消えた弁当箱
教室の前のドアが開く。
暑苦しいあだ名の担任ビルダンディ先生だ!
出席簿を机に置き、
「皆!聞いてくれ!転 校 生だ!
遠慮しないで入ってくれ!」
今時転校生なんて珍しい。
ブーーーーー
なんであいつら・・・
中学いったんじゃないの??
今日から皆と一緒なクラスメイトとなる
阿佐倉 飛琉
阿佐倉 餓音亜
だ!
「祥!お前、三つ子だったんか?冗談だ、従妹らしいぞみんな!仲良くしてやってくれ!」
「自己紹介してな」
担任は下がり二人を前に出す。
「フィルです!今のところ唐揚げが好きなのじゃです。よろしくお願いします。」
軽くぺこりとお辞儀する。
男子からざわめきがおきる。
「ルネアだ!いいか!皆の者!俺の好きなものはイチゴのショートケーキだ!覚えておいて損はないぞ!」
腕を組んで仁王立ち。
クラスの男女が前後の座席とひそひそと・・
「祥はなんだっけ?たこ焼きだっけ!まあいい!よく食べて、よく学べ、そして、よく走れ!」
わけのわからない笑いに包まれる。
「じゃ!朝の朝礼は終わりだ!解散!」
フィルは入り口に一番近い席。
ルネアはフィルと同じ列の最後尾。
ついでに、俺の席は窓側の最後尾だ。
--やすみじかん--
やっぱりフィルは男子に囲まれるよな。
他のクラスからも来ているようだ。
ルネアは女の子に囲まれてるね。
俺は。。。ぼっちじゃん・・・
はぁ・・つかれた・・・
体育から帰ってくると教室にカラスが・・・
バタバタバタ。
空いた窓から出て行った。
今日の体育はいつもの3倍は疲れた。
午後の為に体力をつけなければ・・
ん・・・
机の横にかけておいた弁当袋がない・・・
「カバンの中にもない・・・」
「カッカカカ」
「カ~!クッカー」
なんだ?外から声がするぞ?
教室のベランダにある室外機の上にカラスが2羽とまっている。
つややかな体のカラス!
カラスの前に置いてあるものは・・
誰かの弁当箱。
弁当袋をみると俺のだ・・・
「おれの弁当袋じゃん!!」
俺は手を伸ばすが
「カァ!」
「祥!怒っているぞ!!」
カラスは逃げないで器用に袋から出す。
足で箱をコンコンと俺を挑発しているようだ。
誰かが後ろから
「写真写真!!」
「カラス近い!」
「あれ、誰の弁当?」
「祥のだって!」
フィルも人混みをかき分けてベランダからのぞき込む。
「あれがカラスというものなのか」
「ふてぶてしい奴だな」
ルネアは腕を組んで眉を顰める
カラスは嘴で弁当箱とつつくと
パカン!
「おおお~~~」
留め具を外したことにクラスメイトは驚く。
嘴を左右に振って蓋も取る。
「うそだろ!」
「かしこい!」
「天才じゃん?」
カラスは勝ち誇ったかのように「からあげ」をひとつくわえ胸を張る。
からあげ!!
窓枠を乗り越えベランダに立つものがいた。フィルだ。
カラスが首を傾けフィルを見る。
そして、
「カァ?」
蓋の上に唐揚げを置く。
「返した?」
「そんなことある?」
蓋の上に唐揚げを2個おいたカラスを見て
「この子、なかなか礼儀をわきまえておるの」
唐揚げを手に取り食べる。
「いや!食うな!!」
クラスは笑いに包まれる。
あっという間にブロッコリー以外は全て食べられてしまった。
ブロッコリーは食べる気がしない・・・
「うんうん、まんぞくじゃ」
自分の席に戻っていくフィル。
「はっはっは~残念だな!」
俺の肩に手をおき、自分の席に戻っていくルネア。
ルネアの顔が青くなる。
「俺の弁当!!ドォコダァァァァ!!」
「ま・まさか・・」
ベランダにスライディングしたときは
カラスが蓋を開けるところだった。
びっくりして2羽が固まっている。
カラスが羽を前に出して何度もお辞儀をしているのをはじめてみた。
「次やったら消すよ」




