コード76「あるエルフの少女が見た昔の夢」
第76話
前回、リルフの友人ノーマンと話してから後日
……この子は…純粋で優しい子になって欲しい…
だから…この子の名前は…。
あはは!お母さま!こっちこっち~!
見て~!こんな事も出来るようになったんですわ~!
あなた…ごめん。行かなきゃ。
□□□の事、お願いね。
□□□の誕生日には必ず帰ってくるから。
お母さま…?早く帰って来てね!
あぁ、もちろん!お土産も用意しておくから!
行ってらっしゃい!お母さま!
え…、お母さまが…?嘘よ!
…。嘘つき…!そんなこと言わないで!
そんな嘘をつくお父さまなんて嫌い!
□□□を泣かせないでぇぇ…うわあああああ…
お母さまに…会いたい…。
朝日が差し込む。
ケーシィはゆっくりと起き上がる。朝。
夏は暑い為、ゆるめの半袖のシャツをパジャマ代わりにしている。
「懐かしい夢を見ましたわね…。お母様…。あれから何年も経ちましたわ。」
机の上のペンダントを手に取り、胸に置き、目を閉じる。
ケーシィは1人でランニングをする。
いつもはカナリーやマナと3人で走っていたが、
この日は1人で走りたくなり起きて早々、走っていた。
これも、懐かしい夢を見たせいなのか。
「ふぅ…。やはり運動は気持ちがいいですわね。」
嫌な事も、汗と一緒に流せる気がするから。
そこへカナリーとマナも起きて来て、朝の訓練が始まった。
マナ曰く、まずは瞑想から。
心魂、心身を落ち着かせることで、魔力の流れが良くなるらしい。
瞑想が終わると、魔力の流れを一定にする訓練。
全身へ、魔力を循環させる。
それが終わると、やっと組手の時間。
はじめは軽めに相手の手を払う程度から。
そんなこんなしていると、朝ごはんの時間となる。
リベラとリーナが朝ごはんを作ってくれる。
最近では、ケーシィの同室のミリーも一緒に食べている。
ミリーは調合が得意な女子生徒であり、甘いもの好きである。
「最近は、早起きになってしまって、でも、健康的ですごく良いわ!」
本日の朝ごはんは、フレンチトーストである。
6人となると、椅子などが無いため、食堂に移動して、
キッチンを借り、朝食を作っている。
「わぁ~~!美味しそ~!頂きます!」
カナリーは美味しそうにフレンチトーストを頬張った。
マナがカナリーの口元を拭う。
みんな楽しく朝食を済ませた。
そして朝食の後は、みな課題やら、やることを各々している。
マナは作業室で1人、何かに向かって作業をしていた。
カナリーとリーナは課題を進めている。
リベラは都市に赴き、食べ歩きをしている。
ケーシィは今朝見た夢を思い出し、部屋に居たくないと思った。
「適当にぶらぶら歩きましょうか。」
いつもなら、リルフを誘って、適当に散歩をしていたが、
今日は1人で歩きたい気分だった。
「ママ~お腹すいたー。」
「お昼までまだ早いわよ?」
「おやつ!出店で何か食べたい!」
「も~しょうがないわね。一つだけよ?」
そんな光景をケーシィは羨ましそうに見つめる。
都市を歩いていると、1人の魔術警察とすれ違う。
「…ケイト?」
ケーシィは肩が震える。
聞いたことのある声。
後ろを振り向かずに、足早に歩く。
「ケイト!待って!」
その魔術警察に呼び止められる。
「なんでしょう。わたくし、急いでますの。」
ケーシィは警戒しながらその警察の方を見ずに答える。
「なぁ…ケイトこっちを見てくれ。」
ケーシィは目を逸らしながら振り向いた。
エルフの魔術警察。
「おい、レミー。どうした?その娘と知り合いか?」
ケーシィは顔を伏せている。
「知り合いも何も…僕の娘だよ。」
ケーシィは腕を抑える。
抑える手が震える。
「あ、あの…人違い…です。わたくしは…ケ…ケーシィ…ですわ。」
「ケイト…。まだ…母さんの事。」
ケーシィはこの場から一刻も早く、逃げ出したかった。
涙がにじむ。
今朝の夢はそういう事だったんですのね。
あぁ…、今のわたくしはきっととても情けなく見えますわね…。
「あれ?ケーシィさんです?どうかしたですか?」
食べ歩きをしていたリベラが通りかかる。
ケーシィは魔術警察を振り払い、リベラの小さな体の後ろに隠れた。
ケーシィの手がリベラの肩に置かれる。その手は震えている。
男性警官がケーシィの近付こうとしている。
リベラはリンゴ飴を片手に、Tの字となり、ケーシィを守る体勢を取った。
「魔術警察さん、この子は怯えてるです。罪状も何もないのでしたら、申し訳ないですが、ここはお引き取りをお願いするです。」
エルフの魔術警察はまだ何か話したそうにしていたが、
「あ、あぁ…すまなかった。ケイト、会えて、元気な姿を見れて嬉しかった。それから…ごめん…。また…。」
ケーシィは一度もエルフの警察の方を見なかった。
この人はまたわたくしに謝って…いつまで謝るんですの。
「どうしたですか?これ、ストロベリー飴です。お話だけでも、聞くですよ。」
リベラは封を開けてない棒付きのストロベリー飴を渡し、
優しくゆっくりと、落ち着いた声でケーシィに話しかけた。
都市では、お祭りの準備で騒がしい。
展望広場の準備はほとんど出来上がっている為、
少しはゆっくりできると判断し、リベラはケーシィをそこへ連れてきた。
「ありがとうございます…。わたくし…。」
ケーシィの声が詰まる。辛そうにしている。
「ここの景色は、私にとっての大好きで大切な場所なんです。たくさんの人を見ることが出来るこの場所は、景色を見ているだけでも、落ち着くです。」
リベラなりの配慮と、気遣いだった。
ケーシィは景色を見つめ、深呼吸した。
「ありがとうございますわ。少し、落ち着きました。」
ケーシィはゆっくりと自身のペースで話し出した。
ミリー・イロゥボウル(女)
人間種。ケーシィと同室であり、
調合が得意な女子生徒。
真面目で優しい。
冒頭はケーシィの過去の話です。
どうして、彼女はケイトと呼ばれるのか。
どうして、彼女はケーシィと名乗るのか。
レミー・ライジェル(男)エルフ種。
一応、次でケーシィが語り出しますし、紹介もしますので、
ここでは、詳細はまだ紹介しないでおきます。
リベラが通りかかって良かったです。
第76話、読んでいただきありがとうございます。




