コード60「聞こえない」
第60話
前回、マナが光る石を持ち帰ってきたところから
輝鳥歴 24年
マナは持ち帰った光る石の解析を行っていた。
後ろから、モニカが声をかける。
「その光るものは何?どこかで拾ったの?」
興味津々の様子だった。
「はい。落ちていて光っていたので、気になってしまって。現在、解析を進めています。」
情報量に負けないように、外殻に目を向け、
観測演算魔術<スペル・魔視+>で
少しずつ情報を解析していた。
「この石の外殻には、魔力の層のようなものが何重にも確認できます。」
解析には時間がかかってしまった。気が付くと、日が暮れていた。
モニカはどこかに行っていた。マナは探しに行く。
初めて出会った花壇のある場所へ足を運ぶ。
花壇の先は崖になっており、その下は水路となっている。
モニカはその水路を見つめていた。
「モニカ様、ここに居らっしゃったんですね。探しました。そして申し訳ございません。私が石の事ばかりに気を取られてしまって。」
モニカが振り返る。
その瞳には涙が浮かんでいるように見えた。
「モニカ様…?どうかされたんですか?」
モニカは顔を横に振る。
「違うの。目に何か入っちゃって。心配させてごめんね。モリアは帰ってきた?」
モニカは無理に作り笑いをしているように見えた。
「いえ…。それよりも…いやこれは適切ではありませんね。忘れてください。モリア様はお帰りになっていませんね。先ほど研究室を覗いてきましたが、熱心に研究されていましたよ。それも…かなり熱心に。」
モリアの研究に対する意欲はまるで命を捧げているかのように熱心に研究していた。
「そう…気を遣わせちゃったみたいだね。モリアに紹介したいから、付いてきて。歩こうか。」
モニカは何かを決めたように、それでいて何かを
確かめるようにゆっくりと、力強く一歩一歩踏みしめていた。
学園に入ると外は雨が降り出していた。
そういえば、カナリー様を追って細道に入った時も雨が降っていました。
研究室に歩みを進めるモニカ。
少し不安そうに見えた。
でも、モニカは確かめないといけないことがあった。
「大丈夫…きっと大丈夫…。」
モニカはそう呟いていた。
研究室まで到達した。
「じゃあ、モリア、俺らは帰るから、お前もほどほどにしろよな。」
学園の学生が私たちの横を素通りしていった。
「んー。」
モリアは軽く返事をしていた。
モニカは意を決して話しかける。
「モリア…あのね、紹介したい子が居るの。この子、マナちゃんって言って、こことは違う世界から来たらしいの。それで、モリアにも協力して欲しいんだけど…。モリア…?」
無視されているように見えた。
「ね、ねえ、モリア…聞こえてるんでしょう?モリア…ねえってば」
マナは無視されているとは思えなかった。
まるで、”聞こえていない”かのように。
モニカがモリアの肩に手を触れようとした。だが、
手がすり抜けた。
「あぁ…やっぱり…そうだったんだ…。私…。」
モニカの目に涙が浮かんでいるように見えた。
「マナちゃん、私の花壇に戻ろう。そこで話したいことがあるんだ。」
マナもなんとなく察していた。
データ整理がしやすい理由、誰にも認識されていないように感じる理由。
道中、モニカは何も話さなかった。彼女の顔に雨粒が流れる。
そして、花壇へとやってきた。
「あのね、マナちゃん、私伝えたいことがあるの。ショッキングな話になるだろうけど、聞いてほしい。」
モニカの体は少し震えているように見えた。
「はい。分かりました。それは私も聞かなければならないことだと思っています。」
モニカの体は雨に濡れていなかった。
「実は…わ、私ね…、もう既に…。この崖から落ちて、私はもう死んでたんだ。」
マナはモニカを改めて観測する。
星立体、0%
精魔体、100%
「私の今の状態は…簡単に言えば、幽霊。ってことなんだろうね。」
星立体
肉体や、立体の触れられる質量を持った物質の事
物体の一番外の外殻。
実体を持つエネルギー体。
精魔体
星立体の下の層にあるもの。
非肉体や、幽体、触れられない物を指す質量
精霊や悪魔達の主な活動体。
半透明なものもあれば、半透明ではないものもあるが、
現世界では基本的に物質に触れることは出来ません。
ザミエルやリベラ(の本体)がこれに該当。
極稀に、物質に触れられる精魔体を持つ者も居ます。
簡潔に言うならば、実体を持たないエネルギー体。
ベアトリクスとリーナの体には精魔体が2枚存在することになる。
その下にも心魂が2つ共存している状態です。
分かりにくいかもしれませんが、チャンネルを切り替えるような。
電池を想像してもらうと分かりやすいですね。
電池を交換するかのように、それぞれ切り替えている感じです。
別の心魂を格納している精魔体を切り替えている。(星立体はそのままで。)
分かりにくければ本当に申し訳ありません。
また精魔体に深刻なダメージを負った場合は
星立体を持つ者ならば粒子のようになって消えます。
逆の場合はダメージは少ないです。(通常のダメージの事ですね。)
出来るだけ分かりやすく説明しますと、
鎧の下に膜があり、その下にも層があって…。と考えてもらうと早いでしょう。
更に深層へ行くと、心魂を格納するスペースがあって心魂があってと
それはまた別の機会にします。
ちなみに、物語冒頭のマナはこれらに該当せず、完全な別系統となります。
今回は”マリナ”の精魔体を借りて過去に来ている事になります。
今回、説明がたくさんあって申し訳ないです。
出来るだけしっかりと確認していますが、見落とし、間違いで
改稿になってしまった場合は申し訳ございません。
第60話、読んでいただきありがとうございます。




