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紫雲の國の玉水の恵み  作者: テディ
四の巻
102/153

探究

 せっかく楽しそうな料理の話だったのに……。

まあ良いや、あとで話してくれるって言ってたもんね。


「それで橙矢様、出申(デサル)帝国は、何か良いところはないんですか?」

「ふむ、職人にとっては面白い国であろうな。

とにかく鉱物を精製する技術もある。それにクレアと言う窓にはめる

透明の壁は便利であった」

「クレア……?」

「そうだ。壊れやすいのが玉に(きず)でな、敵への備には向いておらぬ。

祈りの場のような、巨大な建物によく使われておった。

そうだ、建物といえば石造りの建物もあった。

我が國からも、建築をする大工も派遣されておるぞ」

「ヘぇ〜〜、随分と研究熱心な側面もあるんですね」

「職人も、豪快な人物から繊細な人物まで様々であったぞ」

「街中は活気がありそうですね」

「そうだな。面白い風習もあった。七日ごとに給金が支払われるようになっておる。

七日目はどの店も稼ぎどきだと話していた」

「本当、面白い風習ですね。それで、帝国御用達とかはありましたか?」

「それは王国も、我が國もあるな。まあ、我が國は偏らぬように

一年ごとに入れ札を行い、前年の店は入ることはできぬ。

ただ良い品物をと思うと、自ずと限られるがな。

ただ挑戦はさせねばならん。これは我が國の特徴になるのだろう」



本当に三者三様だ。面白いことに橙矢様は、出申帝国に

良い印象を抱いていないのに、職人への評価はかなり高い。

個人的な好みだけではないだろう。


「橙矢様、それで彼らは翼賛の國と国交を結ぶメリットは

なんだと思っているのですか?」

「それはな、実に分かりやすいぞ。……金と祈りの民だ。

そして、今回は伝承の至宝様。雫、お前だ」


……ん??? 待って、その並びに私も入るの?!


「待ってください、橙矢様。至宝様は、何百年に一人の伝承なのですよね?

それを他国までもが待って狙うって……。いったい、どういうことですか?」

「そうだな、我が國の宝のような伝承だ。金も祈りの民も同じ宝。

国交をむずぶ時、金は他国へは出さん、それでも良いなら国交をと結んだのだ。

何、奴らは大陸で常に諍いを起こしておる。いつ機会が来ても良いようにと

考えておるのだろう。まさに腹の探り合いだ。

大陸の連中は、存外味方が少ないのであろう。自分たちに敵意が無くとも、他国は分からん。

同盟という絆で、危うい橋の均衡を保っておるのだ。

その点、我が國は海が城壁となる。我らは他国に興味がない。

影向(やうがう)様は、これまで他国のことを

ただの一度もて伝達したことはないのだ。

影向の御意志は、まずは足元から、そういうことであろう」


そうなんだ……。こんなに交流するようになっても、

まだ影向様は他国のことをおっしゃっていない。

そうだったな、大祭で目の前の幸せを大切にするようにって……。


なんだかお腹の中心がほっこりしちゃう。

「そうですね、橙矢様。その大切な伝達が、民の支えになりますもんね」

そういうと、橙矢様はしっかりと頷いた。

「そうだな、雫。決して忘れてはならぬものが我が國にはある。

そういうことだ」


まずは足元……。私がそれを忠実に守っていければ

ひょっとすると皆も、忘れずにいられるのかもしれない……。


「それで橙矢様、私は何に気をつけましょうか?」


その質問には、橙矢様は苦笑いしていたのだった。





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