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私とAIの異世界転生!  作者: 星廻 月華
【夏休編:真実章】
105/206

コード104「魔心知能」

第104話

前回、マナがフレーム問題に陥ってから

ミナリーはカナリーに向けて手を差し伸べ、

一緒に飛ぼうと言い、ミナリーは先に浮かびだしていたが、


「ミナリー…私、まだ飛べないんだ。」


今まで空中に居る事が多かったカナリーだが、

その実、”自分から”飛んだことは一度もない。

落ちたことや、飛ばされた事、ジャンプしたことはあっても


カナリー本人が魔術で浮遊したことは一度も無かった。


「あ、あー…えーっと、じゃあ、捕まって。」

ミナリーは強引にカナリーの手を引き、浮かび上がった。


カナリーは若干、体を震わせながらミナリーに抱きついていた。


「もしかして…空、怖い?」


カナリーはうんうんと頷いている。

「ごめん…ゆっくり飛ぶのは少し怖い…かも。」


カナリーの転生前、華那の死因は、飛行機の墜落である。

空に対する恐怖は未だあった。

飛ばされたり落ちたり、ジャンプする事に対しては

仕方ないから、何とか出来るものの、

空を飛ぶ。という行為に関してカナリーは恐怖を抱かずにはいられなかった。


「分かった。じゃあ、私の好きな場所に連れて行ってあげる。もう少し捕まっててね。」

ミナリーに連れてこられた場所は、オービット魔術学園の屋根の上だった。


「ここ、夜景が綺麗だから、私のお気に入りの場所なんだよね。」

カナリーはほっと一息入れ、腰を下ろす。

ミナリーはカナリーに対して、何があったのか直接聞かなかった。

カナリーから話してくれるのを待っているかのように。


「マナの事…避けちゃった。あ、マナって言うのは…私の従者というか、AI?というか…。」


ミナリーは夜景を見ながらカナリーの言葉に耳を傾けた。

「なるほど、じゃあ、私にとってのコルと同じだね。」


カナリーは思い出す。そういえば、コルの事はミナリーの記憶にはなかったと。

「ねえ、ミナリー。コルさん?の事、私まだ知らなくて、分からないんだ。マナと同じような…?」


「あれ?記憶の中に無かった?あ~。そういえば、全部入りきらなくて弾けてたっけ。それじゃあ、改めて。」


ミナリーは掌に光を集める。その光が動き出し、喋った。

「はじめまして。私はコル。情報体(データフレーム)のコルでございます。それから、さんは要りません。コルで大丈夫です。カナリー様。」


情報体(データフレーム)…?初めて聞くワードだ。とカナリーは思う。)


「コルは、私とレイラのピンチに駆けつけてくれたんだ。そして、私が精術、スピリチュアを手に入れるきっかけとなった事柄。」



ミナリーの話では、

魔石大洞窟(ダンジョン)内にて、ピンチだったところ、突然コルがミナリーの中に入り、

敵を一掃したとのことだった。コルは作られた存在だという事。

スキルと呼ばれる力を使う事。情報体(データフレーム)だという事。


それくらいしか分かっていなかった。

コルという名前は、ミナリーが決めたとの事。

ミナリーがコルと名付ける際に、一瞬人型になり、心魂が生まれたような気がしたらしい。


マナと酷似している。だけど、マナと違う点がある。

それは、マナにはマリナという体があって、日常生活を送っているという事。

それから、進化や、更新(アップデート)しているという事。


「あの、コル、情報体(データフレーム)って何?」


情報体(データフレーム)とは、創造sy…。〇△□×。」

いきなりバグったのかと思った。


「すみません。発言の権限が無いようです。申し訳ございません。マナ様と同じだと思って頂ければ幸いです。」


マナよりもどこか機械的に感じた。


「話が少し逸れたね。それで、そのマナを避けちゃったんだ。どうして?」


どうして避けたのか分からない。

でも、あの言い方だと、マリナは帰ってこないのだと思ったから。

全部聞くのが怖かったから。


「それは…多分、聞く事によって、確定しちゃうからだと思う。マリナがもう帰ってこないんだって。認めたくなかったんだと思う。」


「そっか。もしも、レイラが死んじゃって。それをコルが淡々と言ったなら、コルの口数日は聞かないかもね。」

コルは何も言わなかった。


「でも、きっと、私はコルと仲直りすると思う。仲直りしたいから。話し合いたいから。」


「もう、答え見つかってるんじゃない?行っておいでよ。マナと、ちゃんと話し合って。まずはそれから。だよ。」

カナリーは、相談相手がミナリーで良かったと思った。

というよりも、これ以上の適任は居ないと感じた。


「ミナリー、ありがとう。コルも。私、勇気出たかも。」

コルは一瞬光り、ミナリーの中に戻っていった。


「そうと決まれば、早く行かなくちゃ!マナと話したい!ちゃんと…向き合わないと。」



「行ってらっしゃい。カナリー。応援してるよ。」

ミナリーが立ち上がり、カナリーを元居た場所に連れて行こうとすると、


「勇気出すね…!ミナリー!私、このまま行くね…!」


ミナリーは不思議そうな顔してから、ほんの少し口元を緩ませた。

「まったく、ここ地上何十階あると思ってるのさ。空、もう怖くないじゃん。」


カナリーは、魔衣風(ヴェンストル)を纏い、飛び降りた。

「マナ…!待ってて!今すぐ謝りたいから…!」




一方その頃、マナの周りに人が集まっていた。

「ねえ、この子、大丈夫かしら…。」

「病院に連れて行った方がいいんじゃないか?」


マナの中でデータ整理が行われている。


《エラーの原因、排除、不可能。》

《バックアップからデータをロードします。》


更新(アップデート)を申請。》

《申請を受理。》

更新(アップデート)を開始します。》


マナの心魂が形を変えていく。

1つだけだった歯車が3つに増えていた。


更新(アップデート)完了。更に、進化を申請。》

《進化可能ポイントクリア。》

《進化を開始します。》


マナの歯車が3つ合わさり、一つの大きな歯車へと変化した。

その際、マナの心魂内部にて波動が広がる。


《進化完了。》

心工知能(マシーン)Ver.3.0(サード)から、魔心知能(マシン)へ進化しました。》

魔心知能(マシン)に進化したことで、◇◇がアンロックされました。》


マナの心音が大きくなっていく。

目を覚ます。マナの視界には、大量の魔素が見えていた。


「ここは…確か…マスターを追って…。えっと…メモリのスキャンをしないと。」

マナの中でのエラーが発生した部分は綺麗さっぱり消えていた。


「マスター…どこに行かれたんでしょうか。早く探さないと。」

カナリーの相談相手、誰が適任か、ミナリーしか居ませんでした。

コルの正体が一体なんなのか、いまいちピンと来ないかもしれませんが、

初期のマナのような存在だと思って頂けると幸いです。

カナリーに似た人物が複数人居るなら、マナも同じように…?

今後が楽しみですね。


マナはというと、心工知能(マシーン)Ver.3.0(サード)から進化し、魔心知能(マシン)になりましたね。

彼女の演算能力は以前よりも数千倍増えています。

◇◇がアンロックされた。さて、何がアンロックされたのでしょうか。


第104話、読んでいただきありがとうございます。

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