コード49「ボックス」
第49話
前回、ダンテの過去話が終わってから
いくつも連なった中に何か入っている大きな箱が鎖に繋がれ、
薙ぎ払うように、マナに攻撃が向かってきた。
水の入った箱、爆発物の入った箱、
トゲトゲしたモーニングスターの入った箱、
拘束具の入った箱など、様々なものがマナに襲い掛かる。
「おい、そろそろ倒れてくれないと困るんだが。どうやって防いでる?」
「さて、どうやって防いでいるでしょうか。」
またか。とダンテは少し考え込む。
水は相手を押し出したり、足場を崩す目的のもの。
爆発物やモーニングスターは直接攻撃する箱。
拘束具はその名の通り拘束を目的としたものだが、
ダンテは攻撃にも応用しながら使っていた。
マナは水は避けようとはしていなかった。
その他、避けなくてはならないものは
確実に避け、ダンテへカウンター等を狙っている。
マナは、箱の解析を進めていた。
どうやって解析しているか。
それは、スキル<スキル・コネクトリンク>で箱に直接触れ、
箱の性質。情報を取っていたのだ。
<スキル・リモートパネル>ではまださすがに
情報を見ることは出来なかったらしい。
マナの顔面で爆発する寸前の出来事。
マナはその箱を手で払おうと触れた瞬間、
箱そのものをコネクトリンクで情報を得ていた。
情報を知っただけで、爆発は避けられない。
どうやって避けたかと言うと、
マナは顔の周りに魔力の膜で宇宙服のようなヘルメットとして
通常防御魔術<スペル・魔力膜障壁>
を展開していた。これで爆発から顔面を防ぐことが出来ていた。
しかし、マナは悩んでいた。マナの攻撃は決定打に欠けてしまうと。
防御や避けに関しては全く問題が無いが、マナは
カナリーのように、超火力の攻撃方法を持ち合わせていない。
ただ、他の人にはできない、<スキル>の力があり、それで何とか
食いついていたのだ。
(この方、相当お強いですね。初めの方は箱の内部に何が入っているのか分かりましたが、今はモザイクのように、中に何が入っているのか分からないように攻撃をしてきていますね。これにより避けなくても良い箱なのかどうか、分からないですね。さて、どうやって制圧しましょうか。)
しかし、マナは箱が炸裂する瞬間を見逃さず的確に対応している。
(マスター、一つお願いがあります。)
これはマナのスキル<スキル・リモートパネル>の付属効果であり
マナの視界にカナリーが居れば通話のように脳内で会話をすることが出来るものだった。
カナリーへ何かをお願いしているようだった。
「この娘…さっきから全ての箱に対応してきている。」
マナとダンテの戦闘が激化してくる。
(なるほど…マナ、やってみるね!でもちゃんと出来るか分からないし、それにこっちもちょっと…忙しくて…!)
カナリーもまた戦いが始まっていた。
(マスター、それは重々承知にございます。大変申し訳ないのですが、さっき伝えた事、出来ればで良いのでお願いします。もしダメでも、こちらで考えます。)
カナリーもリーナとの戦闘中だった。
「俺はやらなきゃいけない事がある。邪魔をしないでもらいたい。もう面倒だ。これで終わりにする。別に君を殺したいわけじゃないんだ。」
ダンテの魔力が上昇していく。
ダンテの背後には大量の箱が生成されており
その全てが鎖でつながれている。
何台もある列車のように生成され
そしてマナを取り囲んだ。
「もう終わりだよ。黒髪のメイドさん。完成だ。」
「大連鎖式箱高等魔術<ハイスペル・巨連箱連鎖結界>。静かにしていてくれ。」
マナが箱に封印されてしまった。
今までは無機物なものばかりが箱に入れられていたが、
ダンテのハイスペルでは、生き物も入れられるらしい。
(あ!マナ…!早くつくらなきゃ…!)
ダンテの結界の中は水に満たされていた。
その外側にも合計4つもの水の結界で包まれており、
強固な結界の中に閉じ込められてしまった。
マナはじわりじわりと魔力が削られるのを感じていた。
魔力膜障壁で防ぎながら耐えつつカナリーを信じ、待っていた。
(マナ!お待たせ!これ、届くかな…?とにかく受け取って!魔術生成の応用で作った、不安定かもしれないけど、<スキル・コード>クリエイト!数回しか使えないかもだけど、マナにこのスキルを!)
カナリーが心の中でマナに向け、何かを飛ばした。
マナがそれを手で握るように受け取った。
ダンテの結界の中が激しい光に包まれる。
結界が脈動する。激しく振動し始める。
「なんだ…?何か音が…」
マナの使用する新たなスキルは魔力の燃費がかなり悪いものだった。
(私の魔力が足りません…拡張維持することができませんね…)
それもそのはず、カナリーベースに作られたスキルだったため、
マナの魔力量には見合わないものだった。
(水中の魔素を…周りの魔素を…練りあげるように…吸引するように…)
マナは魔力膜障壁を解除する。
両手をまるで赤子においでと言わんばかりの
慈愛のごとく広げ、水中や結界内に漂う魔素
結界そのものの魔素を大量に両手に吸収し始める。
そして両手に溜まった魔素を魔力に変換。
マナは新たなスキルを発動させた。
<スキル・ボックス>発動。
真っ白な正方形の箱の強固な結界。
それを内側から広げるようにしてダンテの結界を破壊していったのだ。
4重にも重ねられた結界が一つ一つ順番に
ひとつの結界が広がり、破壊されていく。
まるでガラスが砕けるかのように。
そして4枚ともすべて破壊された。
ダンテの強力な高等魔術を破壊することができ、
水が弾け飛ぶ。マナの目線はダンテに向けられていた。
「スキル発動<スキル・ボックス>。じっとしていてください。」
左手で大気中の魔素を吸収し、右手で再び発動する。
「…ここまでか。」
ダメ押しにその結界に魔力の鎖が何重にもがんじがらめにし、
ダンテはマナにより逆に封印されたのだった。
「このスキル、少し改良しましょうか。他にも使い方がたくさんありそうです。まずは燃費面の考慮ですね。」
マナは水や雨によりびしょ濡れになっていた。
カナリー視点
「ダンテ…あの人も負けちゃったんだ。みんな私の前から居なくなるんだね。」
リーナはカナリーと相対していた。
カナリーは爆発騒動となった瞬間、ちょび髭おじさんを安全な場へ誘導し、
即避難させていた。
リーナは魔弾の他にも、魔力矢や魔力球により
遠距離攻撃を行うことが出来た。
だが、やはり魔弾の威力や有用性は高く、
彼女の切り札的存在となっている。
カナリーとリーナは屋根の上で飛び跳ねながら戦闘していた。
「炎貫魔弾魔術<スペル・魔弾Ⅳ《フライクーゲル》>!!」
炎を纏った魔弾がカナリーへと放たれる。
魔力之魔術<スペル・魔破片>
カナリーは魔弾を止めるべく、魔破片で結界を張ったが、
1枚の障壁を魔弾が突破してきた。
2枚目を即座に貼り、そのまま薙ぎ払うように弾き返した。
炎を纏った貫通弾の魔弾Ⅳは建物を何重にも貫通していった。
「もうこんなことはやめてください!せっかくのイベントだったのに…!みんなが楽しそうにしていたのに…。あなた達はどうしてあのちょび髭おじさんを狙うんですか!?何か理由があるんですか…?」
カナリーはリーナを怒らせないよう優しさを込めながら
リーナの攻撃を跳ね返しつつ問いかけた。
「それは…。ごめん。ダンテに協力するって約束したし、それに私にはもう…。」
私には生きがいが無い。私は過去に…家族を失った。
家族に捨てられた。
何が正しいのか、何をすればいいのか、
何を信念にすればいいのか
正直分からなくなっていた。
過去に重大な任務についた時は信念を持てていたけど
今ではただ負けた相手にリベンジをするような
まるで駄々をこねる子供のようで、自分でも情けない
そう感じていたのだった。
だが、止めることは出来なかった。
私にとって…生きるって…。
(良いじゃないか。子供でも。生きてさえいれば。な?)
生きてさえ…いれば…
リーナは魔弾のリロードを行い、不安を抱えながらも
カナリーに銃口を向けていた。
ダンテは悲しい過去を持ちながらも、
彼なりの強い信念を持っていたようです。
ちなみに、ダンテの最後の何重にも及ぶ水の結界は、
マナは邪魔をしてくる相手ではあるが
別に殺すまでとは思っておらずだったからこその
水の結界ですね。爆発やモーニングスターは当たれば危険かもしれませんが、
どれも致命傷までとはいかず、あくまで戦闘不能にさせるものだったようです。
実はマナもそれには気が付いていたようですね。
気絶させる程度の爆発だったようです。
女の子の顔面で爆発させるというえげつない事をしてはいますが。
しかし、そうしないと気絶させることが出来ないと思ったのでしょう。
<スキル・ボックス>
カナリーもちらちらとダンテとマナの戦いを見ており、
新たなスキルをクリエイトする際、箱に影響されてしまい、
ボックスとなった。
かなり強固な結界。
発動するまでが時間がかかってしまうが、
当てることが出来れば、確実に無力化がほぼ可能な結界。
また、ボックス内の物質はある程度の自由が利く。
使い手によっては様々な応用が可能なスキル。
魔弾
以前に放っていた4発目は分裂する魔弾。
狙撃手の考えた魔弾を放てる性質上、
何発目がこれといった固定に決まっているわけではありません。
今回は、カナリーの障壁を突破したいという強い思いから
燃え上がるような魔弾となり、貫通力にも優れていました。
1枚目は完璧に貫通することが出来ましたが、2枚目は流石に無理のようでしたね。
制約などはたくさんありますが、
考えようによってはかなり強い能力となっています。
第49話、読んでいただきありがとうございます。




