悪魔召喚プログラム その2
俺は周りを取り囲んでいる傭兵たちを見渡してゴブリンナイトに命令した。
「俺を取り囲んでいる奴らを全員殺せ。」
そう言うとゴブリンナイトは一番近くにいたメイス持ちの男の脇腹を剣で切り裂いた。
傷口から腹わたが流れ出てくる。これは致命傷だろう。
その調子でゴブリンナイトは肉や骨を豆腐でも切っているかのように傭兵たちを一刀両断し肉の塊に変えていく。
ゴブリンナイトが殺した傭兵の死体は腕輪に取り込ませて、ゲートから新たなゴブリンナイトを召喚する。
俺はゴブリンナイトが傭兵を処理している光景を見て罪悪感をまるで感じなかった。逆に楽しくなってきたくらいだ。
あいつらは俺のことを悪魔と呼んでいたし、もうニンゲンではないのかもしれない。
ニンゲンという下等生物から上位種に生まれ変われたのなら、それも悪くないがな。
クックック……
数分程で大部分の傭兵どもをゴブリンナイトという形で生まれ変わらせた。
何人かは逃げたようだが、気にする程でもない。
傭兵どもが出てきた建物の奥にはより大きなみすぼらしい一階建ての建物が一つと、この辺りで最も大きく高級そうな屋敷が一つあった。
みすぼらしい建物のほうに入ると、端から端まで刑務所のような部屋が並んでおり、
それぞれの刑務所部屋の中には汚い服を着て痩せこけた男たちがギュウギュウに押し込められていた。
部屋の中にトイレはなく、そのためか辺りは糞尿の悪臭が漂っていた。
あまりの臭さに鼻が曲がりそうになり、すぐにその建物を脱出した。
「ゴホッ、ゴホッ。なんだったんだあの部屋は。臭すぎて寿命が縮まるかと思ったわ!
見たのは初めてだがあれが奴隷というやつか…
見渡す限りの広大な畑があったが、奴隷を使っていたのかもしれんな。」
(せっかくだ、あの屋敷にも挨拶しておくか…でもこのゴブリンナイトたち、どうしようか?)
『ゲート二戻シ 再ビ使用スル際ニハゲートヲ開ケ 外二出スコトガデキマス』
『新シク召喚スル訳デハナイノデ 経済的デス』
(…なるほど。あと声に出さなくてもいいんだな。)
「ゲートオープン!ゴブリンナイトたちよゲートに戻るがよい。」
そう言うと、地面から先ほどのゲートが出現し扉が開かれる。そこへゴブリンナイトたちはぞろぞろと入っていく。
(これ程までに大量のゴブリンナイトを召喚していたとは…この軍勢でこいつらが反旗を翻してきたら俺は死ぬしかないな。)
ゴブリンナイトをゲートに収容したのを確認し、俺は馬鹿でかい屋敷を目指した。
屋敷の入り口には二人の門番が立っていた。
門番は傭兵よりはマシな装備をしており、兜から靴に至るまで重厚な金属の鎧を纏い
ロングソードと盾を持っていた。
「屋敷に何の用だ? 悪魔め、斬られたくなかったら今すぐ立ち去れ。」
「悪魔とは酷いですね。先ほど傭兵らしい集団に襲われ、その雇い主に一言申したいのだが…心当たりがあるなら教えて欲しい。」
「タレンティウス伯爵が雇っている傭兵たちのことか?
タレンティウス伯爵はこの屋敷の主だ。だがお前みたいなやつを通すことはできない。」
(なら無理矢理通してもうぞ。)
俺は門番の一人に素早く近寄り腹にグーパンを食らわせた。
右手が鎧を貫通し腹から背中まで突き刺さる。
もう一人の門番へ向けて右手に突き刺さった肉の塊を投げ、門番はこれをまともにくらい仰向けに倒れた。
総重量何十キロの鎧の下敷きになって動けない門番に近づき、サッカーボールを蹴るように頭を蹴り飛ばした。
血まみれの服で屋敷に入ると数名のメイドが目に涙を浮かべながら出迎えてくれた。
「ひぃ!どっ、どのような要件ですかっ?」
「ここの主人、タレンティウス伯爵だっけ?会いたいんだが。」
「タレンティウス様は今取り込み中でっ、部屋の中には誰も入らないようにと…」
「部屋まで案内してもらいたい。 ちなみに門番の二人は処理させてもらったがな。」
「っ! …案内致しますのでっ! 私は殺さないでください!」
「何を言う?俺は無闇に殺したりはせんぞ? ただあいつらが聞き分けがなかったからな…」
最上階の一際大きな扉の前でメイドは立ち止まった。
「ここがタレンティウス様のお部屋ですっ!」
「ありがとう。もう帰っていいぞ。」
「はいっ! 失礼します!」
(最後まで泣きそうな顔をしていたな、あのメイド…)
タレンティウス伯爵の部屋の扉を開けると、廊下側はランプ等で明るいのに対して部屋の中は薄暗かった。
部屋の中はランプを消しているようだ。
「痛いっ。やめろですぅ。あっんっ。
ニンゲンなんかにっ、んっ。絶対っ、んっ、従わないっですぅ、あっ。」
部屋のなかではタレンティウス伯爵とみららる腹に贅肉を蓄えたブタが腰を振っていた。
「おい!貴様!誰が入っていいといった?
今すぐ出て行け!」
タレンティウス伯爵はこちらに気がついたようで何か喚きながらこっちに歩いてくる。
手にもったナイフをこちらに向けて徐々に近づいてくるので、ギリギリまで近寄らせた後ナイフを奪い取り先程までビンビンだったであろうモノを切り落とした。
痛みを感じてないのか、自分の状況が理解できないのか、ブタは唖然として突っ立っていた。
「貴様っよくもっ! ヴぁっ」
何か喚きそうだったので喉元にナイフをプレゼントしておいた。
「うっ、うっ、」
さっきまでブタが楽しんでいた女がベットのシーツに包まってこっちを見てくる。
「なんだ。お前を殺すつもりはないぞ。
好きなところへ逃げるがいい。」
「うっ、ここから出ても他に行くあてがないですぅ。
ソフィーも一緒に連れて行けですぅ。」
艶のある茶色のロングヘアー、整った目鼻立ち、左右で色の違う大きな瞳、白く透き通るような肌、細く華奢な体つき…
全体的には幼い感じで年齢は16才くらいだろうか。もっと若いかもしれない。
「お前を連れて行くメリットはあるのか?
荷物持ちすらもできまい?」
「ソフィーを侮るなです!
目をしっかり開けて見てやがれですぅ。」
ソフィーが手を空中に伸すと空間に歪みが生じ、歪みから女物の洋服が出できた。
「これがボックスっていう魔法ですぅ。
驚きのあまり言葉も出ないですか?」
(この世界には魔法があるのか…わくわくしてきたぞ)
「なるほど…荷物持ち程度はできそうだな。
わかった。連れて行こう。」
「よかったですぅ。
それじゃあソフィーがいいと言うまで後ろを向いとけですぅ!
ソフィーの着替えが見たいというなら別ですけどぉ。」
「わかった。このまま目に焼き付けるとしよう。」
「変態ですぅ…」




