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紫雲の國の玉水の恵み  作者: テディ
三の巻
82/153

帰路

 あまりにも会合がアッサリと片付いてしまったので、

私たちは、すぐに屋敷に戻ることになったの。


橙矢様が決断したので、それはそれはスピーディで……。

「雫、お前や実道には、都でやることがあろう?千隼もだ。

伊吹は自分の準備に入らねばならんし、鍛冶職人は

職人の準備があろう。話はまとまった。時刻は有効に使わねばな」


即決即断に、私が目をパチクリしていると

伊吹様がクスクス笑いながら、後に続いた。

「雫様、我らはひとまず体勢を整えに戻らねばなりません。

蒼がきてくれたおかげで、事が早く済みました。

私は、ここへ戻ってきます。(とも)の者も

警護の者も人選して戻るのです。

お館様への報告もございますからね」


そこまで説明してもらって、ようやくなるほどと納得した私は、

急いで帰還の準備をした。まずは使った部屋を掃除し、

忘れ物がないかのチェック。持ち物は少なかったらすぐできた。


私たちが旅支度を終えると、来た時と変わらぬ様相の鍛冶職人の皆さんが、

見送りに来てくださっている。

私は、そんなに思っていることが顔に出やすいのだろうか?

橙子様が、にっこりと笑いながら説明してくださった。

「雫様、我らはここで最初の準備を行います。

火床(ほど)がきちんと使えるか、鞴の調子も確かめなければならないのです。

来ていただいた時に、場は清めることができました。

次は作業の準備なのですよ」


なるほど……。前の作業から、どのくらい期間が開いたのか分からないが

それは職人として確かめておきたいだろう。

やっぱり理由を教えてもらえると、スッキリした気分で次にのぞめる。

これからは、私が立ち入れる仕事ではない。そういう事だ。

私は私のなすべきことを……。


「雫様、一同、またお会いできることを楽しみにしております。

蒼殿にも……」

橙子様が、そう言って蒼に視線をやり微笑むと、

旅支度した蒼が、可愛らしくキュッと鳴いた。

それを見て一層ほころんだ橙子様は、職人とは違った表情を見せていた。

少しリラックスなさった様に、蒼の視線に合わせて屈んだの。

「蒼殿、手伝ってくれてありがとう。おかげで早うに

伝達をいただくことができました。また都で会いましょう」


蒼は首を傾げると、私を見て、もう一度橙子様を見た。

「キュッ」

と鳴いた蒼は、いつもの様にニコニコ顔だった。

うん、これは良いよってことだね。

「橙子様、お会いできてうれしかったです。職人の皆さんにも……。

私は私の役目をはたしながら、陰ながら願っております」

そう言って、剣士として深々と頭を下げた。

どうか、どうか皆が無事に、仕事ができますように……。


顔を上げると、皆さんも頭を上げてくださっている。

何だかありがたい出会いだったな。蒼の新たな一面も見ることができたし……。

たった1日しか居なかったのに、しっかりと意識が共有できたような

不思議な気分だ。

こうして再開を約束して、私たちは帰還の途についたのだった。

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