ルーキーの強さ
塾の帰りに例のスーパーへやってきた。
どうしても、唐揚げ弁当を食べたい!!
半額の唐揚げ弁当を食べたい!!
勉強が身に入らなくなりそうで怖い。
売り場をチェックすると弁当系は、唐揚げ弁当とのり弁当の2つか・・・
まだ、時間があるので炭酸飲料をかごに入れる。
いやっ籠はあえてじゃまになるか!・・
炭酸飲料だけをもって、そろそろ始まるショータイム。
今日も昨日と同じメンバーのようだ。
否、ルーキーの俺がいるぜ!
店舗の自動ドアが開く。
エレガントに優雅に買い物かごを赤い手押し車にのせて
風格があり入れ歯をもぐもぐしながらやってくるおばあさんが来た。
辰バアだ・・
横目でチラリと確認し何事もなかったかのように通り過ぎる。
店舗のバックヤードドアがバタンっと開き、左右を確認。
総菜や弁当など集められているコーナーへ進む男の名札は
小太り快速シール貼りの梅林。今日は出勤日か・・・
梅林が一歩一歩、会場に近づいてくる。今日は片手の指だけにシールを張り付けている。競争率が激しそうだ。
狩りの時間が始まる。猟犬たちが獲物を囲むように、徐々に商品へ近づく。
辺りは、静まり、息をのむ音さえ聞こえてくるようだ。
舞台俳優はそろった。
商品には誰も手を触れない。
まだだ。
まだだ。
空気が変わる。
梅林が腕時計を確認する。
カチッ
「とりぁぁぁぁ!!!」
並んだパッケージに一瞬でシールが決まった位置にセットされる。
全員の手が唐揚げ弁当に向かう。明らかに辰バアの左手が早いが、
歳の差が見えたか!俺の手が早い!!ついに辰バアの手が隣の のり弁へスライド!
と、取れたぞー
心の中で何度もガッツポーズ!!
世界はバラ色に輝きだす。
初打席で満塁ホームランをたたき出すように、弁当を確保した俺。
会場は盛り上がる。
「ふっふっふ・・まだまだ、青いのぅ・・」
老兵は去るのみ、買い物かごに半額のり弁と半額だんごを入れ立ち去る辰バアを見送る。
レジで、
「30%OFFで420円です~」
「なんでー」
まだまだ、青いのー
まだまだ、青いのー
まだまだ、青いのー
.....
が木霊する。
よく見たら、17以降に作りましたシールがあった・・




