第12話 増長のツケ
スパイダーたちを鈍らせるのは、不慣れなクラフトホルダー戦闘とそれを痛感するゆえの焦りだ。
「息が上がっているぞ、スパイダー。
女どもの相手などまたナンバーどのに押し付けてやればよかろうに」
「うるさい、俺は！」
俺は女如きに負けているはずがない、身体的無意識な慢心。
クラフトがそれへ拍車をかけていることにすら気づかない。
ジグソーとチャトランの二人を相手取ったはずが、チャトランは彼など歯牙にもかけないで途中、ナンバーのほうへ飛んで行ってしまった。
「ふざけるなよ、俺が対象を仕留め損なうわけが――」
「『ジグソープレートサーキュラー』！」
ジグソー本家の技が、彼の腹部を引き裂いて拡大する。
「ぁああああああああああああああああ！！！？？」
「スパイダー！？
くっ！」
クロンダイクも急いで彼へ向かおうとするも、こちらはもう二人、ウィズダムとアナグラムへ阻まれて身動きが取れない。
そこへ、チャトランの攻撃に後退したように見せながら、ナンバーが接近。
「『概念数整合』！
スパイダーさん、何やってる！？」
真っ二つになった胴体の破綻を数字の付与がかろうじて抑え込み、彼は一命を取り留めるも、スパイダークラフトが分離して変身の解除される。
クラフトをジグソーが拾おうとするも、それすらナンバーは概念数字のエフェクト攻撃で押しのけて、彼自ら回収した。
「クロンダイクさん！」
「今更さん付けとはこそばゆい、きみ昨日は最初呼び捨ててたろ」
こいつはいらんことしか話せないのだろうか？
「モノリスを破壊する、敵は俺のほうで引き付けるから――」
「させないよ！」
「ジグソーなぜだっ、俺はきみたちとは」
「戦う意思がないなら、引っ込んでいて！」
「殺してしまうだろうが！！？
一緒に戦ってきた君たちを――」
「私たちはルービックとともにあるだけよ、あなたはどうなの！？
黄金碑郷とルービックと！
数字はどこまでも独りじゃないか！」
「ぐっ――」
――いまの君の周りに、いったい誰がいるというの。
「ルービックを躊躇わず手に掛ける、あなたなんかに、私たちの絆が分かるわけない！」
「……そうかよ」
そこまで言われなきゃならないのか、ただ相対したというだけで、俺は。
ルービック、恵瑠乃を想う心の在り方は、男の俺と、女の子の君たちとでは確かに溝のあるかもしれない。だけど――、
「黄金碑郷を裏切ったきみたちが！」
「！」
「裏切ったのはみんなだろう、まるで俺が悪役みたいにッ」
出奔して好き勝手やっているくせ、俺に責任を被せようとする輩。
メルキオやスパイダーたちだけでない、オカルティック・パビリオン、ルービック――きみたちまで、
「全部放って逃げだしたくせに、偉そうに言うなよっ！」
……みんな無責任で、身勝手だ。
