コード42「学生寮での報告会」
第42話
前回、凄腕ドライバーとカナリーの活躍の後から
凄腕ドライバーとカナリーにより
政治家のちょび髭おじさんは無事に助けられた。
イベント会場から隣都市にある、病院の中。
「いやぁ~!本当に助かったよ!君たち~!がっはっは!」
助けられて本当に良かった。
あのままであれば、出血でこの人は亡くなっていただろう。
「心から感謝する。この礼は必ずさせてもらう。」
先ほどとは一変し、頭を下げている。
「そんな!私は出来ることをしたまでです。それに、私だけじゃ助けられませんでした。この女性のおかげです。この人が運転してくれなければ、間に合ってなかったでしょう。」
凄腕ドライバーの女性はペコペコと頭を下げている。
「私は…その、魔駆動車の扉を壊してしまったり、車体の後ろを擦ってしまったりしてしまいましたし、怒られるものだと思っていました。でも、私も人助けが出来た事、とても嬉しく思います。」
政治家の男性が医術師の人と話している隙に、凄腕ドライバーの女性は居なくなっていた。
名前だけでも聞けばよかったかな。
もしかしたら、転生か転移者かもしれなかったのに。
しかし、またどこかで必ず会える気がした。
その時を待とう。
誰かが、走ってくる。
それは、カナリーも良く知っている人物であった。
「カ~ナ~リ~!?危険な事はあれほどダメだと言ったはずだ!もうアルバイトは禁止だ!」
そう、ここはフェニも入院している病院であった。
「そ、そんな…!うぅ…ごめんなさい。」
確かに、銃で撃たれるとは思わなかったし、
最後のは危なかった。かもしれない。
額に魔破片を発動していなければ、撃ち抜かれていたかもしれない。
そう考えると、かなり危険なお仕事だったかもしれない
「おや、君はあの有名なフェニ・アステライトさんではないか!」
政治家の男性が反応する。
「私は、このカナリーさんに助けられたんだ。まさか、君の妹さんだとは思わなかったよ。是非、お礼をさせてくれ!カナリーさんはすごかったよ!彼女はとても強い子だと私は思うがね。2つの意味でね。がっはっは!」
「は、はぁ。しかし…!」
フェニはカナリーは守ってあげなければならない存在だと認識している。
「分かりました。謝礼は受け取らせます。ですが、私が妹に対し、危険な事はして欲しくないという気持ちも察していたければと思います。」
フェニお姉ちゃんは政治家さんにものおじせずに、しっかりと意見している。
もしかしたら、お姉ちゃんはすごい人なのかもしれない。
「これだけは覚えておいてください。フェニさん、カナリーさん、今日死ぬはずだった私がカナリーさんのおかげで生き延びることが出来た。誇るべきだ。本当にありがとう。後日必ず謝礼させてもらいます。」
おじさんは医術師に連れられ、どこかへと去っていった。
あ、また名前聞いておくのを忘れていた。
ちょび髭の政治家おじさん。
フェニはため息をつきながら病室へと戻っていった。
そんな後ろ姿をカナリーは心配しながらも
いつも心配してくれてありがとう。という気持ちを込めて
微笑んでいた。
「マスター、大変な一日でしたね。」
マナとリベラと3人で一日の報告会をしていた。
その日、リベラには一日休暇をあげており
本人は別に要らないと言っていたのだが、
「本当にやることがないから、休暇と言う日を楽しんでおいで。」
と言い、リベラは一日を満喫していた。
リベラは魔列車に乗り、気になった駅で降り、
知らない路地や活気ある街を歩き
一日をかなり満喫していた。
「ちなみに、リベラさんはお昼は何食べましたか?」
「駅構内で売られていた、カツサンドセットです…。とってもおいしゅうございました。その他にも色々と。です。」
中には、サクサクのカツと新鮮な野菜のサラダがサンドされており、
これがかなりの絶品で、有名なものらしい。チラシに載っていた。
カナリーはそれを聞いて食べたい欲に駆られていた。
「マナの方はどうだった?休日バリシュの業務。」
休日のバリーシュタインは、
ランチ営業もしているため、
お昼にはランチ目的にファミリー層、また営業の一息にコーヒーを求めて来る層、
その他てんやわんや状態が休日業務の常らしかった。
「はい。学べることも多々ありました。ですが、初めての経験、ボディに疲労を感じております。その他、四肢に異常を検知等々…。」
マナは顔には出ていなかったが心なしか疲労している風に見えた。
「マナ、お疲れ様。変わってくれてありがとうね。私も行きたいな。あの可愛い制服着てアルバイトしたい!」
カナリーはその身に起こった出来事をマナ、リベラに話した。
「なるほど、それは銃ですね。」
「ジュウって何です?」
「えーっと…弓矢の…進化系…みたいな?うーん、火器と言えば良いのかな…。」
カナリーは説明が少し苦手であった。
「あ、ボウガンみたいな感じです?こう、射出させるみたいな。」
「リベラさん、その認識で大丈夫です。遠距離武器、それが銃です。弾丸という矢に似たものを撃ち込みます。ただ、殺傷能力がかなり高く、スピードもほぼ見えないほど速いですが、指先と銃口をよく見て慣れれば通常弾であれば躱すことは可能です。」
リベラは想像が出来なかった。それもそのはず、
この世界に銃というものはまだ存在していないのだから。
「明日にまたイベント警備に来て欲しいって言われたし明日も行ってくるね。何もなければ良いんだけど…。」
「明日は、私も行きます。」
マナも一緒に来てくれることになった。
その日は、3人で大浴場へと行き、体の疲れを癒したのち夕食を済ませたのだった。
フェニお姉さんはカナリーの実力を見たことはない為、
変わらず過保護のままである。
両親が居らず、数少ない家族で可愛い妹なのだから当然ですね。
まあ、今後もカナリーはたくさんの出来事を経験していくので
今回のようなことが無くなるということはありませんね。
ちなみに、前回の7発目の魔弾は額に魔破片を発動させ回避していましたが、
魔破片を発動させずともカナリーの魔力層が弾丸を止めていたでしょう。
魔破片を発動してしまったが為に、額に少しの圧が加わってしまったので、
カナリーが少し痛がっていたのですね。
どちらにせよ、撃ち抜かれるということはありませんでした。
第42話、読んでいただきありがとうございます。