第38話・脅威の兆候
今話はかなり短いです。
ルルイエ、グリム王国東端に位置する街。ルルイエはグリム王国の中では比較的新しく、200年程前に作られた街だ。
街のすぐそばに森林が樹勢しており、木材の供給は絶えない。この森林はグリム王国、そして2つの隣国、合計3つの国にまたがって存在している。
その巨大さ故に様々な名前があり、国にまたがっていることも影響して統一された名称は存在しない。
しかし、この森林を知っているものであれば大森林と呼べば通じるという共通の呼び名は存在している。
この大森林は遥か昔から存在しており、過去の記録にもこの大森林がなかった記述はない。
ルルイエのある土地もかつてはこの大森林の一部であった。それを4代前の国王が開拓を命じて、木々を伐採してその上に街を作ったのだ。
しかし、それには大きな反響があった。大森林に関する言い伝えとして大森林には神が住むと言われていたのだ。
故に大森林の近隣に住む者や言い伝えを重視するエルフの国から開拓に関する圧力が掛かっていた。
にも関わらず、当時の国王は開拓を行い領地を広げて、国益を増やした。
故に当時の王は賢王と呼ばれる反面、暴君と呼ばれることもあった。
後にルルイエは国内有数の木材供給の街としてそれなりに発展した。当時は男爵が納めていたが、規模が大きくなったため子爵へと委譲された。
今代のルルイエの当主であるレプテンは強欲で非情な人物だった。次男として生まれた彼は幼い頃に長男を密かに毒殺し、両親も長期に渡る毒薬の投与で短命に終わらせた。そして、当主としての座を手に入れた。
策を用いて富、権力を手に入れたレプテンだったが、次に彼が求めたのは永遠の命。
その実験の過程として幾体の魔物の合成体であるキメラを作り始めた。その合成に必要な膨大な魔力の源となる特殊なエルフも入手し、不老の力が手に入る準備は整っていた。
しかし、突如キメラたちが惨殺され、エルフまで何者かに奪われてしまった。
レプテンはエルフの奪還に力を入れたが、全く見つからず手がかりすらもほとんどなかった。その際に街の警備も厳重にし、街を出入りする者や街にいる者に対しても厳密に検査を行っていた。
そのような異変が噂にならないはずはない。噂は即座に王都へと届き、調査隊が送られた。
レプテンには以前から黒い噂が絶えず、王も警戒していた。そのため、調査隊には重役の騎士副団長が任命された。
結果的にレプテンはダンジョンの隠蔽を暴かれ、連行されることになった。キメラやエルフに関しては証拠が不十分であったため罪を問うことは難しかったが、ダンジョンの隠蔽だけで重罪だ。
騎士副団長はダンジョンの隠蔽に関わった者の処罰を後にして、先にレプテンの王都への連行を行った。
その後、騎士副団長はダンジョンの存在を知った王の指示でダンジョンへの道を開拓することになった。
ダンジョンは国の利益を生む源だ。そして、その利益をダンジョンから持ち帰るのは冒険者だ。
国が冒険者が少しでもダンジョンへと潜るようにダンジョンへの道を開拓するのは必然的なことだ。
農夫の次男や三男などの手の空いた者たちが比較的高給で雇われ、森の開拓を行っていた。
しかし、誰も気付かなかった。その開拓を行う農夫たち上空を大きな影が通り過ぎたことを。
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