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一話 プロローグ

暇つぶしで見てくださると嬉しいです。

目が覚めたら白い天井が見えた。ここがどこなのかを知るために辺りを見回した。どうやらここは、病院のようだ。高校生二年生の柚子翔太ゆずしょうたは自分の手を見つめながらつぶやいた。


「俺は戻ってきたんだな…」



遡ること四年。スクールバスに乗り遅れた翔太は、バスで帰るべく駅に向かっていた。その時偶然、片思い中の渡辺希美わたなべのぞみを見かけたので、話しかけようとした。だがそれは叶わなかった。希美の向かって一直線に進んでくる車を翔太は見てしまったのだ。翔太は、声を出すこともなく必死に希美の袖を引っ張った。希美は、訳が分からず、少しした後で状況が分かったのか、翔太にお礼の言葉を言った。


これだけなら良かった。これだけなら…。

最悪なことに突っ込んできた車に乗っていたのは、薬物を使用している男だった。男は右手にナイフを持っていた。どうやら、周りにいる学生は気がついてないみたいだった。そこで、翔太は、大声で警告した。学生たちは状況を飲み込めていないのか、数秒動かなくなった後、逃げ出した。

翔太も希美と逃げ出そうとしたが、男は足が速かった。希美を狙っているようだったので、翔太はかばって刺された。男を希美のところに行かせないためにも。翔太は男の顔面を殴り、男が離したナイフを蹴って男から離した。ナイフを持って刺せば一番良かったのだが、そこまでの勇気を翔太はまだ持ち合わせていなかった。

ナイフを男から離した後、男が気絶するまで、翔太の命が尽きるまで殴って殴って殴った。そこから、翔太の地球での記憶は終わった。


この後翔太は白い世界にいた。そこでは、異世界で生きていくためのチートスキルやチート職業を選べる場所だった。ここまでの情報だったら楽な人生を送れただろうが、現実はそう簡単にいかなかった。

転移される場所は、化け物たちが住む孤島。スキルや職業は全てが大器晩成型だった。翔太は絶望したが、何とか生きるため、職業極奪う者になった。この職業は倒した相手の全てを奪う。自身を倒した者の全てを奪い復活するというものであった。

転移した後、一年は殺され続けた。三か月くらいは、お見せできる状態ではなかった。そこを過ぎた後は、九か月間痛みになれたのかずっと声も発することもなく殺され続けた。殺され続けた結果、ステータスはおかしなことになっていた。翔太は生きるために動き出した。

さらにここから一年、ステータスでは勝っていたが技術面で圧倒的に負けてたので、挑んでは殺され続けた。

変わったのは、転移されてから二年、遂に化け物たちを倒せるようになっていた。この時にはすでに翔太から人間の心は失われていた。翔太は魔物を殺し続けた。

ある日、一体の狼がいた。何故だろうか、翔太はそいつから目が離せなかった。狼の目は死んでいたから、前の自分と重ねていたのかもしれない。狼と出会い過ごしていく内に、翔太は変わっていった。

狼をひろった後も翔太は、猫とゴブリンを拾い過ごしていくことになる。狼はユキ。猫はハル。ゴブリンはクロと名付けた。

転移されて四年目翔太たちを倒せる魔物はいなくなった。翔太たちが島を探索していると、一つのダンジョンがあった。鑑定のスキルによると、神界に七人しかいない自由神とやらが全員で作ったダンジョンらしい。

翔太たちは一年で最深部までたどり着いた。最後のボスを倒した後、情報が翔太の頭の中に入った。今までに経験した中で一番の激痛だった。気絶することを許されず、ただただ、苦痛が翔太を襲い続けた。ユキたちは自分たちができる中で最善を尽くしたが翔太の苦痛が和らぐことはなかった。

一か月後にその苦痛はなくなった。翔太は苦笑いしたあと、ユキたちに自分が自由神王になったことを伝えた。翔太はこうして神界の頂点に立った。

その後は行動が早かった。契約していたユキたちを自分の中に戻し、地球に戻ってきた。



時は現在に戻る。

体に貼り付けたあったものを外し、立ってみる。異世界では四年経ったが、地球では四日しか過ぎていないので、身体の筋肉は衰えていなかった。

カーテンを開け外を見てみると、月明かりが病室照らした。雲一つない綺麗な空がそこにはあった。

すると、扉の向こうから駆け足でこちらに来ている足音が聞こえた。どうやら、さっき外したものが病人の状態を知らせる役割を果たしていたのだろう。数秒後、扉が開かれナースさんが入ってきた。

その後は、お医者さんが来て、身体に異常がないか検査をした。男に刺された傷以外は特にないようだ。その日の内に 病院は翔太の親に連絡した。


翌日、警察の人が来て、色々と聞かされた。希美が無事であること。犯人が捕まったことなど。話を聞いている内に翔太の両親が来た。泣きながら良かったと言ってくれた。ものすごく心配してくれていたのだろう。

その日は、休日だったのか、学校の友達が来ていた。まあまあ仲のいい高校からの友達五人、友達の中でも上位にはいる友達五人、親友三人が来ていた。高校からの友達五人の中に希美がいた。


「おぉ、俺にこんなに友達がいたとは感激だな」


翔太は笑いながら言った。その言葉を聞いて、笑い返す者。うつむく者。苦笑いする者。それぞれいた。


「まぁ、そんな人数じゃろくに話も出来ないだろうから、順番に来てくれ」


皆、肯定して、一旦病室から出て行った。そこから、九人の話を聞いて、色々と情報をあつめられた。翔太が気を失っていた四日間に世界を揺るがすことが起きていたようだ。

それは、別の惑星からの一つのメッセージから始まった。内容は

『一年後に侵略しに行くので、そのつもりでお願いします。あ、対戦内容はVRMMOです。技術は送らせていただいたので、頑張ってくださいね。なぜこんなめんどくさいやり方をするか知りたいと。ふむふむ、教えてしんぜよう。その方がおもしろいでしょ。キラン』

ということだ。これは、翔太が自分で調べた内容だ。

一般市民が知ってる内容といえば、遂に剣と魔法のVRMMOが発売したというものだ。ただし、個数は県ごとに三万個と限られているので応募するしかない。しかし、それは、第一陣というだけで、二陣、三陣、と一か月ごとに三万人が、応募にかかるようなので、出来ないという事はない。

もちろん、翔太は裏ワザを使いゲットする予定だが。


そんなことはさておき、次に病室に入ってきたのは、親友三人だ。


「よう、久しぶり。しんみりとした話はやめようぜ。ところで、VRMMO、もちろんお前たちもやるんだろ?当たったら一緒にやろうぜ」


翔太は、三人の顔を見ながら言った。背の高いがガリガリの渡辺大和わたなべやまと、男にしては髪が長い寺田大貴てらただいき、ロリコン疑惑の正樹雄太郎まさきゆうたろう。最初に大和が言った。


「当たり前だ。やるに決まってんだろ。やるなら俺は戦士だな」


そこから『エルフとかあこがれるよな』とか、『アホか、吸血鬼の方が憧れだろ』とか他愛もない話をした。その後も、アホなことを喋り、話し終えたあと、『おっと、そろそろ行くわ』と言って、出て行った。


ついに最後だ。

希美が入ってきた。

入ってきたはいいが、話しだす気配はない。翔太は自由神王の力を持っていて、それを使えばこの状況をいい方向に変えるのは簡単だったが、良しとしなかった。


「渡辺さんが無事でよかったよ」


あはは、と笑いながら翔太は相手の出方を見た。それでもまだ希美は俯いたままだ。

沈黙が続いたが、急にばっ、と顔を上げて渡辺さんが声を発した。


「柚子くん!…」

「な、なに?」


今の翔太は普通の日常を送りたいので、防御魔法以外の全てを異世界に行く前の能力にしているため、普通に驚いた。


「その…、ごめんさない………」


(漫画の主人公とかだったら、『ごめんじゃなくて、ありがとうだろ』とかいうんだろうけど、ハードル高いよなぁ)


「気にしないでいいよ…。いや、無理な話か…。んー、あれだあれ、今回の事は俺が好きでやったことだ。渡辺さんが目の前でひかれるのが見たくなかった。ただの自己中行為だよ。それでも、納得いかないんだったら、貸し一つで手を打たないか?」


見た感じ希美は納得いってないようだったが、これ以上言っても無意味だと翔太の性格からわかっていたので、「柚子くんって、意地悪だよね。でも優しい」といった。


「ははは、そうかな」


そう笑った翔太をみて、希美は吹っ切れたのか、笑顔で「私はそろそろ行くね。今度は学校ではなそうね」とだけ言って出て行った。翔太はコミュ障なので、多分学校では話せないが、頑張ってみようと思った。


この話を理解したあなた。天才です。


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