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インド洋波高し!! 後編


「敵機ぃッ!!直上!!急降下ぁッ!!」

嫌な風きり音と共に上空を覆っている雲を切り裂き、

蒼い星が描かれた機体が突っ込んできた


「イカン!!取り舵ぃッ!!!急げぇ!!!」

ゆっくりと船体が傾きだし、

弧を描き出す、


護衛艦から対空砲火が送り出される、

しかし、敵機の翼の下にぶら下がる六十㎏爆弾が切り離される


丸でスローモーションの世界に迷い込んだかのように、

爆弾はゆっくりと、此方に迫ってきた、


大きな水柱が横で成形された、


回避にギリギリ間に合ったのだ、


「小型護衛艦の二式水上戦闘機は未だか!!」

ちなみに、

大型護衛艦と小型護衛艦の搭載機種は違う、

大型の場合、瑞雲が割り当てられる、

小型の場合、二式水上戦闘機が割り当てられるのだ、

上空の防空を担当するのがこの小型護衛艦の二式水上戦闘機である

瑞雲は索敵、もしくは攻撃隊としての任務がある、


「二五〇㎏爆装の瑞雲隊が第一波攻撃隊と合流します」

上空で待機していた五十六機の攻撃隊と十四機の瑞雲が合流する、

BTは既に暗号文を打電し、海の藻屑となっている


「俺たちは、ここで彼らを待つことしか出来ないのか」

独りでに呟いた木村の顔を溝畠は覗き込む、

その顔は不安であふれていたのだ、




チャージャー艦橋、


「畜生、こんなことなら対空火器を積み込むべきだった!!」

チャージャーの火器は5インチ砲1基のみ、


元々、対ドイツのUボート潜水艦の為に造られたので、

対空火器はそれほど積んでは居なかったのだ、


「攻撃隊準備完了しました!!」

「今すぐに発艦しろ!!先手を取られてたまるか!!例え相手がコーンフレークほど小さい護衛空母でも!!」

苛立ちが隠せなかった、


間もなくして、

甲板に埋め込まれた油圧カタパルトで打ち出していく



双方が攻撃隊を出したタイミングはほぼ同じ、

ここから先は神のみぞ知る世界である、








知床指揮所、


「て、敵の新型雷撃機!!左舷後方!!」

この新型雷撃機の名前は、『TBU シーウルフ』


「爆撃機は旧式でも雷撃機は最新鋭か」

上空の爆撃機はあらかた片付いたが、

水上機が為にバッファロー戦闘機に苦戦していた、

旋回能力や運動性能では此方が上だが、

相手は自慢の速度で引き剥がそうとする


空の戦いは一進一退である


雷撃機も苦戦を強いられている


「早く『強風』が配備されないかね?」

その光景を見ていた木村が呟く


「強風は未だ最終調節中だそうですよ、なんせ可変ピッチ二重反転プロペラという訳の分からない代物を開発したそうですから」

実際、

試験飛行の際に五〇〇kmを軽く越えていたこともあった、


「さて、この艦もここまで曲がれば命中しまい」

白い航跡を残して接近する魚雷を細目に、

艦はどんどん曲がっていく


そして、艦尾を魚雷がギリギリむなしく通り過ぎた


「ほらね?」

指を指して溝端の顔を見る、


「さすが水雷屋ですね」

溝畠が唾を飲み込む

体中から冷や汗が噴出す


「さて、もう一波乗り切れば終わりですよ」

そう言うと、

木村は伝声管の前に身構えた




チャージャー艦橋、


やはり、

対空火器が不足していた、

不完全な弾幕を潜り抜け攻撃隊が迫り来ていた


「戦闘隊は何をしている!!相手は固定脚だぞ!!」

九六式艦上戦闘機の予想外の運動性能に、

流石の引き込み脚の艦上戦闘機バッファローが苦戦を強いられていた


まるでワイン樽に定規をそのまま差したかのような機体は右へ左へと逃げ回っていた


その間に、

瑞雲が急降下爆撃を仕掛け、

更に同時に雷撃も仕掛けられた


チャージャーは完全に挟み込まれたのだ


「面舵一杯!!急げ!!」


急激な軌道とは行かないが、

少なくとも知床よりも俊敏な回避運動を始める


それでもなお果敢に攻撃隊は挑む


そしてついに甲板に1発が命中、

それを目印に雷撃隊が左右を挟み込む


「何て技量だ」

海面すれすれを飛行する雷撃機の技量に感心する

中には固定脚が波を被っている機体もあるのだ


一斉に投下された魚雷は、

まるで魚を捕らえるために投げ込まれる網みたいにチャージャーを追い詰める


「敵機直上!!」

魚雷に気を引かれていたためか、

上空の瑞雲が急降下を敢行した


飛行甲板に向かって次々と急降下する瑞雲は、

まるで今の日本の技量を示すかのような角度で突入してきた


「舵戻せぇ!!」


しかし、

この号令は遅かった、

飛行甲板に吸い込まれるかのように着弾する爆弾は艦体を激しく揺さぶった

更にそこに魚雷が突入、

チャージャーあっと言う間にそのバランスを崩した、


「艦長!!脱出しましょう」

部下が一生懸命に説得する、


「............分かった、総員退艦、」

艦橋の窓を開け脱出を試みようとする、

海面は直ぐ目の前まで迫ってきている、


「無念だ」

そう言い残すと、

トーマス艦長は海に飛び込んだ



暑きインド洋の海戦はここで幕を下ろしたのである、








作者:一括まとめて投稿したぞ


遠龍:むしろそれが普通だろ


作者:酷いな~、


遠龍:いや、そうだろ?


作者:なんで?


遠龍:最近全くお便りが来ないのがその証拠、


作者:...(ドキューンッ!!)


遠龍:そうだろ?


作者:はい、正論です...(血液ダラダラ)


遠龍:では、


作者:また今度...


遠龍:Have a nice day!

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