表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自己満足、他が為成らず。一年後…  作者: 赤茶猿マン
終焉に向かう未来編
5/29

手掛かりを求めて。

まだまだ父親に対する壁が立ちはだかる主人公の心。親子関係はそう簡単には修復出来ない様子だ。しかし今はそんな事を言っている場合ではない。各地で暴れまわっている敵の正体を掴む事が先決である。



 ボクの誕生日から数日が過ぎ、それまで忘れていた存在『喜一』がボク達の目の前に現れたが、喜一自身は父に会いに来ただけの様子だった。今は母の研究室で何やら話しているところだ。


因みにボクと洋子さんで母に会いに来ていたのだが、喜一の登場で追い出されてしまった。


 研究室には父もいた訳なのだが、息子のボクの本音でいえば、まだ父親を完全に受け入れる事が出来ていない。ただ、母が許していたから、ボクがそうしないと困らせると思った、それだけの事だ。付け加えると、洋子さんに心が広いカッコいい男だと思われたかったと言うのもある。


今来ている喜一は、間違いなく父が呼んだのだろうが、ボクを仲間外れにして内緒の話しとは…。自分でもよく分からない複雑な気分になっていた。


「稜くん、私達なりに他にも色々調べてみない?こうしてても時間が勿体ないでしょ?」


「う、うん…。確かにそうなんだけど、手当たり次第にって訳にもいかないからね…。母さんから情報もらう予定だったしね。」


そう答えたボクの話しを聞いているのかいないのか、洋子さんは口を尖らせて天井を見つめていた。何か思い当たる事がある様にも見える仕草だ。


実際、現地で情報収集していたゆうこさんが一番頼りになるのだが、寺ッチの元にすっ飛んでいったきり戻ってきていない。何だかんだ言って、相当心配していたに違いない。


「洋子さん、何か情報提供者に当てでもあるの?それとも…、何か気になる事でも?」


未だに天井を見つめる洋子さんに、そう尋ねてみたのだが、先程と変わらず聞こえていないらしい。一人ここに置いていくわけにもいかないので、研究室前の通路脇に腰を下ろして待つ事にする。勿論、洋子さんのひらめきをだ。


「あら、こんにちは伊町さん。お二人も呼ばれたんですか?」


そう語りかけられたので、声のする方を見てみると、そこには川上さんの姿があった。相変わらず紺色のスーツがテカテカしている。最近髪を短く切ったと聞いていたが、実際に見るのは今日が初めてだ。


肩にかかるくらで一直線に揃えられた髪は、川上さんの性格そのものの様に見える。勿論、ストレートの黒髪もボクがそう思ってしまう事を、後押ししている事は間違いない。


「あ、いえいえ…。その逆というか、追い出されてしまったのですよ…。」


「え、と。呼ばれて来たのですが、タイミング悪かったのでしょうかね…。」


そう言いながらも川上さんはボクと洋子さんをかわしながら進み、母の研究室のドアをノックしていた。数泊置いてドアが開かれ、母が顔を覗かせたと思ったら、川上さんを部屋の中へと引き入れた。


そのドアが閉じられる時に母がボクを見たが、声をかけるでもなくドアは閉じられてしまった。その様子を見て、ボクは更に疎外感を覚える事になった。力無くまた通路の脇に腰を下ろす。


「そうだ!稜くん、決めたよ!」


「え…、洋子さん誰か情報持ってる人知ってるの!?」


落胆していたところに、洋子さんの弾ける様な声で、ボクのテンションは少し上がっていた。じっとしているのはどうも性に合わないのだ。ジッとボクを見つめる洋子さんに集中する。


「んとね…、今日の夜ご飯は伊勢海老にするよ…、って話しなんだけど…。」


 晩飯の話かい!!!!! まったく、真剣に聞いて損した…。


ボクは洋子さんの手を引いて、その場から強引に外へと連れ出した。時間がもったいない。



 帰り道すがら色々と考えていたが、藤永が絡んでいるとしたら、どうしてもあのすり鉢谷の事しか思い浮かばない。変わり果てた姿の青木もあそこにいた事だし、まだボク達が知らない隠された部屋とかあるのかも知れない。洋子さんにその考えを話し、二人ですり鉢谷へと向かう事にした。



 〜 すり鉢谷 〜


 あの戦いからかなり経つというのに、この場所はほとんど変わっていなかった。こんな山奥に誰か来る事自体無い事は分かっていた。そうでなければ組織もここに研究施設など構えなかっただろうから。


 最新の注意を払うのは勿論の事なのだが、洋子さんの意見で手分けして手掛かりを探す事にする。心配性、過保護と言われるかもしれないが、あまり洋子さんと離れて危険な状態を作りたくないのが本音だ。


 しかし、今はボクと変わらない程にチカラをつけているのも事実。心配し過ぎても洋子さんに不安を抱かせるだけなので、最近は特に意識して意見を聞き入れる事にしている。


過去に『最善、最悪』と戦った後が未だにアチコチに残されている。向かって正面から左側をボク。右回りに洋子さんが探索を進める事になった。その後、建物の真後ろで合流して中を二人で調べる予定だ。


 慎重に物音を立てない様に建物の周りを進む。規則正しく並ぶ窓の開口部は勿論の事、建物の周囲に広がる林にも気を配る。開口部の高さはボクの胸元あたりで、役一メートル程の高さに位置していた。通り過ぎる時は少し屈みながら中の様子を伺う。


 《おや…、今中の方で何かが動いた気がしたけど…、中に入り調べるか?》


 本来なら洋子さんと合流してから中を探索する予定なのだが、もし敵か、何らかの情報を持っている誰かだとして、気付かれて逃げられたりしても困る。実際、今の世の中に、ボクと洋子さんを倒せる敵などいるわけがないと思うのだが、一応注意して油断無きようにしないと。


 中の様子を慎重に伺い、何も動く気配が無い事を確認して、静かに中に飛び込む。念のためそのままの姿勢で辺りを見回し、物音にも注意を払うが何も変化は無い。勘違いであっても確認するまでは安心出来ない為、静かに移動を開始。何かを見た気がした物陰を目指して進む。


 中は広い通路になっていて、幅はおよそ五メートル程で、通路の中央部には規則正しく四角い柱が天井を支えていた。その内の一本の柱の陰に何かを見た気がしたのだ。手前の柱に身を隠しながら、目的の柱まで慎重に近付いていく。


 次が目的の柱だというところで、足元にキラキラと光る物を見つけた。どうやら天井に備え付けてあった蛍光灯が割れて、廊下一面に散らばっている様だ。歩けそうなところが無いか辺りを見回してみたが、通路のどこもガラス辺が散らばっており、迂闊に進むとバリバリと音を出しかねない。


 しばらく良い方法が無いか考えていたが、そろそろ洋子さんが合流地点に着く頃合いだ。異変に気付いて洋子さんがここに来たら、物陰に何かいた場合は逃げられるか、最悪戦闘になるだろう。


かと言って正体が掴めないままというのもなんだか口惜しい気がする。思い切って行動を起こす以外に手は無いと判断して、柱に向かってアクションを起こしてみた。


「そこに誰かいるのか?話しが出来るのであれば話しをしたいと思っている。出来れば戦いは避けたいから、大人しく姿を見せてくれないかな。」


 ストレート過ぎる何ともマヌケな行動だという事は百も承知だ。これで素直に出て来るなら、世の中の正義の味方は誰も苦労しない。しばらく待ってみるが反応は無い。思い過ごしだったのか?と、残念な気持ち半分、安堵感半分といったところだ。


 そう考え、合流地点に向かおうと思っているところに、窓の外に洋子さんの姿を見つけた。洋子さんもこちらに気付いた様子だが、直ぐにボクから視線を外すと、開口部を飛び越えて中に踊り入って来た。


「稜くん、女の子がいるよ。…、ね、お名前は何て言うの?私は洋子お姉さんだよ。大丈夫?」


洋子さんはボクにそう告げて、ボクの位置からは見えない、柱の陰にいる誰かに話しかけている様子だ。ボクも慌ててその柱に駆け寄ってみる。


 そこには小さな女の子の姿があった。どうやってこんな山奥の施設に来たのかは謎だが、僕たちに怯えている様子の女の子には、まず安心してもらう他ないだろう。ここは優しい元看護師さんの洋子さんにお任せする事にする。


「一人で怖かったよね、でもお姉さん達があなたを守ってあげるから、もう大丈夫だからね。」


 その洋子さんの言葉に少し安心したのか、女の子はモジモジしながら小さな声で話しだす。


「んとね、お母さんと来たけど…、お母さんがここで待ってなさいって…。そしたら誰かが来たから、怖くて隠れてたの…。」


「そうなんだ。お母さんと二人で来たんだね。ここは暗いから、一度外に出ようか。」


 女の子の話にそう答え、洋子さんが優しく抱き上げ外へと連れ出す。洋子さんには気を許したのか、女の子は洋子さんにしっかりしがみついて安心した顔を見せていた。


 外に出てからは、女の子もすっかり洋子さんに慣れた様子で、二人で色々話しをしていた。ボクはまだ怖がられている様なので、なるべく側に行かないように距離を取って二人の様子を見守っていた。


 しばらくそうやって様子を見ていると、何やら周囲の空気が渦を巻く様な、そんな変化を感じ、すぐさま洋子さん達の元に『瞬足』で移動。そしてその異変の空間に向かい、戦闘の構えを取る。やがて目の前の空間がユラユラと揺れ、一瞬眩い光を放ち、そこに一人の女性が現れた。


「あらあら、こんなところに人がいるなんて…。おや、シャクシ、こちらに戻ってきなさい。」


 その女性の言葉に思わず洋子さんと顔を見合わせる。


《確かに『シャクシ』と呼んでいた。という事は、この女の子はシャクシさんなのか?そして、そう呼んだこの女性は…。》


「も、もしかして…、善さん!?」(洋子さんと二人)


「…、あ…、はい。いかにもアタシは善と呼ばれる者ですが…、どこかでお会いしましたか?」


 これは一体どういう事なのだろうか、死んだ筈の善さんが目の前に。というか、かなり若い善さんなのだが、シャクシさんと本当に良く似ているが、見間違える訳がない。この人は善さんだ。

藤永が関与していると考えた主人公は、かつて強大な敵との決戦の場になったすり鉢谷へと足を運んだが、そこで思わぬ人物と再会?してしまう。果たして主人公達が調べている件に、この人物が関わっているのだろうか!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ