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私とAIの異世界転生!  作者: 星廻 月華
【魔弾編】
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コード48「悲しみの連鎖」

第48話

前回、鬼とケーシィの戦いから別視点へ。

イベント会場の建物の上では、ダンテとマナによる激しい攻防が続いていた。


「鎖箱遠隔魔術<スペル・連鎖箱(ザ・ケース)>。」


マナに魔力の籠った箱の爆弾がいくつも投げつけられる。

正直、とても厄介だ。


割込消去魔術<スペル・小消球魔(ナノイレイサー)>を試してみても

箱そのものを消すことが出来ず、避けながら、機を伺う事しかできない。

それに、ダンテは身のこなしが軽く、手足(リーチ)もかなり長い。


直接攻撃を避けても、箱による攻撃の追撃が来る為、

かなり面倒な相手であった。

しかし、マナは緻密に針を通すように魔力球による攻撃を通し、

じわじわとダンテを削っている。決定打には欠けてしまうが

今はこれを続けるしかない。


「ふぅ、お嬢さん、なかなかやるじゃないか。そういえば、今日は嵐だな。」


「そうですね。雨の匂いも強くなってきました。風も強いものと思われます。早く終わらせたいところです。」


そんな話をしていると、小雨が降りだしてきた。

屋根の上の為、少々足場が悪い。

ダンテはにやっと笑い、魔力箱を空に掲げる。

箱に水が溜まっていく。


「これの意味が、どういうことか分かるかな?」


マナは気が付いた。

爆発する箱を生成しているものだと勘違いしていたが、

この箱は、物質や魔術を収納する箱の魔術だったのかと。

ダンテは大量の箱を生成し、雨を吸収していく。

そのまま、箱をマナに向け投げつける。


マナは箱を難なく躱す。だがしかし、


「それは悪手だぜ。ちゃんと見届けないと。」


後ろの方で破裂し、水の箱が破裂した。

足場が悪かったにもかかわらず大量の水の波により

マナは足元を崩してしまう。

その瞬間を、ダンテは見逃さず、魔力の籠った箱が

マナの目の前に飛んできた。そして顔の前で爆発した。

それと同時に、大量の水の入った箱もマナの背後で炸裂していた。


「ふう、少々厄介な邪魔が入ったが、リーナの援護でもしてやるか。」


爆煙の中から、マナが涼しい顔で出てくる。

「お前、どうやって防いだ…?」


「さて、どうやって防いだでしょう。」


ダンテは冷静に分析する。

どうやって防いだ。

あの距離であの態勢で、俺は不意打ちしたはずだ。

双方向を見ることが出来なければ、防げないはずだ。


それとも、足元が崩れても、ただの身のこなしで躱したのか…?

いやそれはない。顔面で炸裂したのを俺は見た。

何か仕掛けがあるな。


「良く分からないな。君のような優れた者は使い潰されるだろうに。」


雨が強くなってくる。

そこら中で上がっていた火の手が弱くなってくるかと思われたが

火の手は一向に静まらない。


「…?あなたは使い潰されたのでしょうか?」

「私にとっては、あなたも非常に優れた方のように見えます。箱の魔術。今までに使っている者のデータは無いように思います。私の想定では…あなたは…」


そういえば、あの時も、こんな雨の日だったな。

まるで、俺の心の中のようだな。

止まない雨。ずっと降り続いている。



ダンテ・カミオン

3人家族だった。

妻の名前は、ララ・カミオン。

子の名前は、ラナ・カミオン。

ダンテは魔術師(ウィザード)Bランクだった。

世の為、人の為。魔術大教会(ギルド)でも指折りの魔術師(ウィザード)だった。


そんな時に出会ったのが、ララだった。

疲れた時に、酒を飲んでいたところ声をかけて来た。

ある時に愚痴っちまった。でもララはそんな俺を見ながら楽しそうに酒を飲んでいた。


「Bランクともなれば、疲れるよな。あたしにはその疲れは分かってあげられないけどさ、でも、あんたが頑張ってるのは、知ってるから。いつでも愚痴っていけよな。」


俺たちはお互いに惹かれあい、そして結婚した。


「ねえ、あなた。デートしようよ。結婚して1年目でしょ?早く行こ!」


俺たちは結婚記念日には必ず2人で出かけていた。

豪華なディナーではなく、2人でよく一緒に酒を飲んだお店で楽しんでいた。


「ララは果実酒が好きだよな。特にレモンの効いたやつ。」


いつもの飲み屋でよかった。別に気を遣うような関係でもないし、

むしろ、お金は大事に使えとララに言われていたから。

俺は金使いが荒かったからララが居てくれて助かっていた。


結婚2年目、子供が生まれた。

女の子だ。名前はラナ。

顔つきはララに似ている。だが、性格はダンテ似でやんちゃな子だった。

将来はララに似て美人になるだろう。

もし男を連れてきたらと思うほどにダンテは親バカだった。

そんな話をするといつもララに怒られる。


「ラナも、将来は誰かと結婚したいもんね~?良い男捕まえてくるだぞ~?」


「おいおい、ララ、ラナはまだ小さいからそういうのは早いって。それに男を捕まえて来るなら、俺を通してだな…。」


幸せな日々だった。この幸せがずっと続けばいいのに。

それだけを願っていた。ラナの将来の事も考えていた。


純白のウェディングドレスを着たラナを何度も想像した。


将来は魔術師になるかもしれない。

いや、結婚してララみたいに主婦になるかもしれない。


多くの可能性を想像し、ラナの未来をゆっくりと待とうと

ララと約束した。


「この子は…きっとすごい子になると思うな。だって私達の自慢の子だもん。見届けようね。」


ラナは無事魔小学校へ入学した。


ある日の事、その日は雨が降っていた。


ダンテは魔術大教会(ギルド)の仕事に向かう途中、

都市では演説が行われているのを目撃した。

「魔列車を更に高速化し、都市の移動がより効率化される事でしょう!」


カナリーの元居た世界で言うところの

特急電車のようなものを作ろうとしていたらしい。


とある政治家が資金を援助

無事に高速魔列車は出来上がった。


いつものように、ララがラナを魔小学校へ連れ添っていた。

「ママ。今日の夜ごはんはハンバーグが良い!」


「この間良い点だったから、ご褒美だね。パパの好きな卵も使ってオムハンバーグにしよっか!パパ喜ぶぞ~!一緒に作ろっか!」


「うん!楽しみだね!パパ喜ぶかなぁ~」


汽笛の音。


いつもより速い。


車輪が外れる。

高速魔列車には欠陥があった。魔石の暴走。

暴走による魔列車のブレーキの故障。


誰も意図していなかった。不規則な暴走。


魔列車は駅に突っ込んだ。


死亡者数は列車に乗っていた人、駅で待っていた人

負傷者合わせて80名を超えていた。


ダンテが家に帰ると誰も居なかった。

高速魔列車が突っ込んだ駅は大惨事だった。


医術師が多く派遣されており、彼らは尽力した。

とある紙を見つける。


死亡者リスト


「いや…まさか…でももう魔小学校の時間は過ぎてる…二人とも帰って来てない…。」


頼む頼む…居ないでくれ…お願いだ…!


ララ・カミオン


その死亡者リストに、ララが居た。


2人は駅で待っていただけだ。

俺は膝から崩れ落ち、何が起こったのか頭が真っ白になった。

子どもの泣く声が聞こえる。


そうだ。ラナは!?


ラナは死亡者にはなかった。

代わりに搬送者リストに載っていた。

良かった。病院だろうか。

ダンテは重い足を動かし病院へ走った。


ラナ…ラナ…。無事でいてくれ!


魔列車が駅に突っ込んできた時、ララはラナを庇った。

2人とも駅から遠くまで吹き飛ばされた。

ラナも吹き飛ばされた衝撃で、頭を打った。

致命傷。本当なら死ぬほどの。


だが奇跡的にラナだけは生き残った。


母が子を庇い守ったのだ。


しかし、ダンテの希望は打ち砕かれる。


ラナの意識は戻らない。植物状態となってしまった。

医術師によると、手を尽くしたという。

彼女はもう目覚めることはないと伝えられた。

ラナは自動医術により生命維持させられている。


ダンテは全てを失った。


高速魔列車に支援した政治家は、失脚した。

当然のことである。何名も死亡者を出した高速魔列車に支援した政治家だ。

彼は政治家を辞めた後も、非難の声は止まらなかった。


ダンテは高速魔列車に支援した政治家をどんな方法であろうと

見つけ出し、部屋の扉を蹴破り問いただした。


「お前の…せいで!どれだけの人間が!俺の妻も子も…!お前が!投資したせいで!!!!」


そいつは、酒に溺れ、病んで、精神崩壊を起こしていた。

救いを求めているようだった。


こんな奴のせいで、俺の妻と子があんな目に…?

妻は帰らず、子は目覚めない。

どうすればよかったのか。今でも分からない。


ダンテは高速魔列車に支援した政治家を楽にしてやった。

奴もそれを望んでいた。


もう、どうでも良いな。

俺の手は汚れちまった。

そんな手でラナに会って、触れる事なんて


高速魔列車の落とし前はつけさせた。

虚無感。成し遂げた。

何をすればいい?何を生きがいにすればいい?

俺は幸せの蜜を知っちまった。

もう、何も…。


いや、魔列車魔を作った奴らは?

あいつらも、今もなお生きてる。


ダンテに生きがいはもうなかった。

あいつらも生きてる。なぜ?

いや彼らは命じられて作っただけだ。

作れるお金があったからだ。


しかし、ダンテはあることを考えた。


彼は高速魔列車を製造した研究員、

その他にも多くの研究者を一人残らず探し始めた。

少しずつ、少しずつ研究者を集めた。


もう一つの目的

政治家達は、魔道具やその他の事業に支援している。

政治家達さえ居なければ。


こいつらだけは絶対に許さない。


研究者を集めるのとは別の目的として政治家達も探し始めた。


そうして彼は生きる目的を見つけた。



妻と子を失ってから数週間後に、ある女から力を貰った。

「君、辛そうだね。力をあげよう。そうだね…君にはこの力が良いだろう。」

その女はダンテに力を分け与えた。

「君の名前は…ダンタリオ…」


「そんなものは要らない。俺はダンテだ。ダンテ・カミオン。力は受け取るが、新しい名など不要だ。」

ダンテは希望を持っていた。いつかは、ラナが目を覚ますかもしれない。

名前を変えて、ラナが分からなくなったら?

それだけは絶対嫌だ。


「あの姿なら彼女はもう…。まあいいさ。砂粒ほどの可能性だろう。力に見合わぬ名前は、その身を滅ぼす事もある。心に刻んでおくようにね。」

女はどこかへ去っていった。


ダンテは魔人になった。



現在、マナ視点


「あなたは魔人ですね。魔人の扱う魔術は特別なものが多い。一般的に皆が使用している魔術から逸脱している魔術なら魔人の可能性が高い傾向にあります。私の計算ではあなたは97%の確率で魔人です。」


「そうだ。俺は魔人。鎖箱の魔人。ダンテ・カミオンだ。」


巨大な箱が生成されそれに鎖がいくつも繋げられている。

皮肉だ。その姿はまるで、列車のようだった。


「お嬢さん。俺の邪魔をするようなら、君も排除する。」

ダンテ・カミオン。

彼は本来は優しい人だったのでしょう。

ちなみに彼が研究者を探し出して目的を果たした。

というのは、殺したというわけではありません。

彼には目的があってその目的のために研究者を集めたのです。


ダンテには2つの目的があります。

一つ目は政治家への復讐。

もう一つは科学者を集める事。

科学者達にも当然憎んでます。

しかし彼はとある目的により生かしています。

本当は殺したいほど憎んでいるのに。

その目的とは、今後また出てきます。


ちなみに、ダンテは政治家のみを狙っています。

極力殺傷は控えているつもりのようです。


ちなみに作者は書いてる途中で泣いてしまったため

最初は誤字が多数ありました。今は直しました。


第48話、読んでいただきありがとうございます。

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