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俺、この戦いが終わったら魔法少女になるんだ  作者: 虹ぱぱ
二章:癒し手の魔法少女
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36話:火力

 気配を消し、死角に移動しながら『爆破流星』の結果を確認する。


「っち……」

 思わず、舌打ちが漏れる。


 (わに)の頭からぶつかった『爆破流星』は霧散した。多少焦げ目はついたが、硬い。


「っ!!?」

 咄嗟の判断で、身を前に投げ出す。


 俺のいた場所を、鰐の尾がなぎ払う。


 魔力探知ができるのか、もしくは本能か。


 俺は止まる事なく、投げ出した身を反転、気配だけを頼りに避ける。

 紙一重で鰐の(あぎと)が通り過ぎる。


 (あぎと)にだけは捕まってはいけない。最も、警戒していた。間違いなく(やつ)特別(スペシャル)。絶対的で凶悪な凶器。


 通り過ぎ様、鰐と目が合う。


 目に向けて、銃口を上げる。


弾丸(バレット)!!」


 全力を込めた、針のような瞬撃が鰐の目に突き刺さる。


「ぐおおっ!」


 鰐が苦痛にもがく。

 距離を取り、様子をうかがう。


「…………っち……」


 鰐の目がぶくぶくと血が泡立ち、再生していく様を確認する。


 硬いだけではなく、再生能力も早い。


 ぎょろりと俺を鰐のもう片方の目が射抜く。


 獰猛に、嗤ってみせる。


 (やつ)の怒りに染まる顔を見て、嗤う。


 凄まじい、重圧(プレッシャー)


 その中で、俺は竦むことなく嗤う。


 これでは、火力が足りない。だが、微々たるものでも、効いた。

 

 (こいつ)モードⅡ(セカンド)からモードⅣ(フォース)まで無意味だと本能で察する。


 睨み合いながら魔力を搔き集める。

 

転装(オーダー)!」


 集中(イメージ)する。


 モードⅤ(ファイブ)


 搔き集めた魔力を、凝縮する。


 イメージするのはロケットランチャー。


 火力。


 何も、壁を抜けるには越えるだけが方法ではない。

 突破すればいい。


 突破する為の火力が欲しい。


 魔力を固め、凝縮し、ロケット弾として込める。


 『爆破流星』を使うよりも感じる倦怠感。


 集中。


 集中。


 この込める感覚に新しい可能性を感じながら、集中する。


 準備を整えた。


 対峙しながら様子を伺う。まだ、撃てない。

 確実に当てなければいけない。


 この形態はまだ、数があまり撃てない。後先を考えずに撃てて3発。


 3発撃った後は、気を失う。


 このモードⅤ(ファイブ)を検証した結果だ。


 それに、いま仕掛けるのはまずい。

 鰐も何かを仕掛けるつもりだろう。魔力が高まっている。


 平常心。

 気持ちを落ち着ける。嘲るような微笑を浮かべながら、対峙する。


 睨み合いながら、一つだけ罠を張っておく。


 焦れたのは、鰐。


 鰐が仕掛けてくる。口から撃ちだされる水弾。

 水弾を避ける。避けながらも見続けるのは、鰐。視界に収め続ける。


 当たれば致命を予感させる一撃。

 だが、大味だ。造作なく避ける。それに、これは所詮、牽制。


 鰐の魔力が手足に集まっているのを確認する。


 ――――――来る。


 鰐が、視界から消える。


 弾丸のような速度で、水弾を縫って俺に迫ってくる気配。


 早い。強大な魔力を操り、巨体を弾丸に変える見事な速度。視認してからでは喰われるだろう。


 撃ちこむ場所は、開けた大口が理想だが、難しい。(あぎと)は鰐の最大の武器。そこに攻め入る余裕はない。ならば、狙う場所は一つ。


弾丸(バレット)!!」


 視界から消える一瞬より早く、右足に溜めた魔力を解放し、地面に穴を穿つ。魔法少女で放つ『弾丸(バレット)』は、明心鳩子で放つそれとは大きく異なる。

 穴に、潜り込むように、体を潜ませる。


 銃口を頭上に掲げる。


 そして。


 撃鉄を起こす作業。


「俺は、お前を越えていく!」


 決め台詞。


 そして。


「『閃光華火(ファイヤーワークス)』!!」


 頭上を飛び越えていく、鰐の腹に向けて撃つ。


 ドゴン! っという音と共に、鰐を打ち上げて昇っていく。


 上がれ。


 上がれ。


 上がれ!!


 指を鳴らし、叫ぶ。


「爆ぜろ!!」


 上空で、大爆発が起きる。


 爆風が頬をなぜる。


「……すごい……」

 大暮先生の呟きが聞こえる。


 空から、大きな物体が落ちてくる。受け身を取る事なく鰐は地面に叩きつけられた。



次回『36.5話:観測者の呟き』


短い間話入れます。

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