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魔導美術マギュラート  作者: 虹星海宇宙すぴあ


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Magurart4:バベル・ジグラット ― 天空へ届く美術

魔導美術マギュラート

第4話「バベル・ジグラット ― 天空へ届く美術」


異世界ミラード・火星エリアから、さらに遠く。


赤い大地が、静かに消えていく。


ミララロロアは、銀河を横切る巨大な魔導航路の上に立っていた。


その前方に現れたのは――


巨大な階段状の塔。


一つ、また一つ…


無数の段が天へ向かって積み上げられている。


その表面は黄金色の砂と赤褐色のレンガ。


しかし、塔の頂上だけは違った。


そこから一本の巨大な光の柱が、宇宙空間へ向かって伸びている。


ミララロロア

「……ジグラット……?」


彼女の虹色の髪が、宇宙風にふわりと揺れる。


その塔の向こう側には、さらに巨大な都市が広がっていた。


運河。


宮殿。


神殿。


巨大な城壁。


そして遠くには――


ウル。


そのさらに奥には――


チョガ・ザンビール。


古代メソポタミアと古代エラムの文明を思わせる巨大な建築群が、異世界ミラードの中でひとつの壮大な「美術空間」として再構成されている。


ミララロロア

「ここは……」


謎の声

「ミラード・メソポタミアのエリア。」


ミララロロア

「……誰?」


声は答えない。


その瞬間――


地面が震えた。


ゴゴゴゴゴゴゴ……


ジグラットの周囲から、真っ黒な液体のようなものが噴き出してくる。


それは砂や煙に似ていたが違う、


無数の腕。


無数の目。


崩れた建築物のような骨格。


そして、楔形文字に似た黒い亀裂。


それらが一つの巨大な生命体へ変化していく。


新たなるエントロピー・モンスター。


黒塔巨人

「文明……崩壊……」

「建築……風化……」

「文字……忘却……」

「神殿……廃墟……」


巨大な腕がジグラットをつかむ。


ミララロロア

「やめて!」


ドォォォン!!


ジグラットの一部が黒い粉となって崩れ落ちる。


ミララロロア

「……美しいものを壊して何がしたいの?」


黒い巨人

「美しい?そのようなもの 一瞬の出来事。

万物は崩壊する。

文明は消滅する。

作品は風化する。

それが――エントロピー。」


ミララロロアは、ゆっくりと目を閉じ、小さく笑う。


ミララロロア

「……そう、だったら、私は――」


虹色の髪がまばゆく輝く。


ミララロロア

「人間が何千年もかけて積み重ねた『美』を、あなたに見せてあげる!」



第一魔導美術


「チョガ・ザンビール!」


ミララロロアが片手を前へ伸ばす。


その指先から黄金色の光が走る。


空中に一枚の巨大な「アート・ステートメント」が出現する。


そこに浮かび上がる文字。


★MUD BRICK

★FIRED BRICK

★CUNEIFORM

★ELAMITE

★AKKADIAN


ミララロロア

「土。」

「水。」

「火。」

「人間の手。」

「そして祈り!」


彼女が手を振る。


ズズズズズ……


地面から巨大なレンガが次々と浮上する。


一個。


十個。


千個。


百万個。


それらが空中で整列し――


巨大な階段状建築へ変わっていく。


チョガ・ザンビール・マギアイ。


史実のチョガ・ザンビールでは、日干しレンガが主要な建築材料となり、焼成レンガが表面を覆ってた。巨大なジグラットは宗教的中心として建てられ、刻まれた文字にはエラム語とアッカド語が使われている。


ミララロロア

「これは、ただのレンガじゃない。何千年も前の人間が―天へ近づこうとして積み上げた、時間そのもの!」


ジグラットが黄金色に輝く。


エントロピー・モンスターが咆哮する。


黒塔巨人

「崩せ!」


ドドドドドドドッ!!


黒い腕がジグラットへ殺到する。


しかし――


ミララロロア

「魔導美術――レンガ・レゾナンス!」


ジグラットのレンガ一枚一枚から光が放たれる。


一枚のレンガ。

一人の職人。

一つの祈り。

一つの時代。


そのすべてが巨大なエネルギーとなって爆発する。


ドォォォォォン!!


黒い腕が吹き飛ぶ。



第二魔導美術


「ウル・ムーン」


遠くから月のような光が昇る。


それは古代都市ウルのジグラット。


巨大なジグラットが空中に浮かぶ。


その周囲を青い光の川が流れる。


黒塔巨人

「古代都市など……過去の残骸!」


ミララロロア

「違う!都市は――人間が生きた証!」


ウル。


ウルク。


エリドゥ。


それぞれの都市の記憶が光となって連結する。


楔形文字が空中を流れていく。


それは文字、


記録、


法律、


商取引、


祈り、


そして物語…。


ミララロロア

「文字は、時間を超えるための最初の魔法だったんだよ!」


ズァァァァァン!!


楔形文字の光が黒いモンスターを貫く。



第三魔導美術


「ブロンズ・アックス」


ミララロロアが背中へ手を伸ばす。


虹色の光が集まる。


現れたのは――


青銅製の斧。


柄には星。


刃には楔形文字。


中央にはジグラット。


そして刃の先には、一本の巨大な光の軌道が描かれている。


ミララロロア

「古代の金属技術。」


「人間は石だけじゃない。」


「土を焼き。

金属を生み。

道具を作り。

世界を変えた。」


斧を構える。


ミララロロア

「だから、この斧は――」


「文明の手。」


ダンッ!!


ミララロロアが跳ぶ。


黒い巨人の肩へ着地。


黒塔巨人

「ほざけ!ちっぽけな芸術家が……!」


ミララロロア

「ちっぽけ…」


彼女が斧を振り上げる。


「じゃあ――巨大芸術を見せてあげる!」


ズバァァァァァン!!


青銅の斧が黒い身体を切り裂く。


本章最終魔導美術


「BABEL — ORBITAL ASCENSION」


しかし黒いモンスターはなかなか倒れず、むしろ巨大化する。


その体が地上の都市を覆い尽くす。


黒塔巨人

「文明は――必ず――必ずや

崩壊する!!」


すると、ジグラットの頂上から一本の光が宇宙へ伸びる。


ミララロロアは空を見上げる。


「……あれは…?」


光の塔は、


地上から宇宙まで届いている。


巨大なエレベーター。


その名は――


BABEL


「バベル……。」


古代の「天へ届く塔」の物語と、未来の宇宙開発技術を、この異世界では一つの魔導美術として再解釈する。


ジグラットの段々構造が、


宇宙へ向かって一本の塔へ変形していく。


レンガ。


焼成技術。


楔形文字。


宗教建築。


都市文明。


そして――


宇宙。


すべてが一つになる。


ミララロロア

「古代の人々は、天へ行きたかった!


だから塔を作った!


未来の人は、宇宙へ行く!


だから――!!」


彼女が青銅の斧を掲げる。


「塔を、宇宙まで伸ばすのよー!!」


BABEL ORBITAL ELEVATO


巨大な軌道宇宙エレベーターが完成する。


それはジグラットの頂上から宇宙まで伸びる、


「人類の美術史そのもの」


だった。


黒塔巨人

「そんなものは――!」


ミララロロア

「あなたは、エントロピーを『行き着くべき終わり』だと思ってる。


でも違う。


崩れた物からも――」


人は、また作る!


壊れるから――


人は、記録する。


失われるから――」


人は、美しいものを残そうとする!!」


彼女の髪が虹色の銀河へ変わる。


青銅の斧に、すべてのジグラットの光が集まる。


ミララロロア

「これが――」


「マギュラート!!」


超魔導美術


「BABEL・COSMIC ZIGGURAT」


斧を振り下ろす。


ドォォォォォォォォォォォン!!!


チョガ・ザンビール。


ウル。


ウルク。


エリドゥ。


そして無数の古代都市。


それらの「美術エネルギー」が一本の光となり、


バベルの軌道エレベーターを宇宙へ走り抜ける。


黒い巨塔のエントロピー・モンスターの身体に、無数の光る文字が浮かび上がる。


「記録。」


「文化。」


「宗教。」


「建築。」


「芸術。」


「言語。」


「人間。」


すべての文字が一つの巨大な光となる。


そして――


黒い巨塔モンスターは、爆発するのではなく、無数の黒い砂粒へと分解される。


風が吹くと、砂は空へ舞い上がる。


ミララロロアは静かに斧を下ろす。


「……さようなら……あなたも、この世界の一部だった…。そのことは覚えておくわ…。」


戦いが終わった…。


夕暮れのメソポタミア。


ジグラットの上にミララロロアが立っている。


遠くにはチョガ・ザンビール。


さらに向こうにはウル。


そして空には――


巨大なバベル軌道エレベーター。


その先端は、宇宙の彼方まで伸びている。


「土から始まった塔が……宇宙へ続いてる。」


ミララロロアは青銅の斧を見つめる。


斧には新しい文字が刻まれていた。


ART IS MEMORY.


ミララロロア

「芸術的遺産って――

人類が時間に残した、光なのかもしれないね。」


その瞬間。宇宙の彼方から、

新たな黒い光が一つ。


「……え?」


今まで見たことのない巨大な建築物が浮かび上がる。


ミララロロア

「次のエリア……?」


その美術品を守る、


もう一人の魔導美術使いが現れる…

チョガ・ザンビール → イラン南西部

ウル → イラク南部

ウルク → イラク南部

エリドゥ → イラク南部


チョガ・ザンビール

時代:前13世紀


建設者:エラム王ウンタシュ・ナピリシャ


宗教:エラム神(インシュシナク等)


言語:エラム語・アッカド語


特徴:巨大なジッグラト。泥レンガ造り。未完成。


背景:エラムの宗教都市。


ウル

時代:前4千年紀~、特に前21世紀


建設者:歴代シュメール王、特にウル・ナンム


宗教:月神ナンナ


言語:シュメール語・アッカド語


特徴:ジッグラト・王墓・交易都市。


背景:シュメールの重要な王都。


ウルク

時代:前4千年紀


建設者:シュメール人


宗教:女神イナンナ


言語:シュメール語


特徴:世界最古級の都市・文字。ギルガメシュ伝説の舞台。


背景:都市文明・文字の発祥地の一つ。


エリドゥ

時代:前6千年紀頃~


建設者:先史時代の住民・シュメール人


宗教:知恵の神エンキ


言語:後にシュメール語


特徴:世界最古級の都市・神殿。


背景:シュメール都市文明の初期中心地。

チョガ・ザンビール → イラン南西部



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