35話:VS クロコッタ
上空から、落ちてきた魔物を眺める。
大暮先生は数匹出てくると言っていたが、こいつ一匹のようだ。
大物。
それは、恐ろしく巨大なワニのような生物だった。
「『情報解析』」
まずは、情報を仕入れる。魔物にステータスが浮かぶ。
※※
魔法生物 クロコッタ
魔力値:40000
特性『水』
※※
随分と、魔力が多い。俺の5倍以上だ。気を抜けば一撃で死ぬだろう。
数値だけみれば、絶望的な差だが……。何故だろう。負ける気がしない。
「みょ、明心さん! 逃げなさい! 勝てる相手ではありません!!」
大暮先生が警告してくる。想定以上の魔物なのだろうか?感じる重圧に焦りが見える。
「なんとか、私が引きつけます!! これは想定外です。今まで、こんな……。」
「いや。断る。あいつは倒す。倒さなければ、ならんのだろう?」
大暮先生の言葉を一蹴する。
「そんな事を言ってる場合ですか!! あまりにも危険です!!」
まあ、言いたいことは分かる。だが、譲れない。
撤退するにしても検証が必要だ。7000程度の魔力では、本当に40000程の魔力に太刀打ちできないのか。見極める必要がある。
その辺りは、カルマも確認したいのだろう。ハートの実践のデータは少ない。
「ゆうきちゃん。気持はわかるけど、多分、大丈夫。退くにしても、その辺りの見極めはハートちゃんは一流さ。だから、ちょっとサポートしてあげて。」
カルマが、大暮先生に忠告する。世界最強の戦士としての俺を多少買っているようだ。
以前に出会った鬼には、未知という驚異もあって、逃げの一手しか選ぶ思考にならなかったが、あの時のような恐怖はない。
魔法について、多少知ったからか。
アメルや明を守る力を欲するあまりの焦りか。
高い壁に出会えた事はありがたい。
俺は、これから何度も壁を超える必要がある。
力をつける必要がある。
地下帝国という一つの閉じた世界を、相手にする覚悟と力がいる。
嗤う。
鰐と対峙しながら、嗤う。
あれは、餌だ。贄だ。
俺が力を得る為の、餌。
鰐肉か。悪くない。
よく炙って、喰らってやる。
気をつけるべき脅威は、顎。体表を覆う鱗。あれは堅いだろう。
あとは、特性の水か。
魔法戦闘はイマジネーション。
イメージが大切。明が言っていた事だ。
あいつの、特性を含めた戦法を想像する。
そして、対策を練っておく。
思考と、戦闘。並行して行う。
まずは、先手必勝。
「俺のマグナムが火を吹くぜ!」
集中し、リボルバーに魔力を込める。
イメージするのは最大威力。
「爆破流星!!」
技を放ち、技に気が逸れた瞬間を狙って、死角に潜る為に駆け出した。
次回『36話:火力』




