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5 - 5

「これは・・・!」

強く、たちこめる瘴気(しょうき)の向こうに、

巨大な動物らしき影が見えている。


「えっ?えっ?」

社長には見えていないようなので、白魔法をかけてあげた。


「何あれ!

あんなのと戦うの!?」

どうやら、ちゃんと見えたようだ。


「いや、戦うというよりは、封じ込めるといったとこかな。」

俺が、風魔法で瘴気を吹き飛ばすと、

巨大な狼が、その姿を現した。


「御門(みかど)くん、そろそろ始めてもらえるかな。

社長は、御門くんが作業(さぎょう)に集中できるように補佐(ほさ)してくれ、

シールドを張(は)ったから、相手の攻撃は届かないから、

何かしてきたら、神槍(しんそう)で対応してくれ。」


「分かりました。」

「分かったわ。」


「縛(ばく)!!」

御門くんが、祟(たた)り神(がみ)に向かって、符(ふ)を飛ばすと、

光る網(あみ)のように広がって、覆(おお)いかぶさった。


『グガアアアアッ!!』

祟り神は、網から逃(のが)れようともがいている。


「くっ!やはり、長くは持ちそうにありませんから、

急(いそ)いでお願いします。」


「了解(りょうかい)。」

どうやら、なんとか抑(おさ)えておけるようなので、

俺も自分の作業を開始した。


(え~と、材料は、近場(ちかば)に転がっている、大きな落石(らくせき)で良いか・・・)

一郎は落石を錬成(れんせい)して、強度(きょうど)を上げると、

形を変形させていく。


「きゃっ!」

姫花(ひめか)の悲鳴に振り返ると、

身動(みうご)きが出来ない、祟り神の体から、

何かが分離(ぶんり)して、姫花たちの方に向かっている、

胴体(どうたい)が長く、一見イタチのようだが、

顔はキツネに見える、それが数十匹ほど襲ってきていたが、

シールドに当たって、一定の距離からは近づけないようだ、

危険がないのを確認した姫花は、神槍で迎撃(げいげき)し始めた。


「へ~っ。」

神槍を構(かま)えた姫花は、素早く動いているキツネを、

的確に捉(とら)えている。

(社長は、動いている物を見る、動体視力(どうたいしりょく)ってやつが優(すぐ)れているんだな、シューティング・ゲームとかさせたら、ハイスコアを叩(たた)き出しそうだ。)


どうやら、あちらは大丈夫(だいじょうぶ)そうなので、一郎は作業へと戻った。


「くっ!」

暫(しばら)くの間、祟り神を抑えていた響矢(きょうや)だったが、

光の網が、所々(ところどころ)綻(ほころ)び始めてきた。


「田中さん!もう持ちそうにありません!

そちらは、どうですか!?」


バシィッッッ!!

響矢の言葉(ことば)直後(ちょくご)に、光の網は弾(はじ)け飛んだ。


『グルゥァァァァ!!』

体が自由になった、祟り神は、

すかさず、姫花たちへと襲いかかった。


「ああ~っ!」

「きゃ~っ!」

姫花は、シールドを破(やぶ)って向かってくる、

祟り神を見て、最早(もはや)これまでかと覚悟(かくご)した。


姫花たちが、襲い掛(か)かられると見えた瞬間(しゅんかん)、

突然(とつぜん)、祟り神が、白く輝く珠に覆われた。


「何とか、間に合ったようだな。」


「田中さん!」

「田中くん!」


一郎が、珠に手を翳(かざ)すと、

一郎の、手の動きに合わせて移動してゆき、

ソレの中へと、吸い込まれていった。


「コレはっ!!」

響矢の視線(しせん)の先には、

縦(たて)、横(よこ)、奥行(おくゆき)が3メートルほどもある、

石造(いしづく)りの社(やしろ)が建(た)っていた。


「建物(たてもの)に、封印(ふういん)と浄化(じょうか)を付与(ふよ)しといたから、

時機(じき)を見て、元の犬神(いぬがみ)に戻ったら、

封印だけ解除(かいじょ)しれば良いだろ。」


「田中さん、あなたは、いったい・・・」


「何でもできる、万能探偵(ばんのうたんてい)ってことで良いだろ。」


「はあ・・・」


「田中くん、犬神が元に戻っても、

信仰(しんこう)され無(な)いと、また狂っちゃうんじゃないの?」


「その辺は、俺に考えがあるんだ。」

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