コード273「逃れられない罪と罰」
第273話
前回、教皇が操られてないと発覚し
「天龍様がハイブヘイヴンに本当に必要なのかどうか…。天龍様が居れば、確かに色々と便利になる事は間違いない。今の我々は互いに協力し合い天龍様が居ても居なくても、問題ないだろうな…。むしろ、その存在があれば、天龍様を利用しようとする者もあらわれる事だろう。だが…私にとっては必要なのだ。」
クラウディオスは少し悲しそうな表情をする。
レオノーラはフランジメイスを持ちながら、彼の話を待つ。
「私にはかつて教え子が居た…。事故で彼らを失ったのは私の責任…。」
クラウディオスは、セレスティア天術学園で先生も務めている。
もちろん、教え子はたくさんいただろう。
セレスティアの生徒は、かつて、空に住むモンスターに連れ去られ、
無残にも奴らの子供の餌にされてしまった過去があった。
注意を怠っていたわけでは無い。
だが、当時のクラウディオスは範囲攻撃を持っていなかった。
別の雲の上の島に行く学園での行事があり、
その際に、生徒が次々と怪鳥や巨大昆虫によって、
生徒達が連れ去られてしまった。
見つかった頃には彼らは無残な姿となってしまっていたそうだ。
その時は、たまたま風が吹いており、そういった生物が寄ってきやすかった。
本当なら、風が良く吹いていると事前に知り、中止かもしくは延期にするべきだった。
だが、特に気にも留めず、そのまま行ってしまった。
「その結果が、あの時の生徒雲島誘拐事件なのだ…。私が付いていながら、彼らは…。だから、私は彼らを生き返らせなければならない!それが私の役目だからだ!ずっと何年も胸に抱えながら生きていたら、そこの悪魔に会ったのだ。」
初めはすぐに祓ってやろうと思っていた。
こんな小物、すぐに。
だが、この悪魔の狙いが天龍の復活だと知った時は、
もしかすれば、彼らを生き返らせれるかもしれない。
「神は私を見ていたと、その時に思ったのだ。」
クラウディオスの言い分は分かった。
「教皇がそこまで、あの事件の事を悔やんでいたとは思いもしませんでした…。ですが…天龍の復活時にちゃんとこちらの願いを叶えてくださるでしょうか?何か代償はありませんか?本当に安全だと言い切れますか?そして…ちゃんと生徒を元の状態で生き返らせれると思いますか?」
死者を蘇らせる。
そんな事例は一度も聞いた事が無い。
天術とはまた違う他の術では死者蘇生方法もあるかもしれない。
だけど、天術でそのような事が可能とは聞いた事が無い。
「いくら、天龍がすごい存在だとは言え…死者蘇生、しかも肉体の再生など不可能に等しいと私は思います。」
静かに、ちゃんとはっきり教皇に伝えた。だが…
「天龍様に不可能などない!伝承では、あらゆる願いを叶えるとどこにでも書いてあった!私は…信じたいのだ…彼らを生き返らせる事に…。」
平行線だ。
どれだけ言っても、この人は恐らく止まらないだろう。
今、レオノーラが出来る事は、クラウディオスを説得する事じゃない。
クラウディオスの意識を落としてでも、彼を止め、
そして、白竜を、悪魔を止め、天龍復活を阻止する事だと、
改めて、認識する事が出来た。
「…どれだけ言っても…止まらないというのでしたら…私はあなたを止めます。それが、五天柱として…いえ、あなたの教え子としての責務ですから。」
レオノーラは改めて、光のフランジメイスを構え直す。
「あ~~、終わったか?茶番は。つーか、催眠魔術効いたなかったのかよ~。めんどくせーな。」
悪魔は気だるそうに、影を実体化させ思考する。
(オレ様の切り札その1、教皇を操る事だったが…まだいけるか?話の流れ的に、教皇は天龍の復活まではオレ様を攻撃しようとはしないらしいし…ワンチャンあるな。それでも、無理な場合は…オレ様の切り札その2を試すしかなくなるのだが…。果たして上手くいくかどうかわからん以上、下手に手も出せん。今は傍観するしかないのか。)
白竜も悪魔の意見に賛成であり、天泡を吸収する手を止めなかった。
レオノーラは思考をフル回転させる。
今私がしなくてはならない事は、
教皇を昏倒させ、悪魔を消滅し、
背後の白竜を討伐する事もしくは止める事。
白竜の様子からして、もうまもなく、次の進化が始まってしまう。
(急がないと…!もうなりふり構ってられない!このひと振りにかけて、全部薙ぎ払う!)
「天光…最大解放!」
フランジメイスが長く伸び、光がどんどん強まっていく。
(後ろには被害が行かないように…。前方集中…。)
天光が強まり、悪魔に浄化光がかすり、その攻撃を放たせてはいけないと
瞬時に理解してしまった。
「ちぃっ!倉庫雲ごと吹き飛ばすつもりかよ!そっちがその気なら、こっちもなりふり構ってられねぇよ!」
(一か八か…クソ!やるかねぇ!!!)
悪魔は術式を展開させ、白竜に乗り移り、
天光を魔力変換させ、魔術を強引に発動させる。
「憑依入替魔術<スペル・悪取魔憑>!!!!オレ様の魂を!!!!」
悪魔がクラウディオスへ向け、魔術を使用し成功した。
ように見えた。だが、レオノーラの攻撃が間に合い、
悪魔の魔術が一瞬、キャンセルされ、悪魔はレオノーラを見た。
その時、悪魔の魔術が再発動され、悪魔の魂がレオノーラの体の中に入り込んだ。
クラウディオスを対象にしたはずだったのだが、
思わぬ収穫。レオノーラはよろめき、意識が深い闇に落ちていく。
「……はは。この体ぁ…最高だな!天光量がそこの教皇よりも段違いにやべぇ!しかもこいつ、だいぶ力を抑えて戦ってたじゃねぇか!!!」
レオノーラは悪魔に主導権を奪われてしまった。
「はぁ…、あぁ…魂が馴染んでいく…こいつの記憶も…全部手に取るように分かる…。」
クラウディオスは想像しうる中で最悪な事態になってしまったと、
改めて、罪を重ねてしまったと後悔する。後悔した時には既に遅かった。
「これが…私の罰なのか…また間違えてしまったのか…。教え子を…娘を生き返らせたいと願ったばかりに…。」
判断を誤った。悪魔だけでも先に浄化させておけば、
白竜だけでも天龍に導くことは出来ただろう。
「はは…あぁ…オレ様が…お、オレになる…完成する!!!ははっ!」
悪魔は自身の魔力と天光を混ぜ合わせ、魔力を増幅させていく。
「光の力と…魔の力…この二つの力…全部オレのもんだ!!!!」
魔力が大噴出し、倉庫雲の天井が吹き飛ぶ。
クラウディオスはまたも教え子を失ってしまうのかと、
動けずにいた。
「これだけの力ぁ…、オレも名前欲しいなぁ…。」
こいつの名前は、レオノーラ。
なーんか、光っぽくてやだなぁ。
「そうだ!決めたぜ。オレの名は…『レオナール』!悪魔の頂点になる者だ!!!」
悪魔は自身にレオナールと名付ける。
すると、頭から二本の山羊の角が生え、
腰辺りから三本目の角が尻尾のように生える。
髪の先端が黒くなり、片目が赤く染まっていく。
「力が…溢れて来る!こいつぁすげぇ!力の使い方が分かる…!」
悪魔レオナールの誕生である。
クラウディオスは悩み、苦しんでいたようですね。
ダメだと分かっていても、止める事は出来なかった。
悲しいですね。それに、大切な教え子のレオノーラは
悪魔に体を乗っ取られてしまい、
新たな悪魔「レオナール」が誕生してしまう。
この先、どうなるのでしょう。
第273話、読んでいただきありがとうございます。




