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第27話 マスコット枠

 自宅へ戻ってくるとひそひそ声がして、振り返ると黒っぽい二匹の小さな異形がいた。

 声を上げて追い出すのを寸前で思いとどまり、二匹の首根っこ掴んで振り回す。


「ジグジグジグジグジグ!!?」

「チャトチャトチャトチャトチャトチャト!!?」

「なんなんだよお前らマジでどっから入った」

「お前が連れきたんだろうがジグッ!」

「そうチャト!」

「それ語尾なの?

 すっげぇ裏声で言いづらそうだけど、やっぱお前らクラフトと関係あるのか……」


 いやマスコット枠にしたって登場するタイミングおかしいだろ。


「まさかクラフトそのもの?

 ならどうして今まで見なかったんだ」

「黄金碑郷の人間たちは信用できないチャト!」

「パビリオンの五人はお前らと話すの?」

「それは……」


 ジグジグ言ってたヤツが口ごもる。つまり、


「知らないんだ、契約者なのに。信用されてないんだ、あーあ、五人とも可哀想だなぁ」

「う、うるさいジグ!」「ひどいチャト……」


(いやなんで俺がいじめてるみたいになってんだよ)

 マスコットの姿をしているからと言って、人間と価値判断や善悪の基準が同じとは限らないなら、魅那とて警戒せざるをえない。


「その気になれば手足が生えるなら、自力で脱走してあの子たちの元へ戻ることもできたんじゃないの?」

「「――」」


 できる上で、そうしなかったとも、手足が短すぎて諦めたともとれる。まぁどっちでもいいが、


「俺の前でその姿になったのは、想定外?」

「当たり前ジグ!」「ジグソー、もうやめようチャト」


 チャトチャト言ってた方は気が弱いのか、わりと素直に折れている。こっちは声が女の子みたいでかわいい。


「パビリオンたちを、助けて欲しいんだチャト」

「聞こう」

「……なんだか急に目の色が違うジグ」「あ?」

「睨んでくるのやめるジグ!?」


 ジグジグ言ってるやつはやたら注文が多いな、まぁいいけど。


「マテリアール帝国はカテドラルモノリスを本来とは異なる運用をしているチャト」

「すると?」

「パビリオンはそれに対抗する戦士たちの集まりチャト、本来は」

「モノリスとパビリオン五人組は、本来にない仕様で動いてしまっている。

 そういうことかな」

「理解が早くて助かるチャト!」

「なら俺は、なにをすれば五人を助けられる?」

「お前のクラフトを寄越せチャト!」

「――、なんて?」


 ナンプレクラフトを?

 だが言われてみれば、嫌な納得があった。


「碑郷がうちらのパチもん造ったせいでルービック壊れたチャト、お前の力がルービックとあの子たちを苦しめるチャト……お前がその紛い物のクラフトを壊して死ねば」

「――」

「きっとあの子たちも元に戻ってくれるはず、チャト!」


 擬似クラフトの破壊は、装着者の死を意味する。

 概念数字を自身の身体へ濫用し続けた結果、擬似クラフトと魅那の生命は同義なのだと、こいつらは知っている、マスコット妖精特有の感性でもあるのやもしれない。

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