第1話 20xx年 A国にて
冬
「さあ 今日から クマウィークだ。 引き締めていくぞ!」
「はい!」
朝礼で室長から激が飛んだ!
「マップ班 スタンバイOK」
「通信班 準備良し!」
「ドローン出動!」
係長達が次々と応える
動物管理局分室A1のベランダから 一斉に飛び立つドローンたち
ここは 冬山1号地区にある 動物管理局分室A1だ。
このあたりは、冬になると1m前後の積雪となる。
◇
かつては、春グマ狩りにより、猟師たちが 冬眠中のクマの親子を仕留めて間引きすることにより、クマの頭数管理が行われていた。
しかし 社会の生産活動の変化に伴い、猟を専門とする者達がいなくなり
やれ 動物愛護だなんだと騒ぎ立てる連中が跋扈するようになり
クマたちは 山野でのびのびと繁殖活動を営むようになってしまった。
当然、増えすぎたクマは里に下りて来る。
動物愛護が最優先の歪んだ思想に毒されたA国では 射殺はNG
麻酔銃で撃つか 罠で捕獲した熊は ちゃんと山に返してやりましょう
という対応
すると 千年近く鉄砲の怖さを身に仕込ませていたクマたちも
人間恐れるに足らずと学習してしまい
今では
人間をたんぱく源=餌、
&
人間達が栽培する果樹や穀物は、スイーツ
人間の居住区画は、スパイスと未知魅惑のごちそう食べ放題地帯
と認識し、どんどん 街中まで出没するようになった。
さらに 冬眠なにそれ?わざわざ餌の少ない山に引っ込まなくても
里の空き家や人の少ない家屋の床下の方が いごこちいいじゃん
わざわざ冬眠しなくても 人間達の住む所=俺たちにとっては絶好の餌場・しかも年中無休だし!
と認識して 街中を住処とみなすようになってきた。
どうせ こうるさい人間どもに遭遇しても かみつけば俺たちの勝ち!
ひっかけば倒せる、
面倒な奴にであったときは、一時撤退すれば追いかけてくる心配もないし!
と認識してしまったのだ。
◇
そこで 人間達は考えた。
・銃刀法を改正して、誰もが銃を持てるようにすれば
当然 害獣駆除ではなく、犯罪目的で人間に銃を向ける輩も出てくる。
それは困る。
それに 乱獲で絶滅というのも後味が悪い。
ならば 銃刀法の改正は見送ろう。
・では 鳥獣保護法を改正して、農作物を守るために 生産者が 害獣駆除する権利を保障してはどうか? いやそうすべきだという意見が出てきたが、
これまた 動物愛護団体が ギャーギャーいうのでぽしゃった。
そもそも 農産物被害だけでなく 養殖池・家畜の飼育場も襲われる
林業従事者や、山の中の高圧電線と鉄塔の保安員も襲われる。
しかも 街中に出没したクマへの対応は・・?
などと 個別の事案を検討しだすと、いちいち 動物愛護派が騒ぎ立てる。
・この動物愛護派というのは、自分が被害を受けない限りは
何千人死のうと何億円の損害が出ようと、
クマ被害で倒産して経済的に立ち行かなくなって一家心中する者がどれほど増えようと、
一切気にしないトンチキ集団。
しかも この集団は都会に住み、肉も野菜も果実もスーパーで買うだけの暮らしをしているので、
商品価格や 商品についた些細な傷を気にしても、
それらを育てる苦労には一切目を向けない身勝な人間集団なのだ。
それこそ「仕事に苦労はつきもの。それを努力と根性で乗り越えるのが文明人だ」と言い捨てて。
ようは 「人間には自然を支配する力があるからこそ、人間が自然を守ってやらねばならない
私はそういう立派な人間なの!」という 錯誤と傲慢に凝り固まった輩なのだ。
「自然とは 人智の及ぼぬ偉大な存在なのだ」という畏怖もなければ
「だからこそ 無力な人間は、自然と協調するだけでなく、人間の居住区画は 自然の脅威から身を守るために守り抜かねばならない。
大地の恵みetcに感謝して、自然様の領域に 人はむやみに対いらず、自然様の環境を荒らしてはならない、
その一方で ささやかな人間の居住地だけは 守らねばならない」という並行思考、真の意味での平和共存思考ができない輩、
それが 徒党を組んで「動物愛護~!」と叫んでは 里山や鎮守の森(集落の近くで手つかずの自然を残すために地元民が守ってきた土地)を買収しては、観光ツアーを企画して金稼ぎ、自分達の思想を国会やら地元有名人・有力者に売り込んでは寄付金集め・補助金を集めて生活したり、好きなように自然改編して 周辺地区への悪影響を及ぼしても平気の平左、そういうやりたい放題の連中が 「動物愛護団体」を自称するようになっていたのである。A国では、
そこに A国の経済活動を阻害したいなら、動物愛護と唱えさえすれば A国を衰退させる政策だって 国会議員が積極的に推進してくれると学習した隣国勢からの後押しもあり・・
◇
この状況にプッツンした官僚たちが立案したのが、「害獣全頭管理案」だった。
・平和憲法を守りたい。しかし 実践的防衛力は増強したい、
だが、A国の売国議員どもは 周辺国からのわいろによって
あらゆる科学技術の発展を阻害するための決議ばかりを上げて来る。
・その結果、 大学での先端技術開発には、「何も開発競争に勝たなくても、2番 3番でもよいではあーりませんか」といって 特許競争で勝てそうな分野を軒並みつぶされてしまった!
・生粋のA国民出ある若者には、大学に行きたければ 親に出してもらいなさい。それが無理なら、「在学中の4年間は 少しばかりの融資をしてあげますが、融資金のすべては複利計算での利息つき、大学卒業後は 毎月10万円以上を30年かけて返済してくださいね~」と言って、実質奨学金申し込みを断念させる政策
ちなみに 奨学金の申し込みは 大学に合格してからの申し込み、そして申し込んでも必ずしも望んだ金額分の奨学金がもらえるわけでもないし、その奨学金は 大学に支払う学資相当であって、教科書代やら実習代やらをまかなえる金額ではない。生活費はもちろんバイト必須。
そんな状況では 奨学金をもらっても 学業に専念できるわけがない!
必然的に 大卒資格をとっても 不勉強な(十分に勉学の機会を得ることができなかった)若者たちがあふれ、そうした先輩たちの姿を見て 最初から進学を断念して無頼の徒となる若者がじわじわと増え続けたA国の若者たち。それがやがて中年となり老年となってたまっていく。
・その一方で隣国からの留学生には 毎月30万円以上もの「奨学金」を無償で提供。
まだ 大卒初任給が16万円くらいだった時代に置いて!
さらに この留学生たちは A国の大学に入学する前に 半年以上もの 語学などの特別授業を無償で受けていた。もちろん 奨学金付きで。さらに 支給される奨学金とは別枠で 無償の学生寮・移植補助や 各種の催し(招待旅行等)への参加もただ、それこそ顎足つきで毎月遊びに観光にと招かれていた。
・そういう実態は 国民の大多数から隠されていた。
なにしろ 全国紙の新聞社=全国放送局
そして 放送局の管理職もまた大多数が 隣国出身者の子孫なのであるから。
A国 国民にとって 真に意味のある事実が 報道されることはなかったのであるから。
そのような事態を憂うる 官僚の一人にひらめいたのが「害獣全頭管理案」だった。




