をきちんと書こうかなっと。

たぶん、まだ書いてなかったですよね??





シエノラ→江戸です。

シエ ノ ()



きちんと気づいた人達には、「どん引きするわ!」というメッセージを頂きました。

ぶっちゃけ、エドも思いついたのはいいけど、これは流石にって思ってたりしてました。

でも一応、ゴドー本人にお伺いしたのは、「自分の物だっていう意味で名前を付けろって事?」っていう会話のせいですね。

ほんと、それを許すゴドーが凄い。




あの会話がなければ、ヒノワとツキヨの名前を使って、二人の娘って事で、っていう名前になってたはずなのに……。

なんでこうなったんだろうなぁ。って私自身思います。

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