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お茶会は授業なんです。

更新、お待たせしました。すみません。




 お茶会って。どの辺が授業だよ。



 と、内心思ってたのだが。


 主催は抽選で選ばれた生徒らしい。中等部からの繰り上がり組が、その対象。

 これに当たると、春休みがなくなる。と、嘆きの係だったらしい。

 決められた予算に、人件費、料理の手配、材料費、会場のセッティング等々お仕事は多岐にわたるらしい。

 で、招待客はお茶会で交流を図りつつも、お茶会と接客スタッフの採点をするらしい。

 何故スタッフの採点?

 とか思うが、こちらはこちらで、見習いらしい。

 聞いたら、各家の見習い執事とかメイドらしいよ。

 あくまで見習いのみであって、本職を呼んじゃ駄目らしい。

 もちろん見習いだけでは、スタッフの手が足りないので、アルバイトが募集されるらしい。その面談も生徒がする。教育係はその生徒の家の本職の方。

 これで筋が良いとなれば採用もあるらしく、アルバイトに取っては就職のチャンスとなっているのだろう。


 今回みたいな二クラス合同とかはそう多くないらしいが、合同じゃなきゃちょくちょくあるらしく、俺やルベルトにもそのうち主催の役が回ってくるだろうよ。と言われた。

 だから良いと思ったものは積極的に盗めとの事らしい。


 でも、俺、貴族になるつもりこれっぽっちもないんだけど……。

 と、思ったが、平民なら平民で貴族を呼ぶパーティーとして考えろって事らしい。

 その場合、スタッフはプロを呼んでも良いか? って気がしてならないのだが……。


つまり、俺もお茶会でそんな情報を収集していたわけで。

 どうやらお茶会はきちんとした授業らしい。


 お茶会は昼食後に行われるものなので、基本はお茶やお菓子というかスイーツというかそういうのがメインだ。


 もしかして晩餐会とかもあるのだろうか。と尋ねたら、むしろダンスパーティーかなって言われた。

 あるのかダンス……。えー。俺、踊れないけど?


「っていうか、よく予算あるね……」

「そのために魔物を倒すんだよ」

「え!? 予算も自分で稼ぐのか!?」


 こくりとみんなは頷く。


「合同に関しては学校から出る。それ以外は自費だ」


 なんつー無茶苦茶な。

 っていうか、授業なら学校が出せよ。

 とぼやきたいが彼らはそれに違和感をもたないらしい。

 もしかしたらこの辺も情報操作されてるんじゃないかって気がしてならん。

 ルベルトを見る。……うん。分からん。こいつこういう時は完璧にポーカーフェイスだよな……。


「チームメンバーが決まったのか?」


 そんな話をしていたらアロンが声をかけてきた。

 春と夏の国の王子がぞろぞろと取り巻きを連れてやってきた。という感じだ。


「おう。こっちにいるメンバーだな」

「そうか。それでいいか?」


 アロンは春の国のルット王子に確認をとる。彼は頷いた。


「では、私と、ルット王子と護衛の二名を入れて計十名でいいな」

「五人から六人チームっていってなかったか?」


 というかいつからルット王子が仲間入り?


「そう言いつつも、お前達どう見ても三名以上集めてるだろ。基本は一つ、場合によっては二つのチームに分けて動くでいいんじゃないか?」

「まあ俺達はそれでいいけど、他の人達はいいのか?」


 アロンの言葉を聞いて愕然としてますけど? 取り巻きの方々。


「別に問題はないだろう。彼らは話がしたいと言ってついてきただけだしな」


 アロンの言葉にルットは苦笑する。

 周りに居た人間達は驚愕という表情を見せていた。ルットが否定しないせいもあるのだろう。

 取り巻きの中には昼食の時間に最初に声をかけたメンバーがいた。

 残念だったな、と内心思っておく。


「お久しぶりですね」

「うん。そうだね。元気?」


 敬語を使うのはルット(王子)で、俺はタメ口。前回はそんな事もなかったので、ルットは少し驚いた顔をしていたが、ちらりとルベルトを見て、それからまた笑顔を浮かべた。


「元気ですよ。そちらは?」

「元気だよ。っていうか敬語じゃなくていいよ?」

「ではお言葉に甘えて」


 彼はほっとした表情を見せた。


「前回会った時よりも成長したか?」

「結婚したタイミングでね」

「結婚!?」

「おう。神官と結婚したって連絡きてない?」

「「「神官と!?」」」


 返答は何故か三つ。一つはルット。もう二つはリームとバラッド。

 うん、俺、もしかしなくても墓穴掘った?


「素晴らしい!」

「エド! お前嘘ついてないだろうな!?」


 喜色満面のリームと大慌てなバラッド。


「嘘はついてないけど……、それがどうかした?」

「私にも機会があるという事。喜ばしい」

「止めろ! お前絶対女神官全員に求婚するだろ!」


 それは流石に……ないんじゃないか?


「何を言う! 求婚してもいいのなら男女問わず全ての神官に求婚するに決まっている」


 予想よりも上だった!


「全員とは……。それは難しいんじゃないか? もちろん何人かは断るだろうが、受けた全員を君が養えるのか?」


 ルットの言葉にリームは頷いた。


「喜んで、命を削り、働こう」

「削るな!」


 バラッドが怒鳴るが気にした様子はない。

 いやはや、何というか大変そうだな。

 そんな事を思っているとバラッドと目があった。


「止めろ」

「え?」

「同情とかいらん……」


 うわぁ。すげー疲れてるよ。

 ……従兄弟との事だがむしろ兄貴のような感じだなぁ。

 というかこの口ぶりからして、散々『哀れ』って目を向けられたんだろうなぁ……。


「殿下! 本当にこんなやつらとチームを組むのですか!?」


 取り巻きの一人が俺を指さし問い詰める。

 良いとこの坊ちゃんなら人を指刺すのは止めようなぁ。


「平民ですよ!? いくら特待生とはいえ、足を引っ張られるに決まってます!」


 怒鳴りつける彼に俺は肩を竦めた。ルットもちょっと困った様だ。

 たぶんあの様子からして、隣にいるのが初代国王(ルベルト)だと知ってるのだろう。


「貴族ってそんなに偉いの?」

「さて? 吾からしたら、平民も貴族も変わりないからな」


 俺の小声にルベルトも小声で返す。

 ルベルトはどこか楽しげにやりとりを見ている。なんて返すのか楽しみらしい。

 酷いご先祖様だねぇ。なんて思っていると先生に連れられてやってくるお客に気づいた。

 俺は一声かけてそちらに向かう。

 あっちも気づいたのか手を振り駆け寄ってくる。


「やっぱり午後の授業はなくなったのか?」

「うん。おうちにかえりなさいってなったよ」


 笑顔で駆け寄ってきたニア。


「アルフ族か?」

「いや……一応ヒューモじゃないか?」

「かわいい……」


 なんて声が聞こえる。男も女も興味津々で見てる。

 ニアの頭を撫でて先ほどまでいた場所へとニアを連れて行く。

 お茶会だし先生がこっちに連れてきたって事は参加させても問題ないだろう。


「ニア、ご飯は?」

「おなかすいた!」

「そか。軽いもんとスイーツ系だけしかないけど、それ食べな」

「うん!」


 ニアは嬉しそうに俺の手を取って並んで歩く。


 途端に周りのジェラシーを感じる。

 突き刺さりそうな視線が痛いこと痛いこと。笑っちゃうけど、まぁニアは美人さんだから仕方がないだろう。


「とにかく、平民だからと私達は差別するつもりはない。一度、彼らとチームを組む」

「ですが!」


 どうやらまだやってたらしい。まぁ王子に言われてもあっさりと意見を変えない所はガッツがあるのかね?


「愚かしい。神の前では貴族も平民もただの人。何をそこまで拘る」


 リームが心底理解出来ないと言った様子で呟く。

 普通に考えるとお前の考え方が理解出来ないんだろうけどなぁ。

 いや、理解は出来ても納得ができないのか?


「ん? ニアじゃないか」


 アロンが気づき声をかけてくる。


「初等部は終わったのか?」

「色々あってな。今日は授業がなくなったんだよ。ニアとりあえず、ここにあるもの食べて良いと思うぞ」

「いいの!?」


 顔を輝かせるニア。おー、食え食えと頷いたらニアは可愛らしい笑顔でテーブルの前に立ち、お皿を取ってどれを取ろうかとわくわくとした顔をしていた。

 そして、それに見惚れる男共。やべぇ、ちょっと笑いそう。

 ルットに文句を言っていた男子も口を半分開けたままニアを見ていた。

 うん。こやってみるとアルフ族ってやっぱ凄いんだな。

 いや、ニアはアルフ族じゃないけどさ。


「ねぇ、お兄ちゃん、これも食べていいの?」


 俺の服をツンツンひっぱり尋ねてくるニアは、うん。普通にかわいいな。

 こういう妹が俺は欲しかった。

 って思う位には可愛いよ、うん。


「いいよ。いいだろ?」


 周りにいる男共に聞くとみんなは一斉に頷いた。

 そして、「これもおいしいよ」と皿に料理を乗せてニアに差し出すという攻撃が始まる。

 ニアは驚きと戸惑いを見せた後、怖くなったのか、俺の方に体をぴたりとくっつけて隠れようとする。


 それにジェラシーを向ける男達。だが、先ほどニアが俺の事を「お兄ちゃん」と呼んだからか、その嫉妬はすぐに消えた。そして笑みを浮かべる。


「彼女、俺のハーレムにいれてあげようか?」

「寝言は寝て言え」


 さも偉そうにそんな事を抜かす男子生徒に俺はやっぱり笑顔でそう口にした。


「無礼だな、お前、本当に」


 男子生徒の目に険が混じるが俺は笑うだけ。


「それが許されてるからな」

「貴族相手にか?」

「そうだよ」

「思い上がりも甚だしいな」

「……やめておいた方がいいと思いますよ。彼女達の後見人は初代国王ですから」


 ルベルトが殺気だったその男子生徒に口を挟む。

 おや、言っちゃったよ。と思った俺と目を大きく開き、絶句する周り。


「正確に言うと初代国王も神から直接頼まれたようですが……」


 続いた言葉にさらに驚く彼ら。目玉が落ちないかって思う位に目を見開いていた。

 そこまで言うのか。その方がただの平民だとは思わない---。


「素晴らしい!! ああ! やはり君はとても素敵だ!!」


 一人驚きの種類が違った男が俺に抱きついてこようとするのを俺は結界を張って遮る。


「おい、ルベっちよ」

「ニアの身を守るのなら一番楽な方法だ。……ソレ(・・)については、まぁ……謝っても良いが、遅かれ早かれ、な気もするしぞ?」


 ルベルトの言いたい事はなんとなく分かる。

 貴族達は、身分とやらでニアを手に入れようとするのだろう。

 もちろん、そんなのに屈するわけがないが、手荒な方法だって考えるかも知れない。

 実行はまず無理だが。俺の守護下だし。

 ただその場合不幸な死体が出来るかも知れないとルベルトは思ったのだろう。だから彼らが短絡的に行動しない方法を取ろうとしたわけだ。

 初代国王と神が関わっていたらまず、間違いなく手出ししないだろうと。


 ただ、例外が一人いるだけで。

 神が関わってるとなると喜ぶ男がいるわけで。


 目の前の男は、食堂で見たように、ちょっと危ない顔をして結界に頬ずりしてる。


「……っていうかさ、なんでこいつ……」


 分かるの?


「さて。第一欲求だとしても、こうなる理由は吾にも分からん」


 俺の言葉に出来ない思いを分かっているのだろうルベルトはそう口にする。


「だよな……」


 実際、神の力が漏れているとしても、それはとても少ないと思う。

 それに気づくか? 普通。と言いたいぐらいだ。

 相手が神官ならまだ分かる気はするが……。そういうわけじゃないしなぁ……。 


「どうでもいいが、君は早く免罪符を用意すべきだと思うぞ?」

「んー……」


 とりあえず帰ったらそれらしいのを作るか。







先週から母親が遊びに来てまして、色々あちこちに行きました。

移動時間、下書き出来るかなって思ったのですが、書いてると眠い。降りる駅乗り過ごす……。と、むしろ読み専になってました……。

これからちょくちょく書いて更新したいと思います。


 

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