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私とAIの異世界転生!  作者: 星廻 月華
【魔弾編】
51/273

コード50「心から信頼できる人」

第50話

前回、ダンテが封印され、残りはリーナただ一人

リーナの放つ魔弾はことごとくカナリーに弾かれてしまった。

追跡し貫通する魔弾に関しても、魔弾そのものを結界で何枚も閉じることにより

押し潰すことで魔弾を圧縮。カナリーは対応していた。


「はぁ…はぁ…6発目まで使っちゃった…あとは呪いの7発目のみ…」


捕まったら…どうなるんだろ、

私の人生ここで終わりか…

また会いたかったな…


(諦めるんじゃねぇ!まだ何か手立てはあるはずだ。もっと考えろ!)


まだ手があるっていうの?

全てを弾かれ、あと1発しかないのに。


「もうやめましょう!あなたは…私を撃ってはいますけど、その全ては私の致命傷から外れているように見えます。血管はさておき。あなたから殺気は感じないのです!もう…こんなこと…」


雨が更に強くなっていく。

雷も鳴り出し、足場も悪くなっていく。


この人はずっと…叫んでる。

心の中でずっと泣いてる…。

誰も信じられず、

全てを信じるわけでもなく、

ただ己のみを信じているかのよう。

さっきのダンテさんを見る目も、

信用ではなく、本当に…信じてないんだ。


ずっと強がってるんだ。

でも内側ではずっと泣いている。


前世でも見たことがある、私だ。

前世の私に似てるんだ。

何か欲しいものがあっても、

我慢して、お母さんに大丈夫だよって言って、

我慢してる時の私にそっくりなんだ。


「どうして…そこまで、あなたは泣いているんですか。」


リーナは驚く。泣いているわけではなかった。

少なくとも外面では泣いていなかった。

だけど、内側では激しい感情のぶつかり合いにより、

精神はすり減っていた。

どうしてわかったの…?


「ど、どうしてそう思ったの…?」

(ダメだ。耳を貸すな。)


「それは…あなたの心、魂が泣いているように見えるから。きっとずっと我慢…していたんですね。あなたは、いえ誰にでも初めは誰かいたはずです。1人ではなかったはず。違いますか…?あなたにとっての家族が…。お話を聞かせてください。」


誰でも言いそうな台詞。

でもそんな台詞が私の心に響く。


この人の声は優しくて…温かくて…

まるで…お母さんみたいで…。

きっと心から信頼できる人…なのかな…


お母さん…お兄ちゃん…


リーナは過去を思い出していた。


「わ、私には…お父さん…お母さん…お兄ちゃんが居た…。」

(おい!リーナ!!!)


「まず…お父さんが死んだ。原因は…魔力漏核(ロップ)だった。」

(…リーナがそうしたいなら、もう止めはしないよ)


カナリーは銃を降ろしたリーナにほっとしながらリーナの話をしっかりと聞いている。


「お、お母さんも同じ病気で…それで…お兄ちゃんが居たけど…でも…お兄ちゃんも居なくなっちゃた。どこかへ行っちゃった…私とお母さんを置いて…。そしたら…お母さんを治せるって言う人達が来て…でもそれにはお金がかかるって言われて…組織に入れば免除してくれるって言われた。それで私はある組織に半強制的に入ったんだ。」


カナリーは考える。

なんだか聞いたことのあるような話だと。

どこかで…。確か…。


「その組織に入ってからは、名前を捨てろと言われ、名前をリーナに変えました…。」


リーナは組織に入る前、とある悪魔種に出会っていた。


「あなた家族は…?」

幼いリーナはその半透明な悪魔種に問いかけた。


その悪魔種は黒い霧のように見えていた。

手で触れることが出来ない。

だが、何かの生き物ということは分かっていた。


彼女は悪魔と契約した。


その悪魔種の名前はザミエル。なんでも、『魔弾』と呼ばれる物を生成でき、

リーナは銃と言われる器具の作り方をザミエルから教わっていた。

組織の奴らはその魔弾の悪魔ザミエルを利用しようとしていた。


ロードベルト国にとって危険なものは

管理しようとする奴らの手腕だ。

リベラとベアトリクスのように。


だが、リーナは基本的には魔力矢や魔力球で戦っていた。

魔弾は危険な代物とリーナも理解していたからだ。

彼女は7発の魔弾を撃って、何度か死にかけていた。


組織はそんなリーナに半分呆れていたが、それでも彼女を手放すということはしなかった。

むしろ、手元に置いておかなくては危険と判断しているのだろう。


そんなある日、リーナは母親に会いたいと言った。

どれだけ会わせてほしいと言っても、

会わせてはくれなかった。


ある時、組織の中で母親に再会することが出来た。

「お母さん…!やっと、会えた!歩けるようにもなって…ほんとに良かった…。髪色も白に変わっちゃったんだね。」

だが、


「すみません、どちら様でしょうか…?私に娘はいませんが…。」

その周りに居た人たちも顔を伏せている。


え?どうして…?お母さん…?私だよ?


もしかして…私の事、嫌いになった…?


私…こんなにも頑張ったんだよ…?


人を殺すようなことを命令されても…裏で手を回して


その人を助けたり…ほんとはやっちゃダメだけど


でも、心までは汚れてないんだよ…?


「お、お母さん…?」

しかし、本当に分からなく困っている様子だった。


あぁ…そっか、また捨てられたんだ。お兄ちゃんの時のように。

記憶…治療の副作用…?

なんでもいいか。


私の事ももう何も分からないんだ。


…。


あれ、何のためにここまで頑張ってきたんだっけ…?


お母さんのために…でもそのお母さんはもう居なくて…

ここに居る必要も…。


リーナはその組織を逃げるように抜けたのだった。

手を汚すようなことも任務としてしないといけなかったため

リーナは組織に対して未練も欠片もなかった。


唯一、未練があるとするのなら、お母さん…。


カナリーはこれはリベラから聞いたルナリアの話に似ていると感じた。


「それで…私は生きがいもなくただ彷徨っていた。生きるために仕事を探した。でもそのたびに組織が私を追いかけてきた。非合法な仕事しか…もうできなかった。」


そこで出会ったのがダンテだったという。

ダンテはリーナに優しくしてくれた。


記憶にはないけど、死んだ父の面影を思い出していたのだろう。

だけど、あくまで仕事上の付き合い。それだけは明確だった。

リーナは社交辞令と感じ取っていた。


誰も信用できない。

お父さんは死んでしまうし、

お兄ちゃんもどこかへ行っちゃうし、

お母さんは変わっちゃったし。


表面上信用することは出来たとしても

リーナはダンテを本気で信用することは出来なかった。


カナリーはあることを思い出した。


ずっと何かが引っかかっていた。

もしかして…いやでも、


「あの、あなたの名前はなんていうんですか…?」


「私ですか?私は、リーナ・カミンタフ。ダンテの名前を少し変えて真似たんだよ。そっちの方が…いろいろと楽だったから。」

リーナは改名後の名前を口に出した。


「いいえ。違います。リーナさんの前の名前です…私の想像が正しければ…あなたは…」

カナリーは言うべきか、いやここで言わなければもう出会うことはないと

そう思ってしまった。


「あなたの名前は、フィリナ・ホウローさんではないでしょうか…?」


リーナの目が見開いた。


そう、今まで相対してきたこの人物こそ、

カナリー達が探していた人物。

フィリナ・ホウローだったのだ。


「ど、どうしてその名前を!?まさか組織の人間!?」

リーナ、いやフィリナは驚いた。

まさか、自分を知る人物なんて居ると思わなかったから。


「あなたのお兄さんに会いました。あなたとフィオラさんを探して欲しいと。あ、でもあなたのお兄さんの名前を聞き忘れてしまってて…。」


リーナは頭を抱える。

どうして今ここで兄が…?

私達を捨てたんじゃなかったの?


分からない。


分かんない。


分かんない


分から…


リーナの息が荒くなってしまう。


ダメだ。私はしっかりしないと。

(そうだ。それでこそリーナだ。)


強い私になったんだ。

(弱い自分は捨てたんだよな。)


「なんで…お兄ちゃんが…?どうして、どこで、なんで?分からない…わかんない…やだ…やっぱり頭…ぐるぐるする…。今更…なんで…胸が苦しい…。」

(そうだよな。悲しいよな。分かるよ。俺も同じだったからさ。)


なんで?


私達を捨てたくせに?


どうして?


どういう意図で?


てか、生きてたの?


あの優しかったお母さんはもう居ないんだよ?


お兄ちゃんのせいだ。


分からない。


分かんないよ!!!!!!!!!!!


(あいつもしかして嘘ついたんじゃ?)

嘘…だったの…?心から信頼できる人だと思ったのに!


「嘘…つかないでください。そんなの…嘘に決まってます。」


「嘘じゃありません!お兄さんは心配してらっしゃってました!ずっと苦しそうに!私の事を信じられなくても…お兄さんのことは信じてあげて欲しい!」


あぁ、怒りがこみ上げる。


誰に?


お兄ちゃんを虐めてたお父さん


私とお母さんを捨てたお兄ちゃん


おかしくなっちゃったお母さん


私をコマのように使う大人たち


悲しそうな目で見て来るダンテ


嘘を言ってくるこの人。


こんな世界…もう…


「もうこんな世界大っ嫌い!!!!!!!!」

(…止まらないんだな。なら…こんな世界一緒に壊そう。)


リーナの感情、今まで我慢してきたもの

その全てが臨界点を超え爆発した。


リーナは銃をカナリーではなく自身に撃ち込もうとする。


「永射魔弾高等魔術<ハイスペル・魔弾Ⅶ(ザミエル)>!!!!!!!」


リーナは自身の心臓へ魔弾を撃ち込んだ。


魔術式が溢れ出す。


リーナの姿が変貌していく。


髪は伸び、黒く赤い角が生え、

肌は黒く、漆黒に。目は発光するように。

背中から銃身がいくつも生え

それはやがて翼のようになっていた。

尻尾のようにも銃身が連なって生えてくる。


両手にはマスケットが二丁握られている。

リーナの体には銃が大量に生成されていた。


マナはリーナを観測する。





「「「「「魔弾の大悪魔 」」」」」






「こんな大っ嫌いな世界壊してやる!私と…俺で!」

リーナの過去が明らかになりました。


リーナはフィリナだった。

彼女の感情はいつ爆発してもおかしくなかった。

そんな時に聞かされた兄の情報。

ずっと押し殺してきた感情が爆発し、ザミエルがそれに手を差し伸べる。


魔弾の大悪魔 降臨です。



2024年4月から始まったこの小説


50話達成です!ここまでたくさん読んでくださって嬉しい限りです。

ありがとうございます!

これからも精進します!何卒よろしくお願いします!


第50話、読んでいただきありがとうございます。

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