コード4「敗北そして逃走」
第4話、前回フェニが戦い、そして場面はカナリーサイドへ。
私は、急いで通信魔具を起動させ、街の魔術大教会へと連絡を試みた。
しかし、なぜだか魔術大教会へ繋がらかった。
屋敷で休んでいたマリナの元へ向かい、事情を話す。
「マリナ!休んでたのにごめんね!魔術の勉強をしていて…少し休もうかなと思ったら、山の向こう側が赤くなってて…それに爆発音も聞こえてて、救難信号?も見えたの!大変な事が起こってるかもしれない!」
マリナは私の話が終わるまで真摯に聞いてくれていた。
もしかしたら、お姉ちゃんが戦ってるのかもしれない。と思ったが、口には出さなかった。
「なるほど…。それでは、急いで魔術大教会に連絡しないといけませんね。カナ様少々お待ちください。」
マリナが通信魔具を使おうとするが、
「あ、それから、なぜか通信魔具が繋がらないの。こんな事今までになかった。どうしてだろう…」
マリナが通信魔具を使用するも、やはりまるで通信妨害を受けているかのように繋がらなかった。
私とマリナはまだ魔術士ではない。
その場に行って、そこに居る誰かを救い出すことは
私たちにはまだできない。危険すぎると2人とも判断した。
なので、魔術大教会へ直接行き、異常を知らせることにした。
私たちは、上着を羽織り、すぐさま準備をして屋敷を出た。しかし…
山の向こう側が光り、大爆発した。そして一人の魔術士が飛ばされてきた。
そう、それはフェニ・アステライトだった。
「え!?お姉ちゃん…!?すごい怪我…早く誰かに診てもらわないと!」
しかし姉はカナリーの腕を掴みがながら危険を知らせた。
「はぁ…はぁ…早く…逃げて…カナ…マリナ…この屋敷に居るメイド達みんなを連れて…すぐにここから…」
マリナはすぐさま屋敷の中に居るすべてのメイド達を街に避難するように伝え、
フェニとカナリーの元に戻ってきた。
「フェニ様、屋敷の中に居るメイド達は皆、避難が完了しました!次は、フェニ様とカナ様にございます!」
だが、遅かった。燃える山の向こう側から、エンシェントワイバーンが屋敷の前に降り立った。
フェニが2人の前に立ち、剣を握りしめ、守り抜く覚悟を持っていた。
「カナ…マリナ、2人とも早く逃げて。ここは私がこいつを抑える。2人は魔術大教会へ向かって!」
フェニの魔力はもう残り少なかった。それをマリナだけは気が付いており、俯いていた。
「カナ様…!さあ、こちらへ…!」
カナもなんとなく気が付いていた。このままでは、フェニの命が危ないと。
しかし、無力な自分に苛立ちを覚えた。
エンシェントワイバーンの体の魔術式が輝き、口元に魔力が収束していく。
「カナ!マリナ!早く逃…!」
ブレスが3人を襲う。
辛うじて、フェニの残った魔力で防壁を作り出し、2人を守った。
しかし、その対象にフェニは入ってなかった。3人は守れないと、
フェニは後ろに防壁を張り、自分自身はそのブレスにより、倒れ込んでしまった。
「お姉ちゃん…!ダメ…!あぁぁ…!そんな…。」
カナリーの目から涙が溢れ出す。
マリナがそんなカナの手を引き、敷地から出て必死に森の中を走って逃げる。
アステライト家近くの森は比較的安全な森であり、
危険な魔物や魔獣などは存在していない。
(フェニ様…私たちを守るために…防壁を私たちだけに…私も必ずカナ様をお守りしなくては…)
エンシェントワイバーンが追ってくる。そして今一度ブレスを放とうとしていた。
マリナはカナの手を引きながら魔術を発動した。
「観測魔術<スペル・魔視>!」
エンシェントワイバーンそのものは情報量により、観測できなかったが、
マリナはブレスの軌道を観測した。
「カナ様、こっちです…!」
エンシェントワイバーンがブレスを放った。
地面がえぐれ、木々がなぎ倒され爆風が2人を襲う。
だが、マリナの予測により、避けることができた。
「はぁ…はぁ…!よし!これなら…!」
エンシェントワイバーンの尻尾風圧攻撃がカナリーに向かって飛んでくる。
観測魔術<スペル・魔視>でも、その軌道が見えなかった。
「カナ様…!危ない!私が盾になってでも…!」
マリナが身を挺してカナリーを庇った。
「うっ…!カナ様…。逃げ…て…。」
その風圧には、魔術が施されており、マリナの背中に傷がついてしまった。
マリナは気を失ってしまう。
「ダメ…!マリナ…!目を覚まして…!私を庇ったの!?目を開けて!マリナ…!」
カナリーが涙を流しながらマリナの手を握り、体をゆする。背中の血が止まらない。
あぁ…私はまた家族を失うのだろうか。前世でお母さんを失い、魔術大戦でこっちの両親も失い、
お姉ちゃんと…大切な…マリナも…私って前世で虐められてたし、世界から嫌われてるのかな…。
カナリーはエンシェントワイバーンに目を向ける。
まだやりたいことがたくさんあった。マリナと一緒に魔術学園に入学して…
一緒に勉強して…友達とかできたりして…知らない事、たくさん経験して…
それで…魔術士になりたかった。
エンシェントワイバーンの体が輝き、姿形が変わる。
[おめでとうございます。エンシェントワイバーンの経験値が進化条件を満たしました。進化を果たします。進化後の姿は<ドラゴン>です。祝福します。]
世界の声が無機質に響き渡る。
ドラゴンに進化したエンシェントワイバーンはより体が一回り大きくなった。
「なんでまた強くなるの…私たちが何をしたって言うの…もう私たちは…」
カナリーはマリナにしがみつき、ドラゴンから目を背ける。
すると、ドラゴンに進化したからか、急に喋りだした。
「人間の小娘よ。聞こえるか。我はドラゴン。貴様も世界を呪うか。」
ドラゴンが何か言ってる。もしかしたら、
逃げれるかもしれないとカナリーは希望を持った。
しかし、その希望をすぐに打ち砕かれる。
「この世界は弱肉強食の世界。我も、家族を魔術士に殺されている。許さぬ。絶対に。貴様らを殺したら、街へと向かってやる。そして街の人間どもを蹂躙してやる。貴様らが我の家族を殺した時と同じようにな!!」
カナリーは絶望していた。もう、ダメだと。
せめて、最後くらいはマリナと一緒に。
カナリーはマリナを抱きしめる。
ドラゴンは白と赤の魔術式が体に刻まれ、そして口を開き、
今まで以上のエネルギーを収束させていく。
「これで終わりだ小娘。火龍高等魔術<ハイスペル・火龍魔波>」
赤白い大きな魔術の光が木々をなぎ倒し、カナリーとマリナを襲う。
大ピンチのカナリーとマリナ。
もうどうしようもない2人。どうなるのか。
第4話、読んでいただきありがとうございます。




