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8話辺りのじいちゃん目線です。
しかし、じいちゃんは20話くらいで孫が可愛いと認めたくらいです。
いや、認めてないかも…
他の人が孫にデレデレになっているのをいつも馬鹿にしてます。
まだ出てませんが、特に源さんを馬鹿にしてます。
俺は意固地だと分かっている。そのせいで嫁には迷惑をかけとおしだ。
嫁を名前で呼んだ事はない、オイやら、オマエやらそんな言い方しかしてないのが、違う呼び名に最近なってきた、それはバアサンだ。
孫が可愛いい声で、嫁をばあちゃんと呼ぶのでつい言ってしまった。
それを嫁は受け入れる。
息子や娘が父ちゃん母ちゃん呼ばわりした時にもオイだったのに…
バアサン呼ばわりするには、俺よりずっと若く見えるのに、抵抗があるが…
孫のまえで嫁をオイ呼ばわりしているのは何故か心が痛くなったのだ。
息子が家を出て、娘も出て、嫁が港で働き、食うに困らないようになると、漁にも意欲がなくなってきた。
これでも凄い漁師だと自負している。潮が難しい場所でも船を操り、他の漁師が捕れない魚を捕る。
一歩間違えれば潮に流され下手したら船が沈む。小型の船で潮の隙間を縫うように進むのだ。
そのスリルと魚の買い取りの良さで、夢中に仕事をしていた。
しかし、そのせいか、息子や娘に愛想をつかされた。
息子は音信不通になり、娘も傷物にされ帰ってきたのだ!
娘は毅然とし、俺の言う事なんか聞く耳持たない。
誰が話をするか!と意固地になったのを、これ程後悔した事はない。
船をぶつけた事より、源さんと絶交しかけない喧嘩した時より、息子と喧嘩して帰って来ない事より…
もっと娘の話を聞いてやりゃあ良かった…
飲んでいる間は、娘に怒っていられる、後悔を忘れていられる、酒を飲むしかなかった。
葬式の後から、孫がじいちゃんと呼ぶようになった。
今まで、孫は俺を怖がってなかったか?
なんとはなしに見ていると、子供らしくなった?良く食べ、良く寝て、ちゃんと遊んでいる?こんなに動いてたか?
作った野菜も魚も残さず食べてる。
船を出すまでは酒が抜けきってないから、アジを堤防で釣って帰ると、孫の目が変わってやがる。
なんだ?この可愛いい存在は?撫で回したい衝動をおさえる。
犬ネコじゃねえし、下手にこのぽちゃぽちゃの頬を触って傷つけてはダメだ。
しかし、無邪気に魚を食べる姿は俺の心を掴む。
息子や娘のこんな可愛い姿をちゃんと見てやってなかった…
俺は馬鹿だな…
ちゃんと見てやりゃあ良かった…
次の日から漁に出る。勘が落ちている事に気付いた。
しかし、無理はしない、孫に魚をしっかり食わせる為だ!
ありゃあ食べ過ぎだが、まだまだ身体は小さい。栄養が足りてない。
俺が何とかしてやらなきゃ小さいままだ、少しずつ勘を取り戻し美味しい魚を食わせてやる。