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予約投稿日が何故か明日になっておりましたー!
すみません!!!
私が入学して1ヶ月が経とうとしていた。
初日、ギルベルト様が牽制をしてくれた効果も、当日の実習授業で泡となって消えた。私の魔力が炎さえまともに出せないと知ったクラスメイト達はこぞって私をネタにして笑い、ギルベルト様が迷走し、使い捨てができる庶民を買ったとネタにされる始末。
私からすればこれほど勉強ができる庶民など居ないものだが、このクラスの貴族達は魔力がすべてらしい。なんなら私はクラスの中で勉強が出来る方である。
ただ、それでも前の学校より学べる内容の質が違うので、前に学年1位の学力があってもこのクラスでも20位くらいになってしまうはずだ。つまり、1クラス30人程の人数なので半分以下という事になる。
しかもこの学校で学力最下位位のクラスでだ。世知辛い。
だからこそ、魔力を多く持つ人達がどれだけ優遇されているのかを実感する。貴族の中では魔力を多く持つ人間こそより質の良い授業が受けられるなんて、より実力差が開いてしまうだけだというのに。
「私めっちゃ頑張ってると思います」
「急だね」
「ですので、一度、私の実験に付き合って頂けませんか」
「実験?」
突然だが、私は実験が好きである。
前の学校で魔法薬に手をつけたきっかけも全ては私の実験好きが高じた結果でもあった。
自らの魔力を使わなくてもその場で魔法を使った結果と同じ結果を得られる魔法薬は、自分の魔力を手っ取り早く上げる方法だと思い、調べ始めた。
少し調べただけでも、自分の魔力で作成するかパートナーが作成した物であればより効果が得られるという事が分かった為に、自ら作り始めたのだ。
結果として上級者の作り方をしていた訳だが、今では普通の作り方もできるようになった。
そして、今やっている実験は『特化型魔力向上』の薬だ。
「実験の時は呼ぶように仰ったのはギルベルト様です」
「どうせ色々な実験で結果が出た物を私に使うのだろう」
「………実際にしっかり使うのは今回が割と初めてですから」
「初めてには割とと普通は付かないものだよ」
「そうなんですか、初めて知りました」
学校の中でギルベルト様とは殆ど会わないが、休日は割と一緒にお茶などをする仲になりつつあった。そこで授業で分からない部分や、魔法についての特別授業を行なってもらう事がより成績と関係している事は間違いない。
その中で、ギルベルト様は殆ど闇系統と魔力を使わないと言っていた事をヒントに思いついた。
魔力全体を向上させるだけではなく、他の魔力を上げる部分を火の魔力だけに回す事が出来る魔法薬があればと考えた訳だ。完成すれば、これはきっと売れる!
という訳だ。
「それが、これ?」
「ええ、これは火の魔力特化です。世界にある【火、水、風、光、闇】の種類分あり、自分が上げたい種類だけ飲めばそれだけあがります」
「つまり……これにより得られる利益は?」
「同じ魔力を込めた魔法薬でも火だけを使用する人は、単純に5倍の力を得られるということ。少し魔力の込め方が特殊なので同じ金額とはいきませんが、例えば火だけを使用する人は普通よりも格段に安い値段で購入ができます」
「なるほど……それはすごいね」
「ギルベルト様が使用する事でより売れる事でしょう」
何やら呆れたような顔をしてギルベルト様はため息をついた。そして薬を手に取ると手の上で転がす。
他の薬とさほど変わらない見た目をしているので、その行動から何をつかもうとしているのだろう。
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