#15 そんなこんなでどうなった
麗美と蘭子は吸血鬼の姉妹である。
生活の保障と引き換えに国家への協力を要求された2人は、社会に紛れて人を喰らう無法の吸血鬼たちと長年戦ってきた。
その結果、吸血鬼による犯罪は激減し、姉妹の仕事はもっぱら自宅警備と宅配受取になった。
この物語は、そんな哀れな吸血鬼姉妹の巨乳好きに怒りを覚える姉、麗美と、
巨乳好きに怒りを覚える妹、蘭子と、
それでも巨乳好きな対吸血鬼班の刑事であるジローの壮絶な戦いを記した短篇集である。
吸血鬼姉妹と些細なことでケンカしたジローはその件で上司に注意され、姉妹のご機嫌を取るためのトマトチーズケーキを買ってから宿舎に帰宅した。
自室のドアに「ここはおっぱい大好き人間の家」と書かれた紙が貼られていた。
ジローは吸血鬼姉妹が住む隣の部屋のドアも見てみた。「おっぱい大好き人間立入禁止!」と書かれた紙が貼ってあった。
ジローは姉妹の部屋のインターホンを押す。しばらくして、部屋のドアが少しだけ開く。
「……」
「……昨日は悪かった。トマトケーキを買ってきたから、機嫌を直せ」
「……」
バタン。
ドア、閉まる。
「……」
ジローはもう一度、インターホンを押した。
ドア、少しだけ開く。
「……」
「……」
「……土下座は?」
「……」
素直に土下座するジロー。彼は、おっぱいに対する信条の違いで減給されたくは無かったのだ。
「……仲直りする前に、ひとつだけ質問させて」
「……なんでしょうか」
「ちいさいおっぱいとおおきいおっぱい、どっちが好き?」
「デカいのに決まってる」
バタンッ!!
ドア、勢いよく締まる。
ジロー、立ち上がってインターホンを連打する。
ドア、またしても少し開く。
「……反省してる?」
「……デリカシーが無かったと思っています」
「私たち姉妹が、成長できないって分かってる?」
「…………あまり考えないで言っていた。本当に、すまない」
再土下座。
「貴方が大きいおっぱい好きなのは、百歩譲ってあげるけど、もう1つだけ質問させて」
「はい」
「私って、可愛い方?」
「……認めたくないし、口にしたくもないが」
「ないけど?」
「……可愛いと思います」
「……よし!」
ドア、全開。
「おかえりなさい、ジロー」
「……ただいま」
感動の、和解。
姉妹の部屋に入ったジローが発見したのは、蘭子の部屋の引き戸に貼られた「巨乳好き死すべし。慈悲は無い」という紙であった。
「じゃあジロー、次は蘭子と仲直りして」
戦いは、続く。




