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紫雲の國の玉水の恵み  作者: テディ
七の巻
153/153

夢間

まどろみの中に吸い込まれた私は、雲の上に立っていた。

雲?霧?雲谷?


とにかく白い空間で足元も、空間以外も全てモワモワした白い中。


う〜ん、どこなんだろう?ここは……。


かなり広い空間で、でも外気ななく、なんとなく閉じ込められた気分。

広いのに外気を感じないなんて、なんとなく落ち着かない気分になる。


この世界に来てから夢をみた記憶がない。

というより、夢を見ても覚えていないのかもしれない。

毎日があっという間に過ぎてしまい、辛いことも楽しいことも好奇心すらも

振り返る暇がなかったのだ。

現実感が押し寄せてくる時もあれば、非現実の中に自分が居るような気分の時もある。

と同時に、忙しさを理由に深く考えることをしなかった自覚もある。

怖かったから。誰かが待っている訳ではないけれど、

私の日常は、もう戻らないかもしれないという現実が真実になりそうで怖かった。

その事を自分が受け入れられるか分からないことが、ただ怖かった。


私は、受け入れがたいと思われる現実が来た時、保留にするという術を身につけていた。

それが正しいのかは分からない。一人ぼっちになったときに身につけた術だ。

感情が溢れ出てしまう前に保留にして、自覚ないまま実感が降り積もるのを待つ。

まるで雪が、うっすらと降り積もって冬が来たんだと自覚するかのように。

自分が実感できれば、感情をコントロールできる。

そうすれば泣いてもいい。涙で溺れてしわまないから。

怒ってもいい。怒りで自分が燃えてしまわないから。

羨んでも、懐かしんでもいい。少し時間が経つと、自分には思い出があると気がつくから。


そうして朝日を迎えて、日常へ戻る。

ついてしまった傷を少しずつ少しずつ癒してく。新しい思い出で光を浴びるように。

私の負の感情への向かい方だ。たぶん私だけの方法で、他にもっと良い方法があるのかもしれない。

要領の良さとは程遠い私のやり方。


不器用だったんだろうな。自分でそう思った時、ふと雲でできた椅子が目に入った。


……。 椅子?  まぁいいか。どうせ夢だし。


私は、その椅子に座ってみる事にした。

そして、すぐさま飛び上がる事になった。


少し疲れたかな、

そう思って座った瞬間に声が聞こえたのだ。


「ふぅん、それに座れるんだ」

それは男の子の声だった。


声に驚いただけではない。私の全身に鳥肌が立っていたのだった。



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