ピヨ助ピヨ吉なんでもいいが、絶対に名前では呼ばない。
ちょっぴり熱が出てきましたので、短いですが更新しないよりはましかな? と思ったので。
今回のタイトル。何にすれば良いかで迷った。短いしね。
なのであんなタイトルにしてみた。
「そういや第二王子ってどういう感じなんだ?」
「……野心に溢れるという言い方をすれば誤解を受けそうだが、自分が王になるのが当然であると思っているふしはある。事実、アルフ族はバロンとカネルしかいない。ならそのどちらかが王になると考えるなら、先に生まれたカネルがと、今までならなっていたはずだ。ただカネルの母親がヒューモ族という事で国民の多くが不信感を持っているだけで」
「神殿がヒューモ族に荒らされてるからってのが主な理由だよな?」
「そうだ」
「一応神殿と国は別なのだがなぁ……」
と、呟いたのはルベルト。
「そういや国って神殿に対しどれぐらい口出し出来るの?」
「ほぼゼロだな」
「神殿は神の領域。私達人が立ち入って良い場所ではない……」
ルベルトの言葉をアロンは疲れて切ったように同意した。
まぁ、国からある程度発言できるのなら、水のスキルに対してもっと安くしろって抗議してるよな。
本来であれば神が釘を刺さなきゃいけないのかもしれないけど、神が決めた縛りの影響で口が出せないと。
大変だなぁと思うと同時に自分たちにも無関係とは言えない。
神が人と関わるか、関わらないかによって体制は大きく変わるだろう。
ため息を一つつく。これから先のことを考えたらため息もつきたくなる。
「まぁ下っ端の貴族が、下っ端の神官に色々言ったりするのが有ったりするが、それらの多くは癒着だな」
「へー……でも、国側から神殿に働けないのなら、神殿側だって国には働けないんじゃないの?」
「神官の家族は普通の市民だからな」
「あー……なるほど」
そういや普通に考えたら、神官の多くは両親やら兄弟がいるよな。
周りが依り代ばっかりで家族の話が出ないだけで。
「……それにしてもルベは詳しいな」
感心したようにアロンが言うので、俺は一瞬言葉に詰まる。
ルベの本名がルベルトだと知ってても、さすがにイコールで初代国王にはならないからね、普通。
同姓同名の別人って考えるからね。
もしかしたら城にいる騎士達の多くはただの金持ちと思ってるかも知れんな~。
「こう見えて、君の何十倍も生きてるからな」
ルベルトはそう返す。アロンはそれもそうかと頷いていた。
まぁそんな感じの役に立つのか立たないのかいまいち微妙な話をしながら俺達は城へと帰っていった。
城ではシエノラが出迎えてくれた。
「「ママ~」」
「おかえり。学校は楽しかったか?」
「みんなでお昼寝したんだよ!」
「お友達もできたよ」
お昼寝? と首を傾げたが二人とも楽しそうだったからか、シエノラは流した。双子を撫で、ニアの頭も撫でる。
「おやつがあるから手を洗ってきなさい」
「「「はーい」」」
双子は半分神だからそんな事しなくてもまず病気にならないが、郷には入れば郷に従えという事で普通の人間と同じように生活してもらっている。
「シエノラ、ただいま~」
声をかけて抱きしめる。
両頬に口づけて唇にもとしたところで、シエノラは首を傾げて告げる。
「セリアに聞いたが、これ、君たちの国の挨拶じゃないんだって?」
思わず視線を顔ごと逸らす。
セリアめ余計な事を。
「一応、そういう挨拶の仕方はあったよ?」
「うん。他国の挨拶の仕方だと聞いた。思いっきり悪用してるよ、と笑ってた」
「悪用って……せめて、利用ぐらいで……」
しどろもどろにいうとシエノラは肩を竦めた。
「頬までな」
「くっ」
ランクダウン! 悲しい!!
悲しみの余り項垂れる。
その頭を撫でられた。
少しだけその顔を盗み見ると、娘達に向ける眼差しがそこにあって、これをただ単に愛情と受け取れば良いのか、それとも相変わらずのひな鳥扱いだと思えば良いのか。
シエノラは俺の頭に手を置いたまま、それから少し言いづらそうな表情を見せた。
でも、シエノラさん、その顔、おねだりの顔にも見えます。
「……なぁ、エド、エメルドを召喚してもいいか?」
ひな鳥の方だった!!
「……どうぞ」
ここで、おねだりな表情を作った愛妻にノーと言えるほど強くはないのですよ……。
シエノラは途端に嬉しそうな顔をし、手を合わせた。
【エメルド、おいで】
力ある言葉。手を扉と見立てて開く。そこにポンッ現れたのは、いつぞやのヒヨコ。ピヨ吉であり、ある種、俺の一番のライバルである。
ピヨ吉は嬉しそうにシエノラに抱きしめられている。
ま、あの胸ですからね! そら嬉しくもなりますよね!!
そんなやっかみを心の中で呪詛のように吐き出した後、本題に入る。
「……何かあった?」
シムがいるのに、まさかピヨ吉まで召喚されるとは思って無かった。
もしかして真面目に俺と会話が出来なくなるくらいの何かがあの時シエノラに起こってたのだろうか。
「……何かって?」
ピヨ吉を抱いたままシエノラが聞き返してくる。
「分からないから聞いてる」
「……特に報告するようなものはなかったかな?」
しばし考えてシエノラはそう答えたが、本当だろうか?
それなのに、エメルドも呼ぶだろうか。
シム?
『マスターが心配されているような事は何も起きていません。ただ、仕事がそれなりに忙しかったので癒しが欲しかったのだと思われます』
疑問を投げればシムはすぐさま答えてくれた。
癒やし……。
と、言われたらまぁ、納得出来る姿ではある。シエノラは嬉しそうにエメルドを撫でてるし。その姿がアニマルセラピーという風に見えなくもない。
……何もなければいいんだけどね。
じゃあ俺達も行こうか、と声をかけ周りを見ると残るのは俺とシエノラだけになっていた。
どうやらルベルトとアロンは静かに立ち去っていてくれたらしい。
「何も無いのなら良かった」
手を繋ぎ、ダイニングへと向かう。
俺だってシエノラが用意してくれたおやつ欲しいからね!
「……何かあったら言ってくれよ?」
「ああ。それで、そっちはどうだったんだ?」
「あー、学長の話がスッゴク長かった! 初等部の子達ほとんど寝てたよ」
「……さっきのお昼寝したってのは」
「あれは寝ても仕方が無いと思う」
サクラの言葉に思い当たったシエノラに俺はしみじみと口にした。あれは居眠りしてても仕方が無いレベルだと。怒らないでやってくれ、と。
そんな話をしながら俺達は連れ立ってダイニングへと入っていった。
明日更新されなかったら体調が悪化したのかな? とでも思って貰えれば……。