#20 どうすればいいんだ
麗美と蘭子は吸血鬼の姉妹である。
生活の保障と引き換えに国家への協力を要求された2人は、社会に紛れて人を喰らう無法の吸血鬼たちと長年戦ってきた。
その結果、吸血鬼による犯罪は激減し、姉妹の仕事はもっぱら自宅警備と宅配受取になった。
この物語は、そんな哀れな吸血鬼姉妹のアンケートに正直に答える姉、麗美と、
ちょっと嘘を混ぜちゃう妹、蘭子と、
オタクであることを必死に隠す対吸血鬼班の刑事であるジローの壮絶な戦いを記した短篇集である。
夜、麗美のパソコンでネットを見ていたジローは、あるテストを発見する。ちなみに、エロ動画サイトを巡回していた途中ではない。
「麗美、ちょっとこのテストやってみろ」
「え、なにかしら?」
ベッドで寝転がって少女漫画を読んでいた麗美が顔を上げる。
「第1問。あなたは不老不死ですか?」
「まぁ、どちらかといえばイエスかしら」
「第2問。血を吸うのが好きですか?」
「イエス」
「第3問。太陽が苦手?」
「もちろん」
「第4問。コウモリを操れる?」
「出来ないわね」
「第5問。超能力がある?」
「幻術なら使えるわ」
「第6問。十字架が苦手?」
「いいえ。慣れたし」
「第7問。ニンニクが嫌い?」
「あれは駄目ね」
「第8問。流れる水を渡れない?」
「そんなことは無いわね」
「第9問。招かれないと人の家に入れない?」
「不法侵入やっちゃうと大変だから、出来な……いや、この前やったわね……」
「俺の部屋にゴミ袋置いてったアレか」
「だって朝のゴミ出しは出来ないのよ」
「まぁいい。第10問。あなたは鏡に映らない?」
「そんなわけないでしょ」
「で、回答と…………なるほど」
「どうだったの?」
「『あなたの吸血鬼率は70%です』だとよ」
「70%……」
正真正銘の吸血鬼である麗美はしばし黙る。
「…………微妙な数字ね」
「『今ならまだ間に合います。早く人間に戻りましょう』だとさ」
正真正銘の吸血鬼である麗美はまたしてもしばし黙る。
「……どうやって?」
「知らん」
空気が微妙になったので、2人とも無言で元の作業に戻りましたとさ。




