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悪魔召喚プログラム

第1章 悪魔召喚プログラム


カーテンを閉め切った薄暗い部屋のなかで唯一光っている画面の近くでキーボードを叩く音が聞こえる。キーボードを叩く音が消え数秒後…その静寂を破ったのは一人の成人男性の声だった。


「フゥァーハッハァー!貴様のパスワード確かに頂いたぞぉぉーー!」


この変人、平日は会社勤めのサラリーマンでセキュリティソフトを開発しているプログラマーであるが、趣味はハッキングという仕事と正反対のことをして楽しんでいる。


「貴様の隠し事をすべて晒すがいい。クックック…ん?なんだこれは。かなり頑丈にプロテクトが掛けてあるな。だがこのウィザード級のハッカーにかかればちょろいもんよ…フゥァーハッハァー!」


ちょろいもんだと言った割には結構な時間を費やし、やっとプロテクトを解除するとそこには見たことのないプログラムが現れた。


「こんなプログラムは初めて見るぞ。どうやって使うんだ?さっぱりわからん。」


………『悪魔召喚プログラムヲインストールシマス』


スピーカーからではない、脳内で直接音声が流れているような感覚。

そして画面上にあったはずの文字配列が部屋の中に飛び出したと思うと、全身の皮膚に焼けるような痛みが襲う。


空中に漂っていた文字配列が皮膚に付着してくる。手の甲を見るとタトゥーのように文字配列がしっかり刻まれている。服の下からも強烈な痛みを感じるので、服を貫通しているのだろう。


「ヴぁアァアァーーー!痛い痛い痛い痛いっ!」


空中に浮かんだ文字配列が全て体に刻み込められてもなお痛みは治らない。


『生存ヲカクニン インストールセイコウ』


激しい痛みのなか体が一部変化していくのがわかる。それと同時に体に力がみなぎってくる。今握力を計れば測定器を壊せそうなほどだ。

突然、画面が閃光弾のごとくフラッシュし、部屋にいたはずの人物は消えてしまった。そして、薄暗い部屋には光る画面だけが存在感を放ち、画面に表示されていた謎のプログラムは消えていた。


焼け付くような痛みを乗り越えた生存者は眩い光に包まれた後、土の地面の上にうつ伏せに倒れていた。胸のや腹の辺りの服には赤い液体がべっとりと付着している。

どうやって取り付けられたかはわからないが、冷たく硬い銀色の金属が左手首を一周しっかりと覆っている。リストバンドなら外すことができるが、これは外せそうにない。


辺りは暗くどうやら夜中のようだ。服に赤い液体がこびりついているが、これは血ではない。この辺りにはトマトが大量に実っており、うつ伏せに倒れたとき潰してしまったのだろう。


「悪魔が出たぞーー!」


畑を巡回していた二人組が俺を見るなりそう叫んだ。

(クックック、俺が悪魔だと?トマトが着いてるからって、どこからみても貴様らと同じニンゲンだろ。)


叫び声を聞いて剣や斧、盾を持った傭兵らしき人物たちが蜂の巣をつついたように正面にある建物から出てくる。


「なんだ一匹か。さっさと殺すぞ。」


そう言って斧を持ったムキムキのマッチョマンが近づき、斧を振り上げる。

斧が振り下ろされた瞬間が俺にはスローに見えた。これを避けることはせず、あえて左手で受け止めた。なんとなくできそうな気がしたのだ。


左手で斧の刃先を受け止めたまま握る力を強める。

マッチョマンは斧を引こうとするが俺に握られているのでピクリとも動かない。


「ファーハッハァー! さっきの威勢はどこへいったんだぁ? 俺を殺そうとしたんだから自分がやられても文句は言うなよ。死んだら喋れないけどな、クックック。」


俺は斧を振り回してマッチョマンをぶっ飛ばし、マッチョマンの手から離れた斧を右手に持つ。俺はぶっ飛ばされ地面に倒れているマッチョマンに近づき、マッチョマンの首をはねる。

そのとき力を入れすぎたようで、マッチョマンの首が飛びその下の地面にクレーターができる。斧は刃先の根元から折れ、刃先は明後日の方向に飛んで行ってしまった。

文字が俺の体に刻まれたときの影響だろうか。人を殺したのになんとも思わない。


『付近二死体ヲ確認 取リ込ミマスカ?』


奇妙なプログラムを見つけたときと同じように頭の中に音声が流れてくる。


『死体ヲ取リ込ムコトデ悪魔召喚ガデキマス』


周りの傭兵たちは口をつぐんでおり、この声も聞こえていないようだ。いったい誰が喋っているのか警戒する。


『何ヲキョロキョロシテイル 私ナラアナタノ腕ダ』


左腕を見ると銀色の金属でできた腕輪がいつの間にか装備されていた。


「クックック、こいつが喋りかけてきているのか? この状況についていけないが、まあ指示に従ってやろう。死体を取り込み、悪魔を召喚しろ。」


『了解シマシタ』


先程首をはねたマッチョマンの首と体が小さな三角形や四角形のポリゴンに分解され、銀色の腕輪に吸い込まれていく。


『第一ゲート開キマス コノ程度ノ死体ダトゴブリン程度デスガ宜シイデスカ?』

「ああ、なんでもいいから召喚してくれ。」


目の前の地面から神殿の扉のようなものが姿を現し、扉が中央から開かれた。

そしてボディービルダーを超える筋肉を身に纏い、幾度の死線を乗り越えたかのような顔つきをし、肌は深い緑色、耳はとんがっていて醜い顔をしたゴブリンが扉から出てきた。手には大剣と大盾を軽々と持っている。今の俺でも苦戦しそうな相手だと感じる。


『ゴブリンナイト Level200 召喚シマシタ 命令ヲ与エテクダサイ』





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