第13話 反省会2
三賢人会という名の、恒例となった反省会である。
「昨日の今日で敵幹部陣との総当たり戦を連続したことには、同情もしよう。
五人組の変心から日が浅いとはいえ、またしてもモノリスへ人間が吸われ、きみたちはそれを止めることができなかった――申し開きはあるかね、ナンバーくん?」
「お言葉ですがメルキオ猊下、スパイダークラフトの使用者は胴体を寸断されたまま行動不能へ陥り、デジタライズクラフトとの接続が歪に解除されたばかりに、現在はナンバープレイスの概念数字で欠損部位を強引に再構成し、延命している状態です。ナンバープレイスによる再構成は、外部の対象へ完全に再現できない。外科的施術が済むまで、予断を許さない状況です」
「部下の負傷はきみの責任だと昨日話したばかりだ、この失態の責任はどう取るつもりか?
きみの統率能力には著しい疑念が湧くな……ほれクロンダイクこと由良戒斗くん、どうかね」
「――」
自分の息がかかった配下の意見でトドメを刺すつもりだ。
クロンダイクはというと、
「猊下に申し上げます。スパイダークラフトの装着者、秋山吾郎は戦闘行動中にクラフトへ自我を侵蝕されており、挙句戦闘時にクラフトを紛失しました。残念ながら彼のクラフト適格者としての資質には、疑念を禁じえません」
「なっ……それはまことかッ!?」
現場の統率者であるはずのナンバーを無視して、勝手に話が進んでいく。
(その紛失したはずのクラフトが俺の懐にあるとは、ここのほかの誰も知らないわけだが)
あのような戦闘の場である以上、混乱は避けられないうえ、現場の細かな検分にも改竄は可能である――調査する側がなにを要点に探るか、頭に入っていれば。ナンバーはスパイダークラフトを回収してのち、概念数字によりクロンダイクの認識を改竄し、洗脳した。
(やってることが完全にヴィラン側のそれになってるな、けど――俺も動きを制約されないためには、面子や立場が要る。
クロンダイクがこうもすんなり従っていると薄気味悪いくらいだが、そもこの人由良って名前だったんだな)
賢人会を相手にして、ナンバーは変身を解いていないが、由良は変身を解いて膝をついている。
「ナンバーくん、いい加減にきみも正体を見せてくれたらどうだろうか?
いくら黄金碑郷初のアルタークラフト使いとはいえ――」
「まぁ正体程度、かわいいものではありませんか、メルキオ卿。
彼の黄金碑郷への忠誠は本物です、あの五人が去ってなおも、ほかの誰にもできない防衛を一手に引き受けている……デジタライズクラフトやら、彼の負担を減らしてくれるならばと想っていたのですが、クラフトホルダーの複製はなかなかに難しいのですね、オホホホ」
カスパールが助け舟を出してくれた。というか、メルキオ翁を完全におちょくっている流れだ。
それを言われても仕方ない秋山の失態ではあったので、翁のメンツ丸潰れである。
(いい気味だな、メルキオのやつ)
「ただちに私とクロンダイクさんで、紛失した戦闘当該地域を捜索します」
「なっ――捜索班は別途編成する!
きみたちは有事に備え、休みたまえ!」
(やはりメルキオ翁は、デジタライズクラフトが俺の手に渡るのが嫌なんだな。
俺の手にあるのがバレないうち、好きに検分させてもらおう)
「メルキオ卿、やらせてやればいいでしょう。人員の手間は省けるし、当該地でのスパイダークラフト使用者の活動をよく見ていたのはそこな二人だ。クラフトの紛失へ気づいた帝国側がそれを回収しに来たら、作業員では対応できない」
次に口を出したのはバルタザール=フランキス卿だ。
三賢人の中でもっとも寡黙でぼんやりした人だと想っていたが、流石に賢人へ選ばれるだけあるのだろうか。とにかく、ナンバーのほうもやりやすくなった。




