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紫雲の國の玉水の恵み  作者: テディ
二の巻
44/153

進言

 伊吹様のご自宅で思いついた私のアイディアは、

すぐに翌日、勇隼様たち重鎮に精査されることになったの。


勇隼様の執務室に呼ばれ、私の目の前には、

勇隼様、橙矢様、清志郎様、伊吹様……。

このメンバーじゃ、しっかり話さないと橙矢様のツッコミが激しくなりそう……。


その橙矢様が、ニヤリとして私を見たの。……はい、なんでも話します。

「雫、実道と千隼に概要を聞いてはある。できると思っているんだな?」

最近は、千隼様たってのお願いで、年長者は千隼と呼ぶように

気をつけているらしいの。勇隼様も、そのようにしてやってくれと

口添えなさったみたい。

橙矢様は、私に授業するときのような、

本当にお前は面白いと言った表情を、もはや隠しもしていない。

橙矢様は普段は笑わないの。

初対面の時のように、無表情が多くて、笑った時は

策略を思いついた時だと、皆から思われている。

橙矢様は、願ったり叶ったりだと言って、気にもとめていないのよ。


「橙矢様、できるできないではなく、とても不思議だったんです。

伊吹様から聞いたお話と合わせて考えると、

私以外にも、影と対峙できる人が必要です。

お札を使わないなら、他の策が必要ですよね?

私は、影の居る空間を切ります。

だから、同じく剣士の技が必要なのかな?と思ったんです。

でも、そうでないなら他の方法を考えなければなりません」

「他の策?」

「はい。要は、影が見えた人が、浄化できればいいですよね?

吹き矢を吹くとか、槍で突くとか、呪文を唱えるとか、薬草を投げつけるとか?

他には……、何か策はありませんか?」

それ以上、アイディアが出てこなかった私は、

苦し紛れに橙矢様に、同じ質問をぶつけてみた。

……どうしよう……あの顔は、面白がっている時の顔だ……。


橙矢様は、顎に手を当てて考え出した。

清志郎様は、いつものように静かに疑問を口にしていく。

「雫、確かに、隼と違う役割の刀があれば、お前に近い浄化ができよう。

ただ問題は、伊吹にまだお告げが降りてきておらん」

「清志郎様、そこは心配ないと思います。私たちが、

手筈を整えて、それが正しい道なら、伊吹様にお話があるはずです。

なければ別の方法にすれば良い。それでは問題でしょうか?」

私が、そう答えると清志郎様は、チラッと伊吹様を見て、

私に視線を返した。

「なるほど。それが手順のようだ。それから……、

薬草を投げるとは……、面白い案だな」

「すみません、他に思い付かなかったので……。

薬草でなくとも良いんです。聖なる木の葉とか、聖なる水とかありませんかね?」

そういうと、伊吹様が笑い出した。

「聖なる木の葉……。なるほど、祈りの民でも代用が効く植物があるか

いくつか候補をあげましょう。お札が最強だと思っておりましたので、

そこは考えつきませなんだ。さすが雫様でございます」


伊吹様ったら、私の事を持ちあげすぎだよ……。

恥ずかしくなっちゃうでしょ?


「武器となると、候補は山のようにあるな……。お館様、

……まずは鍛冶屋が作れるものに絞ってみるのも良いかと思います」

さすが清志郎様。それは的確な気がします、師匠。


勇隼様は、いつものように大らかで穏やかな表情だ。

「雫、面白い案であった。我らには思い付かなかった。

さすが雫だな。またお前の周りが右往左往するだろう」

そう言って笑っている。

「はあ……、すみません……」

「いやいや、お前の案は皆を活気づけると言っているのだ。

聖なる水とは、どんなものだと思うのだ?」

「元の世界では、……これは、その効果があると信じている人だけが

行うんですけど、身や場を清めるときに、お塩やお酒を使うんです。

だから、こっちの世界にも同じようなものがあるのかなって思って……」

「なるほどな……。そういう訳であったか。

伊吹、少し候補を広げて考えてみよ。これは

祈りの民が適任であろう。鍛冶屋は清志郎と実道で補佐してやると良い。

橙矢、文献の改を急ぐように。何か示唆するものがないか確認するのだ」

「御意に……」


勇隼様の決断に、皆が尊敬の念を持って頭を下げる。

どう見ても時代劇で見たような所作で、でも皆はカラフルな

コスプレ集団……。未だに、不思議な気分になるのをやめられないのよね。


これ、イケメン揃いだから、夢心地で見ていられるんだと思う。

………………。いけない いけない、

夢じゃないんだから、しっかりしなくちゃ。


「雫、お前の案に本当に助けられている。褒美は何が良い?

私や周りに何でもねだると良いぞ」

「え?!いえいえ、お給金いただいてますから……」

「雫は、本当に欲の無い……。まあ良い。

思いついたら、話してくれ。良いな?」

「本当に大丈夫ですよ? 私、とても良くしていただいています」

首をかしげる私に、勇隼様はニコニコと眺めているのだ。


……ここにも居た。私に過保護な人……。

私は、慌てて辞退するのだった。

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