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双子の神の力の使い方。

短いです。



 シエノラ・ノ・ゴドーは女神で有り、男神である。

 どちらが主人格というのはない。どちらであろうとも、正しく、『シエノラ・ノ・ゴドー』という名の神なのだ。

つまり、シエノラ・ノ・ゴドーが女神(シエノラ)としてずっと活動しているのは本人の意志で。ぶっちゃけて、男神(ゴドー)になったのは、ここに来て今が初めてのはずだ。


「え?」

 

 俺は頭が一瞬真っ白になって、斜め後ろに居たゴドーを見つめ直す。

 神官服を着ている所をみると、ほんと生前のゴドーと変わりない。


「……なん……で?」


 俺は、戸惑った顔をしていただろう。だって、ゴドーは、シエノラ・ノ・ゴドーは……男神(ゴドー)の事が嫌いなのだ。


「君の力よりも私の力の方が向いているだろ?」


 そう言われて俺は彼がここにいる理由を知った。そして、そのまま顔を双子達に向ける。


「嫉妬して良いですか!?」

「コドモにまでシットしたらオトナとしてはずかしいんだよ!」

「パパがママの事、スキなのしってるけど、オトナゲないのよ」


 泣き止んだ双子が告げる。

 俺はもはや男の事なんてどうでもよくて、大人しくゴドーから促されるまま離れてorzマークを披露する。

 何故って?

 一月ほど前から、タイミングを見ては、ゴドーに会いたいなぁ。って口にしてたのだ。

 でもシエノラはそれを聞き入れてくれなかった。

 なのに、なのに……。

 子供は特別ですか! 俺よりも特別ですか!?

 うぅ……まじでへこむ……。


 ゴドーは俺のへこみ様なんて関係ないようで、男に淡々と告げる。


「君の生殖能力を破壊した。君は先ほど彼が言った事をやっていないと言った。それが真実なら神殿に行き、治療して貰うと良い。君の言葉が真実なら神の力により、君の体は治る」

「な……にを、言って?」

「言葉のままの意味だ。神殿に行き、治療してもらう事で、君は君自身の潔白を証明すれば良い」


 ゴドーはそれだけを言ってきびすを返す。

 へこんだままの俺に手を差し出して、立たせようとするので、俺は苦笑を一つしてその手を取り立ち上がる。


「今日は、あの子達を連れて帰ります」


 ゴドーは女性に告げて子供達の元にいき、二人の頭を撫でている。


「今日はこのままお家に帰ろうか」

「「うん!」」


 双子は同時に頷いてゴドーに抱きつく。ゴドーは二人の手を取って歩き出し、俺はニアを見る。


「ニアはどうする?」

「……一緒に…………、ううん。学校に残る」


 一緒に帰るといいかけてニアは頭を横に振った。


「そうか?」


 ニアはもう一度こくりと頷いた。

 本人が頑張るというのだから頑張らせるか。

 それに、午後の授業があるかも謎だし。


「もし、授業がなくなって帰ることになったら、高等部に来るんだぞ?」

「え?」

「馬車はまだ来てないからな」

「じゅぎょう、なくなるの?」

「んー、なんとも言えないけど、そうなる可能性もあるかなって、念のためにな」


 なんせ昼飯がなくなるし、貴族がメインの学校だし、不祥事として、かなりの大事になるかもしれないし。


「わかった」


 こくりとニアは頷く。

 俺は女性の方に振り返り告げる。


「彼を神殿に連れて行き、治療させてください。もし、治療が出来るようでしたら、その時は俺の勘違いという事で、皆様へ賠償金を支払いますので。治療が出来なかった場合は、俺たちの言葉が本当という事です。他に何か有りましたら俺の方に連絡ください。では」


 俺はそれだけを言って、足早に出て行く。なぜなら俺にはゴドーを追いかけるという使命があるのです!


 久しぶりのゴドーを堪能させてくれ!

 ギュッってしたい! チュッってしたい! ご尊顔を拝見したい!!


 皆から見えない位置に来ると俺は即座に走り出す。

 三人の後ろ姿はすぐに見つかった。俺の足はさらに速くなり、足音にだろうか、三人は振り返った。

 俺は思いの丈を口にする。


「せめてハグとキスをするまで待ってくれてもいいじゃん!!」


 久しぶりのゴドーさんは、すでにシエノラさんになってました……。


「なら私にすればいいだろ? ゴドーも私なのだから」

「それはそうだけど。……てか、今してもいいの?」

「良くはないな」


 ぽつりと呟いてまた歩き出すので、俺もその後に続く。


「二人は連れて帰るけど、エドは学校に残るんだろ?」

「まぁ、授業残ってるし。さっきの事で何かあるかもしれないし」


 そう口にすると双子が同時に、シエノラに抱きついて、顔を押しつけている。


「きもちわるかったんだよ……」

「こわかったの」


 ぐずる二人に、シエノラは足を止めて、俺はしゃがみ込むと二人の頭を撫でる。

 ゴドーがすぐにシエノラに切り替わったのは、二人のためというのもあるんだな。と理解した。


「ああいうバカの事は忘れな」

「「……良いの?」」

「いいよ。食べられない料理だった。くらいで覚えてれば」


 双子はシエノラを見上げる。シエノラも小さく頷くので、ほっとした表情で双子はシエノラの手を離し、お互いに手を繋ぎ輪を作る。


 手を繋ぐ。


 それが双子にとって自分たちの力を使うための条件。

 双子神のため、彼女達は二人一緒じゃないと神の力が使えないのだ。

 ……大きくなったら違うと思うんだけどね……。


 二人から光りが溢れ、そしてガラスが割れるような音がした。

 上手く記憶を書き換えることが出来たのだろう。神の力が発動し、二人は糸が切れた人形のように、倒れていくので、俺とシエノラで支える。どうやら意識がないようだ。


「記憶にかかわるものだから、かな?」

「たぶん」


 普段であれば神の力を使ったからといってこんな風にはならない。


「転移で一気に帰るよ」


 シエノラは二人を片腕ずつで抱きしめながら告げるので、俺もゴドーが支えやすい位置を見つけるまで双子を支えてやりながら、頷く。


「二人をよろしく頼むよ」

「ああ」

「それと、愛してるよ、シエノラ・ノ・ゴドー」


 シエノラの額に口づけて俺は笑う。


「だから、夜はゴドーに逢わせてね」

「……気が向いたら」


 そう頷いてシエノラは二人を抱えて消える。

 気が向いたら、か。

 うん、逢えないパターンそうだな。

 

「はぁ……」


 ゴドーの性格が変わったくらいでは俺は気にしないのになぁ……。


 そんな事を思いながら俺は先ほど来た道を逆にたどる形で高等部へと戻っていく。






書く時間が今週と来週は極端に短くなるのでは? と思ったので、そこそこの長さになったらアップしとこうかな、って思ってます。


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