コード10「はじめての魔列車」
第10話
前回、ケーシィ達と出会い、そして一度別れたところから。
馬車と馬をアステライト家に回収してもらうように手配し、
私とマナは一緒に宿に向かった。
街中は活気で溢れており、魔列車等も多く通っている。
「マスター、宿泊都市セントラルホテルステーションへ向かう魔列車の時間が迫っております。少し急ぎましょう。」
そうだった。私は急いでサッチェルバッグを手に持ち、走る。
「すみません~すみません~通ります~通りま~す!あぁ!ごめんなさい!ま、待って…!マナ~!」
マナがピタっ!と立ち止まり、こちらへ向かって、私の手を優しくも力強く握ってくれた。
「マナ、ありがとう~これで迷子にならずに済むよ。えへへ…」
マナはカナリーを絶対に離さない気持ちで急いで魔列車乗り場へと向かった。
小走りで列車に乗り込み、マナのおかげで間に合った。
車掌さんに切符を見せ、専用の魔道具でパチンと切ってもらう。
実は、魔列車に乗るのは初めてである。
ここまで中に入ったことはなく、街の一番外側のエリアの食料露店や雑貨屋にしか行ったことが無かったから。
「ね、ねぇ。マナ?もう手は、大丈夫だよ…?恥ずかしい…。」
周りからのにこやかな目に私は恥ずかしくなってしまった。
「マスター、私は絶対に離れません。ここは人が多いです。迷子になる確率大でございます。それは避けなくては。それにそのバッグの重量を確認。私がお持ちします。」
お母さんなのか、出来たメイドなのか分からなくなってしまった。全くもうだよ。
でも、嬉しい。ありがとね。マナ。
私たちは駅のアナウンス魔術を聞いていた。
「えぇ~次はぁ~商業都市~セントラルビジネスパーク前~セントラルビジネスパーク前~。アテンションプリーズ……。」
(なんか…近代っぽい…?え、私の元居た世界の電車とあんまり変わらないよ!すご…!撮り鉄とか…居たなぁ…この世界にも居るのかな…?)
とか、考えていたけど、そのような人たちは居るはずもなく。
現在は、商業都市エリアの駅。撮り鉄はおらず、スーツやコートを着たお客さんが多く乗り込んできた。これぞ、満員電車!って感じだった。でも少し苦しくなってきた。
「マスター、酸素濃度が低下しています。もうしばしのご辛抱です。」
マナが心配してくれた。
数駅止まった後、なんとこの世界にも存在していたのである。
そう、迷惑客…!私の真後ろに居た迷惑客のバッグが私の膝に当たり、数秒に一回、私が膝カックンを受けている…!
ひ、ひぇぇぇ~!ううっ!地味に!膝が…!こういうの私の世界にも居たよ!
これわざとなのかな?などと考えていると。
「お客様、あなた様のバッグが我がマスターに当たっております。バッグは足元に置くか、網棚へとお願い申し上げます。」
マナの殺気が漏れ出ている。目が怖い…。凄まじい圧力に、相手は委縮する。その人からは謝ってもらい、バッグは足元に置いてくれたが、あの反応は絶対わざとだった。うん。
そして、マナにもう少しやんわりとお願いしてねと伝えた。
そんなこんなしていると、目的の宿泊都市セントラルホテルステーションへと着いた。
「ふ~~到着~!空気が美味しい~!」
満員列車から解放された。
駅の名前にセントラルと着く名前の駅はかなり大きい。
さすがは都市部。駅構内で地図を確認していると、
「駅構内のマッピング完了しました。地形データを入手。さあ、マスター行きましょう。私たちの宿泊するホテルへ。」
私もなんとなくは覚えたけど、まだ全部は覚えきれてなく、さすがはマナと称賛をひそかに送った。
マナと一緒にホテルへと向かった。
と、向かう前に、駅構内のお土産コーナーで何か買っていきたいと思い寄り道をしたのだった。
カナリーが駅構内で買ったものリスト
・甘菓子と紅茶を2人分(ホテルで楽しむ用)
・何かよく分からない暗闇で光るキーホルダー(鳥型。思い出用)
第10話、読んでいただきありがとうございます。