ニューカレドニア 中篇
「上陸用意!!」
掛け声と共に、
陸戦隊歩兵員全員が九mmを構える
するとどうだろう、
浜とジャングルの境界線に幾つもの閃光が生まれる
そして、落下音と共に、その閃光を放つ機銃座は倍近く質量がある
砲弾によって潰された
艦砲射撃の嵐が始まった
「これで暫くはアメ公は黙り込むな」
確信を持てたかのように西住が呟く
「航空団が到着です!!」
爆装した基地航空隊、派遣航空隊がジャングルの砲台や指令所に向かって急降下を敢行する
「島の形が変わってしまうぞ...」
あまりの迫力に西住が本音を漏らす
「衝撃備え」
大間がメガホンで伝える
もう慣れた砂地と艇底が擦れる際に発生する一寸した衝撃、
その衝撃を合図に艇の扉は下ろされた
「突撃ぃぃ!!!!!」
シキツウに乗りながらも、そして、発射管にロケット弾をねじ込み
号令ともなる合図をこれでもかという位に叫ぶ
オーパーツの飛行甲板から武装された『RAH-66 コマンチ』が妨害電波を逆探知しながら、
目標が居る海域に向かう
「この先南西を400行った所が一番濃いわね…。対艦ミサイル積んで置いてよかったわ、」
画面の光る点を見つめながら機長が言う
「この時代に、こんな精密なジャミング技術があるなんて…」
副機長が驚きながら言う
「見つけたら発信機を投下、いいわね?」
今、オーパーツでは、既に再びミサイルの信管の書き換えが始まって居た
通信もままならない状況で、ヘリは、
南太平洋の蒼海を南西に針路をとった
暫くすると、
海面に巨大な建造物が浮かんでいる事に気付く、
はじめは、マストの先端、艦橋、そして全体、
その平べったい艦影は明らかに"空母"と言っている様なものである、
「あれね、あのイージス艦ね」
そこには、既に対空砲火が始まって居る"こんごう"の姿があった、
「発信機投下用意して、クッ‼、対空砲火が濃過ぎる‼」
近接信管の弾幕が機体を不規則に大きく揺らす、
「投下ッ‼」
ヘリがこんごうの真上を通った瞬間、
小さな小包の様な箱がLEDを光らせながら落下する、
その小包は信号を放って居た、
小包が発する信号は多少の雑音を交えながらも、オーパーツによって受信された、
「これで仕事は終わりね、景気よく対艦ミサイルを撃って帰りましょう」
そう言い終わった途端、
彼女は空母の甲板に"ニンジャ"を見た、
「馬鹿なッ‼この時代に、ニンジャがッ‼」
そう、そのニンジャの正体は、
『川崎 OH-1』
「う、撃ってきますッ‼」
副機長が急いで知らせる
「クッ‼」
急いで、機体を傾け、火線を避ける
「ヘリにM134を積んで居るだとッ‼」
今の火線はどう見たってM134と言いたげな感情に、
驚きの目をヘリに向ける、
すると、無線と画面が雑音と砂嵐を立てて何かに繋がる
『御二方さんよぅ、俺たちをナメるなッ‼』
その画面にはぼやけながらも、
矢川が映って居た、
『行くぜッ‼』
プツリと通信が切れ、
元の画面に戻る、
「対艦ミサイルさえ撃てばこっちの勝ちよッ‼」
再びこんごうに機首を向けるが、
その機首を火線がかすめる、
「駄目ですッ‼機長ッ‼帰りの燃料が」
「ええい‼うるさいッ‼今の私に話しかけるなッ‼奴を処分するッ‼」
既に怒りが脳天を通り越し、
火山噴火が始まる勢いだった
「機長ッ‼冷静になって下さいッ‼キャァッ‼」
衝撃が機体を襲った、
「あぁ、燃料が…」
見る見る内にメーターが下がり始める、
「対艦ミサイルだッ‼食らえぇッ‼」
最後の力を振り絞り、
ウェポンベイから8発の対艦ミサイルが放たれた、
こんごうの対空火器が全てミサイルに集中する、
1発1発が撃ち落とされる、
最後の1発は、こんごう着弾ギリギリで、撃ち落とされた、
つまり、何一つ攻撃出来なかったのだ、
「このまま、着水するのね、」
そんな気分では無いのに、
燃料のメーターは下がり続ける
『御二方さん、諦めて捕虜にならんか』
またもや画面に矢川が映る
「……。副機長、どう思うかしら?」
「どうもこうも、今は海水浴したく有りません、」
その副機長の答えに機長は微笑む、
「捕虜になりましょ、」
ニンジャにエスコートされたコマンチは、
遠龍の飛行甲板の待機スペースに着艦した、
オーパーツCIC、
「ヘリとの通信が切れました…」
燃料タンクを損傷した衝撃で通信機能に影響が出たコマンチとの通信が、
今、切れた、
「先ずは、目の前の事よ、此方には未だジェット機が有るんだから、」
レーダーが未だジャミングを受けて居るオーパーツは目視での目標確認が始まって居た、
「ミサイルの信管は!?、」
隣の部下に聞く、
「89%です、」
焦りを隠せず、
額から汗が滝の様に流れる
「SB2Uは未だなの!」
寮監マナの甲板に並べられて居るが、
正直、あの大編隊を食い止める事は出来ないだろう、
既に、レンジャーは突然の機関故障でレンネル島に引き返して居た、
「マナはただでは済まないかもしれないわ」
キャプテンの頬を一筋の汗が流れる
戦爆連合は、確実に目標を捉えて居た
「今のうちに叩き落すのよ!!全ミサイルセル用意!!」
画面のLEDランプがともり、
発射準備完了の合図を出す
二つものミサイルセルの合計数は122、
これは、現在この艦隊に襲い掛かる航空機を第3掃射で全て仕留められる数である、
「今よ!!ファイヤーッ!!!」
ミサイルセルが次々と火を吹き、
熱誘導のミサイルが航空隊のエンジン熱を求め、
一直線に襲い掛かる、
瞬く間に、空中に多くの火花が咲き乱れる
パラシュートの姿も確認できた、
今回の航空隊には矢川は徹底的にパラシュートの着用義務を無理矢理ねじ込んでいる
その為、今回の掃射での負傷者は多からず少なからず減らせたものの、
少なくとも15~16人は負傷、もしくは殉職した
「第2掃射!!精製急いで!!」
ミサイルセルが閉じられ、
その表面を、スクリーンに数式を映すかのように数字が埋め尽くす、
「あとどれ位!!」
流石に、
艦より航空機が早いには承知済み
マナでは甲板にせっかく並べたSB2Uの格納が始まっていた
「進行率67%です!あと5分で完了します!!」
忙しく数字がミサイルセルを動き回る
「レーダーが利かないこの状況で航空機の襲撃を受けるなんて...」
未だにレーダーの画面は砂嵐が吹き荒れていた
「天気が崩れてきたわね」
カメラの映像から、
上空はかなりの量の雲が張っている事が分かる
『て、敵機直上!!急降下!!』
レーダーが使えない為、
雲の中から襲い掛かって来たのは黄金トリオの『九九艦爆』
「取り舵!!早く!!」
カメラを上空に向けると、
そこには一寸の狂いも無く此方に突っ込んでくる九九艦爆の姿が窺えた
「間に合いません!!」
恐らく艦橋ではリーダーが必死の操艦をやっているのであろう、
しかし、現実は甘くなかった
『敵機投弾!!』
アームを伸ばし、
250㎏もある爆弾が、
オーパーツに叩き込まれる
「展開!!」
この掛け声で、
全員やっと気付いたのか、
隣の部下が非常時のボタンのガラスを手で叩き割り、
押し込んだ
一瞬、
艦全体を淡い閃光が走り、
外壁という外壁を数字が縦横無尽に駆け巡る、
CIWSも迎撃を止め、銃身を元の位置に戻す
次の瞬間、
マスト上方、およそ30cmのところで、
250㎏爆弾は何かにコツンと当ったかのように一瞬落下を止め、
爆発した
「間に合ったわね、」
ただし、展開してしまったのだから此方からは攻撃が出来ないのだ
「り、僚艦マナが!!」
そこには、甲板に直撃を受けたマナの姿がハッキリと映されていた
だが、自分たちは何も出来ない
げんに、オーパーツにも爆弾が叩き込まれているからだ、
しかし、どれも、艦に接触する前に爆発四散している
このオーパーツの能力は凄まじいものである、
『空間書換』と言う神代に等しい能力を持っているからだ、
この能力で現在は艦の回りにバリアを展開しているが、
その有効範囲は先ほどから続く爆撃で分かるように、
必ずしもこの地球全体というわけではない、
必ず制限があるのだ、
このオーパーツの場合は自艦を包み込むのに精一杯である、
一方、マナは上空からの攻撃を受けたとしても、
甲板が装甲のため影響は少ない、
雷撃も、バリアとバルジの2段構えである、
つまり、有効範囲がギリギリ甲板を包み込めなかったのだ
「このままニューカレドニアに彼女たちを残せないし、仕方ないわ、このままニューカレドニアに向かうわよ」
画面に目を向けると、
回避運動を取る僚艦マナの姿が映っていた
「なるほど、良く分かった、それは多分『空間書換』と言う代物だ、アメさんには事後承諾だ俺がやる」
無線電話うを切ると、
矢川は、何処かに電話を掛ける
「もしもし?長官にお伝えください符号で言うBBとBCをお願いしますと、なんせ今夜の天気は予報だと濃霧だからな、じゃあ」
ガチャンと電話を切ると、
会議室を出ようとした、
「あ、お前も来い」
手招きでバイオロイドを呼ぶ
「名前で呼んでください...」
ムスッとした顔で矢川についていく
「仕方ないだろ、未だにお便り来ねぇんだから、文句は作者に言え」
はい、どうもすいません、
本当に申し訳御座いません、
「御二方さん、今夜は特別にカレーを料理長に手配しておいたから、夕飯の時間にはこの部屋には居ってな!」
そう言って、指していた指を下ろし、
部屋を出た
「...え?って事は、この艦の中自由に歩きまわれるの?」
機長が聞く
「いや、私に聞かれても...」
副機長が苦笑いで返す
「...この艦隊は自由気ままだな~」
そう言うと、
立ち上がり、何処かへ行ってしまった
「対艦ミサイル用意!!」
ミサイルセルが本日二度目の出番を待っていたかのように開かれた
「目標はジャミング発生源!!ファイヤーッ!!」
『させるかぁぁぁあああッ!!!!!』
艦内のスピーカーに男性の声が響く
「だ、誰だ!!」
マイクに向かって叫ぶが返事はいっこうに返ってこない、
間もなくして、辺りが落下音に包まれる
「照明弾!!?あれは、」
画面に映っていたのは、おびただしい数の黒鉄の城の艦、
「き、キャプテン、ジャップの戦艦の殆どがそろっています...」
画面を指差し、報告する
「包囲されたのか...」
画面を見る限り、
見渡す限りの戦艦群、
その威厳ある姿は現代戦においては見える抑止力である
「構うな!!ファイヤーッ!!!」
開かれたミサイルセルから総数122発にも及ぶ対艦ミサイルが打ち出されると同時に
主砲を此方に予め向けていたのか、その閃光とも言うべきか、赤みを帯びた爆煙がハッキリと見えた、
「展開!!」
またも、ボタンが押し込まれた、
しかし、
相手は戦艦、バリアで通じるような相手なのかと言う疑問がキャプテンの頭を駆け巡る、
間もなくして、辺りは落下音に包まれると、
艦体に凄まじい衝撃が走る、
まるで、バケツの中に放り込まれ、金属バットで滅多打ちにされている様な感覚であった
「けが人!!グア!!?」
立ち上がりまわりを確認しようとした途端
イスから放り出された
「僚艦マナより!!ウワァ!!甲板大破!!」
その場の全員ももてあそばれるかの様に放り出されたり、転んだりしている、
その事情を知ってか知らずか、
なおも砲撃を続行する戦艦群、
ここで、時間つぶしにわれらが聯合艦隊の戦艦を紹介しよう
超大和型:
一番艦・能登
二番艦・若狭(聯合艦隊旗艦のためトラックに停泊中)
改大和型:
一番艦・飛騨
二番艦・美濃
大和型:
一番艦・大和
二番艦・武藏
三番艦・信濃
四番艦・甲斐
紀伊型:
一番艦・紀伊
二番艦・尾張
三番艦・駿河
四番艦・近江
加賀型:
一番艦・加賀
二番艦・土佐
長門型:
一番艦・長門
二番艦・陸奥
石上型:(元十三号型)(巡戦)
一番艦・石上
二番艦・五葉
三番艦・大森(第七艦隊所属)
四番艦・田束(第七艦隊所属)
天城型:(巡戦)
一番艦・天城
二番艦・赤城
三番艦・高雄
四番艦・愛宕
金剛型:(元巡戦、現戦艦)
一番艦・金剛
二番艦・比叡
三番艦・榛名
四番艦・霧島
の全部で二十八隻もの戦艦を日本は保有している
航空母艦は今のところ本土で量産中、
こんな話で時間を潰したが、
話を戻します
なおも揺らされ続けるオーパーツ艦内は既にハチャメチャな状態である
要するに、かき回された髪の毛のようにぐちゃぐちゃな状態である
「だ、誰か、あの砲撃を止めてきて...」
「出来るものならやってますよ...」
「 」
「...喋ってね↑」
「気力がありません、」
このキャプテンこと艦長と副艦長のやり取りがCICでの唯一の声である
他の乗組員はその声を頼りに気力を保っているのが現状である
そして今、また震度七の様な衝撃が襲い掛かった
「...ねぇねぇ」
「だから、出来ることならやってます」
「 」
「 」
「ツッコンでよ↑」
「気力ないです」
もう、こっちも気力がないよ。
このままセリフだけの小説なんてね...
読者も作者もごめんだよ
「もう、精神的に参ったから白旗揚げよ」
そう言うと、
副艦長の肩を叩く
「...分かりました、良いんですね?」
最後に確かめるように聞く副艦長
「いいんです...」
そう言って、イスにまた深く腰掛けるが、
またも衝撃で投げ出される羽目に
「一寸急いできますね、」
「早くね!!」
切れかけている艦長を笑いのおかずに副艦長は艦橋に急ぐ
この役6分後、
オーパーツのマストに白い旗が掲げられ、
それを見た僚艦のマナも自艦のマストに白旗を揚げた
この一連の海戦が『ニューカレドニア海戦』であった
しかし、いくら海で決着がつこうが、陸では未だ決着はついていなかった
作者:俺が...ネトウヨだとぉ...
遠龍:誰に言われた?
作者:父さん。
遠龍:...
作者:...
遠龍:じ、自分ではどうなの?
作者:...さぁ?
遠龍:まぁ、この話は読者の皆さんに決めてもらおう、では!!
作者:また今度!!
遠龍:Have a nice day!!
畝傍:じ、じゃんけんぽん!
パー




